Sakana no Sanaka

沖縄本島テキスト系ダイバーの一考察

狭い海峡(セトイロウミウシ)

2019-04-30 19:44:57 | ウミウシ

予報では後半雨交じりな感じだったのですが…十分に日差しを浴びられた本日のやんばるです。

最高気温も真夏日近くまで上がりました。

明日は雨のようですが、明後日からはまた晴れ間が戻りそうです。

そして連休後半は、夏日な気温が続く日々になりそうな予報です。

風は南西。晴れのち曇。

■■

今日で平成が終わり、明日からは令和ですね。

つまり日付が変わる深夜0時が平成と令和との分かれ目。

分かれ目を表現する言葉に、瀬戸際という言い方がありますね。といっても、今夜が平成と令和の瀬戸際だ。なんて表現はしませんが。

瀬戸際が表す分かれ目は、勝負や成否などの分かれ目のこと。『生きるか死ぬかの瀬戸際』とか、『瀬戸際外交』なんて使われ方をしますよね。

瀬戸際の『瀬戸』は、両方から陸地がせまっている狭い海峡のことなのだとか。『せと』はもともと『狭戸・狭門』という意味だったそうで、『瀬戸』と表記されるようになったのは近世以降のことなのだそう。

また別の説では『セ(急)・ト(処)』で急潮を呼んだ語なのだそうで、そういう場所は船が無事に通過できるかどうかの、まさに生死の境目なので、それが瀬戸際という言葉に繋がっていくよう。

同じ由来を持つのが瀬戸内海。外海である日本海や太平洋に出るためには『せと(狭戸・狭門)』、つまり狭い海峡を通過しなければなりません。『せと』の内側の海というわけですね。

もう一つ、瀬戸といえば『瀬戸物』。陶磁器全般の通称になっていたりしますが、本来は瀬戸焼のこと。愛知県瀬戸市を含む愛知岐阜両県の焼き物で、シェアは全国の7割なのだとか。

この瀬戸物の瀬戸も前述までの瀬戸と同じ由来なのだそう。実は瀬戸には、狭い海峡という意味の他にもう一つ川の瀬の幅が狭くなった所という意味もあるのだとか。瀬戸市は川を挟んで谷が狭くなっている地形が特徴なのだそうです。

■■

さて…

〈イロウミウシ科アデヤカイロウミウシ属セトイロウミウシ Goniobranchus setoensis 19年3月12日 沖縄島安和〉

学名種小名は『瀬戸の』の意。

接尾辞が ensis ですから、タイプ産地ですね。

見た目は陶磁器のように綺麗ですけど…。

 

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未知の南方大陸(ジュッテンイロウミウシ)

2019-04-23 20:27:51 | ウミウシ

雨交じり、というほど雨に降られることはなかった本日のやんばるです。空はドンヨリでしたけど。

最近の天気図を見る限り、そろそろ梅雨かな…とか思えたりもしますが、前線の活動はまだ活発ではないみたい。

昨日もガッツリ前線が通過していたはずなんですが、雨らしい雨はなかったですから。

それよりも、前線に流れ込む暖かく湿った南寄りの風が心地良く感じるこの頃です。

当地の梅雨入り平年値は5月9日。

昨年は5月8日に速報値として梅雨入りが発表されましたが、後に6月1日に修正されました。

修正し過ぎじゃない…とか思ったりもしますが…。

今年はどうでしょう。10連休中に梅雨入りしたりするかな…。

風は南~南東。曇、一時弱雨。

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かつて、南極を中心として南半球の大部分を占める大陸が存在すると推測されていたのだとか。

その大陸は『メガラニカ』と呼ばれ、古代ギリシャの知識人の間でそういう考えが生まれたのだそう。

その後大航海時代に発見された数々の陸地が、メガラニカの一部だと考えられたりもしたのだとか。

しかし、ジェームズ・クックの南極圏にまで到達した航海により、メガラニカの存在は完全に否定されたのだそうです。

とはいえその過程で、1606年にウィレム・ヤンツが到達し、1644年にアベル・タスマンによって『ニューホランド』と名づけられた大陸が、ヨーロッパ人に認識されることとなりました。

そしてこの大陸はメガラニカの別名である、『テラ・アウストラリス・インコグニタ』に因んで、『テラ・アウストラリス』と呼ばれるようになりました。

『テラ・アウストラリス・インコグニタ』はラテン語で『未知の南方大陸』を意味する言葉です。

大航海時代に多くの航海者によって探し求められた仮説上の大陸は、結局のところ存在しませんでしたが、その過程で発見された大陸にその名が残されたわけです。

『テラ・アウストラリス』はさらに変化して、現在は『オーストラリア』と呼ばれています。

オーストラリア大陸は、伝説上の超大陸の名を受け継いでいるわけです。

■■

さて…

〈イロウミウシ科シノビイロウミウシ属ジュッテンイロウミウシ Thorunna australis 19年3月5日 沖縄島安和〉

学名種小名は『オーストラリアの』の意。

この子もまた、伝説の超大陸の名を受け継いでいるわけです…。

 

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SING SING(ウルマカサゴ)

2019-04-16 18:39:20 | フサカサゴ科

午前中からひんやりとした雨。肌寒い一日になった本日のやんばるです。

まあ今晩中に低気圧が通過して、明日の日中には晴れ間が広がりそうですが。

そして明後日からの週間予報ではずっと夏日の予想気温になってます。

風は南東~東。雨。

■■

ピジン語という言語があります。どの地域のどんな民族が使っている言語かというと…、実はそういう特定の言語をさすものではありません。

共通の言語を持たない人々が、通商などの目的で接触してコミュニケーションが行われるときに、お互いの言語体系が混ざり合って生じてくる新しい言語体系のことなのだとか。いわゆる混成言語の一つ。

ピジン語は世界各地に見られますが、太平洋諸島でのピジン英語がよく知られているのだそう。

このことを踏まえた上で…

地理的にはオセアニアに属し、オーストラリアの北、ソロモン諸島の西、インドネシアの東、ミクロネシア連邦の南に位置する立憲君主制国家、といわれて国名が思い浮かびますでしょうか。これでぱっと国名が出てくる方は相当な方ではないでしょうか。まあ、何が相当かは置いとくとして。

ともかく、この国の名は『パプアニューギニア独立国』です。イギリス連邦加盟国かつ英連邦王国の一国で、従って現在の国家元首はエリザベス2世女王陛下です。

パプアニューギニアには3万年前から人類が生活していたといわれているそうで、今でも800以上の言語グループに別れた少数民族が、独自の伝統文化を守りながら生活しているのだとか。

その伝統文化の最も特徴的なものが『シンシン(SING SING)』と呼ばれる民族舞踊なのだそう。

もちろん部族によって衣装や音楽そして踊りは全く異なっていて、鳥や木、山の精霊を表すために羽根や真珠や動物の皮で化粧をして着飾り、伝説的な戦いのような重要な出来事が演じられるのだとか。

冠婚葬祭や宗教儀式に伴って踊られるものだそうですが、主要な町で年に一回行われる『シンシンショー』というフェスティバルでも観賞できるのだとか。その催しは、世界的にも注目されるようになっているのだそうですよ。

で、その『シンシン』という呼び名、スペルからもうお分かりかもしれませんが、英語の歌う(sing)からきたピジン語なのだそうです。

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さて…

〈フサカサゴ科オニカサゴ属ウルマカサゴ Scorpaenopsis papuensis 19年2月18日 沖縄島安和〉

学名種小名は『パプア(パプアニューギニア)の』の意。

儀式的に着飾っているような色彩・模様に見えたりも…。

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玉虫色と陰陽五行(ゴシキエビ)

2019-04-09 18:25:19 | エビ・カニ類

夏日続きのやんばるです。日差しもタップリで汗ばむ陽気です。

今これを書いている部屋でも普通にエアコンかけてますし…。

明日は雨交じりの空模様のようですが、ムシムシと暑くなりそうな予報になっています。

風は南。概ね晴れ。

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来月から始まる新しい元号『令和』は、万葉集に由来するのだそうで。

万葉集は日本に現存する最古の歌集で、その体裁が整った成立は奈良時代のことだとか。天平宝字3年までの130年間の歌が収録されているのだそう。『天平宝字』って元号ですよ。4文字の元号もあったわけです。

最初の元号は『大化』、大化の改新の大化ですね。つまり奈良時代の一つ前の飛鳥時代から元号が始まったわけですね。飛鳥時代には日本の基礎となるインフラがつくられたそうですから、元号もその一つだったのでしょうか。聖徳太子や天智天皇などの功績ということでしょうか。

聖徳太子といえば法隆寺。そして法隆寺といえば『玉虫厨子』。法隆寺に所蔵されている飛鳥時代の仏教工芸品です。『厨子』というのは仏像などの礼拝対象を納めて屋内に安置する屋根つきの工作物のこと。『玉虫厨子』は国宝に指定されています。

もともとは推古天皇の愛用品であったそうで、その名の通りタマムシ(ヤマトタマムシ)の美しい羽で装飾されています。もっとも現在では羽はほとんどなくなっているそうですが。でもレプリカの画像を見る限り、そうとう美しかったのだろうとは想像できます。

タマムシの上翅(鞘翅)はシャボン玉と同じでそれ自体に色がついているわけではありません。その微細な構造によって光が干渉するために色づいて見える、いわゆる構造色です。それによって金属光沢を発しているため、死後も色あせないのだそうですよ。

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さて…

〈イセエビ科イセエビ属ゴシキエビ Panulirus versicolor 19年4月12日 沖縄島安和〉

画像は幼体。

〈同種別個体 19年2月18日 沖縄島安和〉

こちらは成体。

学名種小名は『色の変わる、玉虫色の』の意。

学名的には、五色以上の色を纏っているようです。

僕だけでしょうけど、このエビを見ると浮世絵をイメージしてしまいます…。

五色といえば『五色の短冊』。

あれが何故五色かというと、それは陰陽五行説の影響なのだとか。中国から伝来した考え方で、世界の現象を陰と陽に分け、世界の自然は木・火・土・金・水の5つの元素から成り立っているという考え方です。

この五元素は色に対応していて、木は青、火は赤、土は黄、金は白、水は黒なのだとか。

つまり五色の短冊は、青・赤・黄・白・黒の五色なのだとか。

画像の成体を見る限り、五元素の五色を纏っているようです。

和名の方が似合ってると思えたり…。

 

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脳の中の色(アオセンミノウミウシ&マゼンタミノウミウシ)

2019-04-02 19:52:15 | ウミウシ

早朝からの寒さを日中の日差しがやわらげてくれた本日のやんばるです。

明日まではヒンヤリとした風の日が続きそうですが、週の後半にかけては暖かくなっていくようです。

週末には夏日になりそうな予報です。

風は北東。晴れ。

■■

三原色には二種類ありますよね。光の三原色と色の三原色。

光の三原色は『赤』と『緑』と『青』ですが、なぜこの三色かというと人間の目がその三色しか認識できないから。

色の認識は目の錐体細胞が担っているそうですが、その錐体細胞が人間には三種しかないということなのだとか。

すると人間には本来この三色しかないわけで、しかしこの三色があれば全ての色を表現できるということなのだそう。

これ、テレビの原理ですね。

光の色を全て重ねると白になるそうで、これは全ての錐体がオンになっている状態なのだとか。逆に全ての錐体がオフになっているとき、黒と感じるよう。

今目の前に光があたっている白い紙があるとします。つまり錐体は全てオン状態。

この状態から赤の錐体がオフになると、そこには『シアン』という色が現れます。つまり、『緑』と『青』の光が重なっている状態。

同じように、『赤』と『青』が重なると『マゼンタ』が、『赤』と『緑』が重なると『イエロー』が現れます。

『シアン』と『マゼンタ』と『イエロー』、つまり色の三原色ですね。

ある物体に光があたったとき、その物体が反射した光を僕らは色として感じます。物体は光の色のうちの一部を吸収しますから、吸収されなかった色ということですね。先程の言い方に従うなら、吸収された色の錐体はオフになり、反射された色の錐体がオンになるわけです。

ところで、実は光に色がついているわけではないのだとか。また物質に色がついているわけでもないのだそう。色とは光の波長を脳内で識別する能力によって生み出されているものなのだそう。つまり色は僕らの周りにあるのではなく、僕らの頭の中にあるということのようです。

同じ色彩を見ても、認識は人それぞれということなのでしょうね。

そういえば同じ魚を見ていても、模様や色の感じ方が全然違うことってありますねぇ…。

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さて…

〈フジエラミノウミウシ科フジエラミノウミウシ属アオセンミノウミウシ Trinchesia sp. 19年2月12日 沖縄島安和〉

光の三原色から青…

〈フジエラミノウミウシ科フジエラミノウミウシ属マゼンタミノウミウシ Trinchesia sp. 19年2月18日 沖縄島安和〉

色の三原色からマゼンタ…

因みに眼点と呼ばれるウミウシの目ですが、視力は弱く明暗くらいしかわからないと言われているのだそうです。

するとウミウシには、桿体細胞はあっても錐体細胞はないのでしょうか…。

 

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