Sakana no Sanaka

沖縄本島テキスト系ダイバーの一考察

擬態暗号(コマチコシオリエビ)

2016-11-29 19:17:53 | エビ・カニ類

朝は放射冷却の影響でヒンヤリ…。

でもそれは雲がないということですから、日中は日差しタップリだった本日のやんばるです。

この先も朝晩の寒暖差が激しい日が続きそうです。

風は北東。晴れ。

〈コシオリエビ科コマチコシオリエビ属コマチコシオリエビ Allogalathea elegans 16年10月18日 沖縄島安和〉

スマートエレガンス、あるいはカジュアルエレガンスという言葉をご存じでしょうか。

ご存じの方はなかなかに富裕層なかたなのかも…。

スマートエレガンスやカジュアルエレガンスはドレスコードの種類です。

ドレッシーでフォーマルなスタイルをスマートエレガンス、それなりにドレッシーなスタイルをカジュアルエレガンスというのだそう。

どちらも僕には縁のないスタイルですが。

ドレスコード、すなわち服装規定のあるレストランに行ったのは25年くらい前に一度だけ、冠婚葬祭にも10年以上参加してませんから。

さて…

本種はウミシダ類の巻枝付近を住処とし、ウミシダとの共生関係は、はっきりしていないようですがどうやら片利共生のよう。

そして本種は宿主の色彩に合わせた体色を纏います。

隠蔽擬態ですよね。

その上、宿主が変わることがあると、新しい宿主の色彩に合わせるように、ゆっくりとですが自身の体色を変化させていくのだそう。

まるでドレスコードを厳守しているように思えたり。

ある意味命にかかわるドレスコードですから、そりゃあ厳守しますよね。

しかしどういうメカニズムで、そういう変化が可能なのでしょうか。

宿主の色素を取り込んでいるのでしょうか。どうやって?

これはドレスコード(隠蔽擬態暗号)だな…、とか思えたりも…。

〈同種同一個体 同日 同ポイント〉

おっと忘れるところだった……

そもそも何故2種類のドレスコードの話から始めたのかを。

本種の学名種小名がエレガンスだったからでした。

『優雅な、美麗な』という意味です。

 

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水の中の炎(ミナミクモガニ)

2016-11-25 18:59:41 | エビ・カニ類

予想以上に十分な日差しがあった本日のやんばるです。

風はまだやや強めでしたけど、まずまずの心地よさでした。

気象庁から3ヶ月予報が発表されました。

それによると、平年並みか、やや寒い冬になりそう…。

現在発生しているラニーニャ現象がまだ継続する影響のよう。

ラニーニャにより偏西風が蛇行し、寒気の南下が強くなるからなのだとか。

ここまで、平年より暖かい日の方が多い印象でしたけど、年末に向けてぐっと冬らしくなるのかもしれません。

風は北~北東。晴れ時々曇。

〈クモガニ科クモガニ属ミナミクモガニ Oncinopus neptunus 16年9月21日 沖縄島安和〉

ローマ神話の海の神はネプトゥーヌスという名で、これは英語読みだとネプチューン。

英語読みの方が圧倒的に有名ですね…、まあ有名なのは海神の方ではないかもしれませんが。

ネプチューンは泉や河川、湖沼を司る神でもあるらしく、水全般の神様のようです。

また馬の神様でもあるのだそう。これはギリシャ神話のポセイドンと同一視されていることからなのだとか。

さて…

ネプトゥーヌスは長母音を省略してネプトゥヌスとも表記されるそうですが、それはそのまま本種の名前。

本種の学名種小名は『海の神、水の神、ネプチューン』

画像検索でネプチューンの彫像や絵画を見ましたけど……。

〈同種別個体 16年10月13日 沖縄島安和〉

ネプトゥーヌスは、古いインド・ヨーロッパ語族系神話の水神に、その起源があると考えられているのだそう。

それらは、類似した神話を持っているのだとか。

それは…

『水中に神聖な炎があり、穢れのない者以外は触れてはいけなかった。しかしあるとき、資格のない者がその炎を手に入れようとして失敗した。すると炎の周りの水があふれ出し、そこから河川が生まれた』

だそうです。

で、この物語がどのように水神に繋がるのか、よく解らないのですが…。

水の中の炎ってなんでしょうね。

って考えながら画像を見てると、全身に付着させている藍藻類が、体から燃え上がる炎のように見えたり見えなかったり…。

 

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妖怪チック…(ダンダラダテハゼ)

2016-11-22 19:15:23 | ハゼ科

基本ドンヨリときどき晴れ間…な空模様だった本日のやんばるです。

陽光は物足りない感じでしたが、特に寒くもなく…。

むしろムシムシする一日でした。

明日からは徐々に寒くなり、2~3日寒さが続きそうですが…。

風は北~北西。曇ときおり晴れ間。

〈ハゼ科ハゼ亜科ダテハゼ属ダンダラダテハゼ Amblyeleotris periophthalma 16年10月13日 沖縄島安和〉

画像は幼魚。

江戸時代後期の浮世絵師に、鳥山石燕という人物がいます。

浮世絵というと美人画をイメージしますけど、石燕が描いたのは妖怪画です。

その石燕の妖怪画集『今昔画図続百鬼』に〈百々目鬼(とどめき)〉という妖怪が記されています。

その腕に無数の目が現れている女性の妖怪なのだそう。

あるいは石燕の別の妖怪画集『今昔百鬼拾遺』には〈目目連(もくもくれん)〉という妖怪も登場していたり。

こちらは障子に無数の目が浮かび上がった姿をしていて、碁打ち師の念が妖怪に変じたもののようです。

どちらも石燕の創作妖怪だそうですが、共通するのは無数の目。

さて…

本種の学名種小名は『まわり一面に目』という意。

なんて妖怪チックな名前なのだろう…とか思ってしまったわけです。

〈同種 同一個体 同日 同ポイント〉

この目とは、背鰭や顔にある無数の玉模様のことを指しているのでしょうか。

普通に『水玉模様のある』とかいう名前になってないところに、魅力を感じてしまったり。

 

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科学の非力さ…(ノコギリハギ)

2016-11-18 19:11:46 | カワハギ科

青空にうろこ雲、秋の空だなぁ…って感じた本日のやんばるです。

どこか絵画的で、いつまでも眺めていられるような空でした。

もっとも、風は南から…、気温は夏日。

まあ、心地よい程度の暑さでしたけど。

風は南東。晴れ。

〈カワハギ科ノコギリハギ属ノコギリハギ Paraluteres prionurus 16年10月12日 沖縄島安和〉

画像は幼魚。

BSEという言葉を覚えておられるでしょうか。牛海綿状脳症のことですが。

国内で感染牛が初めて確認されたのは01年の9月のこと。政府は肉骨粉の使用禁止と危険部位の除去の対策を講じました。

そしてさらに全頭検査も導入されました。

実は少し前に、科学雑誌でこのことに関する記事を目にしました。

記事によると、今年の8月30日にこの検査の廃止が決まったのだそう。

つまりあれ以来ずっと検査をしていたのですね…。

ところで記事によると、全頭検査には科学的意味はなかったのだとか。

肉骨粉の使用禁止と危険部位の除去で十分だったのだそう。

もちろん科学者たちはそれを指摘していたわけですが、国民の不安感を拭い去るという政治的意味で、検査が行われていたのだそう。

この記事を読んで、何というか、科学の非力さを感じたりしたのです。

それがもっともな印象であれ、勝手な偏見であれ、そういう気持ちに働きかけるための非力さを…。

さて…

BSEといえばプリオン(prion)。

本種の学名種小名のなかにこの言葉が入ってますでしょう。

で、前述の記事のことを思い出したというわけです。

もっとも、BSEのプリオンは合成語で、本種学名に出てくるプリオンとはまったく関係ありません。

本種の学名種小名は『鋸歯状の尾』って感じの意。

雄の尾丙に2対の前方を向いた棘があるそうですので、それが由来でしょうか。

 

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寄生する水晶…(ヒトデナカセ)

2016-11-15 19:37:08 | 水中生物

日が昇る前に降った雨を引きずるように、前半はややムシムシした本日のやんばるです。

後半には青空が拡がり、風も乾いた感じになりましたけど。

明日はもう少しだけ、ヒンヤリとしそうです。

風は北。曇のち晴れ。

〈ハナゴウナ科ヒトデナカセ属ヒトデナカセ Thyca crystallina 16年10月7日 沖縄島安和〉

ヒトデに目はありますか?

あります。各腕の先に一つずつ目があるのだとか。

その解像度は200画素くらい。

最新のデジタルカメラが2000万画素を超えてますから、相当粗い光景を見ているのでしょうね。

でもその目は、涙を流すことはないでしょう。

だから、本種によって実際にヒトデが泣かされているわけではないでしょうね。

もちろん、本種和名の『ナカセ』は泣かせるということから寄生を表現しているわけで。

寄生とは、ある生物が別の生物に栄養的に一部または全部を依存して生活すること。一般に寄生者が利益を得るのに対し、宿主は損害を受ける場合をいうのだそう。

まさに当を得た表現だと思えたり。

本種は外部寄生で、ヒトデの体表にくっつき、管状の口を突き刺して体液を吸うのだとか。

和名からはいわゆるヒモっぽいイメージが浮かんだりしてましたが、実際にはドラキュラっぽいな…とか思えたり。

両者のどちらのイメージにも繋がりますが、本種はとても綺麗な外見をしていますね。

学名の方は、その容姿からのよう…

学名種小名は『水晶』の意。

石英の中でも特に無色透明なものを水晶と呼ぶのだそうですが、そこに不純物が混じり色のついたものを色つき水晶というのだそう。

青水晶という感じで、学名の方も当を得た名前に思えますね。

 

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髪に櫛…(アオクシエラウミウシ)

2016-11-11 19:29:37 | ウミウシ

ポカポカ陽気で海は凪。気持ちよ~く潜れた本日のやんばるです。

昨日沖縄気象台から1ヶ月予報が発表されました。

それによるとこの先1ヶ月の沖縄地方は、気温が高く、降雨量が少なく、日照時間は多いのだそう。

ダイバーにとっては、いいコンディションになりそう。

とりあえずこの先一週間も〈小夏日和〉が続きそうです。

風は北西。晴天。

〈ドーリス科ドーリス属アオクシエラウミウシ Doris pecten 16年10月7日 沖縄島安和〉

『八雲立つ 出雲八重垣 妻籠に 八重垣作る その八重垣を』

初めて買ったお土産は、櫛だった記憶があります。

小学校の修学旅行のお土産で、祖母のために。

昔の女性は、長い髪を纏めて櫛をさしているのが当たり前だったのです。

祖母は大正生まれの京女だったので、特にそうだったのかもしれませんが…。

女性の髪と櫛が強く繋がるイメージを持っている世代って、どの辺りまででしょう。

今は櫛よりもブラシですよね、たぶん。

冒頭の歌は、古事記から。

スサノオによるヤマタノオロチ退治の説話で詠まれたもの。

歌のなかに『妻』という文字がでてきますが、この『妻』とはクシナダヒメのことです。

スサノオがオロチから助けた娘ですが、彼はこの娘を櫛に変え、身につけてオロチと戦ったのだそう。

つまり『クシナダヒメ』とは『櫛になった姫』という意味の名なのだとか。

何故櫛なのかというと、日本では古来、櫛は呪力を持っているとされていたからだそうです。

〈同種同一個体 同日 同ポイント〉

さて……

本種の学名種小名は『櫛、櫛状の』の意。

これと和名から察するに、櫛みたいな鰓が特徴なのでしょうか。

呪力を持つ鰓かも…?

 

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非主流…(ケフサゼブラヤドカリ)

2016-11-08 18:27:56 | エビ・カニ類

冷風は非常に弱く、本日もポッカポカだったやんばるです。

が、明日の天気予報を見て…。

寒気の影響で一気に寒くなりそうな…。

まだ全然衣替えをしてないので、とりあえずの何かを引っ張り出さないとなぁ…。

まあ、一時的な寒さのようですが。

風はごく弱い北。晴れ。

〈ホンヤドカリ科ゼブラヤドカリ属ケフサゼブラヤドカリ Pylopaguropsis fimbriata 16年9月26日 沖縄島安和グスク〉

白と赤紫のストライプ模様が特徴的な本種ですが、名前に採用された特徴はそこではなく右のはさみ。

ここに剛毛が生えていることが、和名の『ケフサ』の由来なのだそう。

また学名種小名は『総のある』の意。

これも同じ右のはさみから。

他にも学名種小名には『フリンジのある』という意味も。

フリンジ(fringe)はファッション用語で、糸や紐をたらした総飾りを意味するのだとか。

本種の学名、つまりラテン語のフィムブリア(fimbria)がその語源です。

どんな感じの飾りなのかと画像検索をかけてみると、ずらずら~と海外ドラマの画像が…。

どうやら〈FRINGE〉というタイトルのドラマがあるようで。

こちらの方はファッションのfringeではないようです。

英語のfringeには総飾りの他にも『主流逸脱者・極端論者・過激派』という意味があるのだそう。

なんか、今最終局面にある海の向こうの選挙…、その候補者の一人が浮かんだり…。

それはともかく、ドラマの方は〈fringe science〉のfringeだそうで、〈非主流科学〉を意味するのだとか。

YouTubeで予告動画を見たら、もろ好みのドラマだったり…。

それはさておき、本種のこのはさみ、『非主流の』の意味の種小名でもあってるような気もするのですが…。

 

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石花色は…(フトユビシャコ属の1種)

2016-11-04 19:00:13 | エビ・カニ類

日差しは十分にパワフルでしたけど、ヒンヤリした風も十分に強かった…って感じの本日のやんばるです。

まあそれでも夏日なんですけどね…。

明日は風が弱まりそうなので、ポカポカな天気になるのではないでしょうか。

風は北西。晴れ。

〈フトユビシャコ科フトユビシャコ属の1種 Gonodactylus sp. 16年9月21日 沖縄島安和〉

シャコの和名は、シャクナゲが由来なのだそう。

ツツジ科ツツジ属のあのシャクナゲのことです。

まあ、シャコ科シャコ属シャコの話ですが。

茹でると紫褐色になるところからだとか。

つまりそれがシャクナゲの花の色のようだということ。

実際に江戸時代には、シャクナギ(シャクナゲ)と呼ばれていたのだそう。

シャクナゲは、石楠花・石南花、あるいは石花と書くそうで、その石花(シャクカ)がシャコに変じたのだとか。

そういえば…

シャクナゲといえば、『夏の思い出』

夏が来~れば思い出す~♪ で始まる歌のことですよ。

『しゃくなげ色にたそがれる はるかな尾瀬 遠い空』

という歌詞がありますよね。

シャクナゲの色は、夏の夕暮れ空の色でもあるのですね。

そう思うと、ちょっとセンチメンタルな気分も感じたりするかも…?

シャコを見たとき、どちらを思い出します?

寿司ネタのシャクナギ色?

それとも、夏の黄昏の空の色?

〈同種 同一個体 同日 同ポイント〉

 

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その目が閉じられることはない(フタスジハゼ)

2016-11-01 18:28:15 | ハゼ科

今日から11月ですね。

それに合わせるように北風が強まり、一気に秋が深まった感じのやんばるです。

本日11月1日は、ワンワンワンで犬の日なのだということは知ってましたが、紅茶の日でもあるのだそう。

その昔、大黒屋光太夫がロシアの女帝から紅茶を贈られた日なのだとか。

移動中のラジオがいってました。

あるいは今日は、寿司の日でもあるそう。これは朝のテレビがいってました。

さらには、今日は年賀状について考える日でもあるのだそう。

これはカメラ量販店のダイレクトメールで知りました。

そうか、年賀所のことを考えないとなぁ…。

風は北~北西。くもり。

〈ハゼ科ハゼ亜科オキナワハゼ属フタスジハゼ Callogobius sclateri 16年9月21日 沖縄島安和〉

木魚とは、仏具であり楽器の一種でもあります。

お経を読むときに鳴らし、リズムを整えます。そしてもう一つ、眠気を覚ますという役割もありますね。

さて、なぜ木魚が魚を模しているのかというと、眠るときも目を閉じない魚は、かつて眠らないのだと信じられていたからなのだそう。

魚は眠らないのでしょうか?

魚類の睡眠は、原始睡眠なのだとか。

原始睡眠は、覚醒時と睡眠時の脳波に明確な違いが見られないのだそう。

だから眠るというよりは、体を休めるという感じなのだそう。

さらにはマグロのように原始睡眠中も泳ぎ続けるものもいますから、睡眠と呼ぶのは微妙な感じもしたり…。

何にしても、フグ類等の一部の例外を除いて魚には瞼がありませんので、眠りを表す最もオーソドックスな動作である『目を閉じる』ということがないわけです。

彼らは目を閉じません。

生まれてから、死ぬまで、そしてそれ以後も……。

〈同種 同一個体 同日 同ポイント〉

で、画像をよくよくご覧あれ。

何か違和感を感じますか?

実は二枚の画像は共に、生体写真ではないのです。

南無…。

 

 

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