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各国の軍事力派兵が増加するなか、今年1~6月のソマリア周辺海域で海賊件数が約5倍になる

2009-07-18 06:32:12 | 国際政治
ソマリア周辺海域 1~6月
海賊件数 約5倍に
各国艦船が増加するなか

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 国際商工会議所の国際海事局(IMB)が15日に公表した報告によると、今年1~6月のアフリカ東部ソマリア周辺海域での海賊発生件数が、前年同期比で約5・4倍に激増していることが明らかになりました。

 それによると、今年上半期の世界全体での海賊件数は240件で、前年同期の114件を大きく上回っています。地域別ではソマリア周辺が最多で、アデン湾で86件(昨年19件)、ソマリア東方沖で44件(同5件)と、いずれも激増しています。(地図)

新しい海域に

 アデン湾では昨年来、米軍を中心とする多国籍軍やEU(欧州連合)部隊などが民間船舶の警備や海賊取り締まりを強めていますが、結果的には艦船の増加と比例して海賊発生件数も増える形となっています。

 IMBの報告は「アデン湾での複数の国の海軍の存在により、海賊の船舶乗っ取りが困難になっているため、海賊をオマーン沖やソマリア東方沖など新しい海域に向かわせている」と述べ、各国海軍の行動がソマリア東方沖などでの海賊を増やす直接的な要因になっていると指摘しています。

海自も派兵

 海上自衛隊も4月から護衛艦2隻、6月からP3C哨戒機2機をアデン湾に派兵しています。6月には、この派兵の新たな根拠法として「海賊対処」派兵法が成立しました。

 防衛省によると、海自護衛艦は4月1日から7月14日までの3カ月半で38回、のべ115隻の日本関係船舶を「護衛」。ただし、アデン湾を通過する日本関係船舶は年間のべ約2000隻で、圧倒的多数の船舶は対象外となっています。

 外国艦船の展開によって海賊の発生を減らすことはできないことが示されています。

 国連専門機関の一つである国際海事機関(IMO)は今年1月、「ジブチ行動指針」を採択。各国海軍による取り締まりではなく、周辺国の海上警備能力の向上を最優先課題に挙げています。

(出所:日本共産党HP 2009年7月17日(金)「しんぶん赤旗」)

交戦想定 犠牲を覚悟
海上自衛隊員 本紙に胸中語る
戸惑い不安 家族にも言えず
「いずれソマリア沖に」

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 「法的根拠もない見切り発車になり不安だ」「上級幹部は交戦を想定している」「犠牲の覚悟なしに行けない」――。「海賊対策」としてインド洋のソマリア沖に護衛艦二隻を派兵した海上自衛隊。海上勤務の現職隊員が、とまどいと不安の胸中を本紙に語りました。

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憲法に違反も

 海外任務はインド洋の燃料補給活動など数多く体験しています。しかし今回はこれまでとは違って、格段に危険を感じます。「海賊」といわれる武装勢力と交戦が想定されています。その意味でソマリア沖は、戦場。ここで武器を使用すれば自衛隊創設以来のことになります。当然、海外での武器使用を禁じた憲法に違反します。

 名古屋高裁はイラク派兵を「海外での武力行使になる」として憲法違反と断じました。その意味で名古屋高裁の「違憲判決」は今回も適用されます。

 海上警備行動というが、もともとは日本周辺を想定しています。日本から一万キロも離れた海域での警備行動は想定されていません。自衛艦の医務室を改修して拘束した「海賊」を収容する営倉なども設置しました。

 ソマリア作戦には海上自衛隊の特殊部隊、特別警備隊が投入されます。自衛隊の海外任務への特殊部隊の公然とした出動は初めてです。特警隊は昨年、離任する隊員を事実上の集団リンチで命を奪っています。しかしリンチ事件への罪悪感はもうありません。今回の出動を追い風とさえ感じています。

 防衛省は作戦の危険性を承知しています。だから派兵期間もインド洋の半年間の半分、三カ月交代にしました。精神的に維持できない隊員が出ることが予想されるからです。向こう一年間の派兵部隊はすでに確定し、次は横須賀(神奈川)、大湊(青森)から出されます。

 アメリカは「海賊」対策も「対テロ戦争」と位置づけています。

米軍のもとに

 自衛隊は米軍の作戦と武器技術抜きに行動できません。インド洋での燃料補給も、今回の海賊対策も米海軍の作戦・統制のもとで行われます。海賊対策を口実に別の任務も要求されることも否定できません。自衛隊は表向きは拒否するでしょうが、アンダー(水面下)でやることもありえます。

 そうした前のめりの作戦をやる背景に上層部にはこんな思惑もあります。これまで自衛隊と距離をもってきた民間船の船主会が、こんどの海賊対策で恩義を感じるからです。

 本来、軍隊は戦闘だけでなく、輸送、調達、医療なども合わせて自己完結していますが、自衛隊は違います。「(運輸会社の)日通の限界が自衛隊の限界」という言い方があります。

 自衛隊は、訓練や作戦で補給を民間に依存します。しかし民間は輸送距離や危険性の判断で限界点があります。また自衛隊への協力を歓迎しない空気があります。しかし海賊対策で、民間の船主側に大きな貸しができます。有事の際に民間は協力を拒めなくなる、少なくとも今までよりも協力的になると踏んでいます。民間徴用の面でプラスになるという読みです。戦争態勢の強化です。

 国内法もないまま、派兵ありきは過去の侵略戦争と同じだという指摘は否定できません。いずれは自分の部隊も派兵されるでしょうが、こんな無理を重ねたソマリア沖作戦には参加したくありません。身の危険への不安は家族にも言えません。

ソマリア沖派兵に抗議
志位委員長会見で表明

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 日本共産党の志位和夫委員長は十四日、遊説に先立ち訪れた仙台市で記者会見し、政府が前日、自衛隊をソマリア沖に派兵するため、現行自衛隊法にもとづく海上警備行動の発令を決め、さらに派兵新法案も国会提出したこと、十四日には実際に海自護衛艦二隻が出航したことに党として厳しく抗議するとともに、新法成立を許さない決意を表明しました。発言の内容は次の通りです。


 一、麻生政権は、ソマリア沖に海上自衛隊の護衛艦の派遣を強行した。現行自衛隊法にもとづく海上警備行動というが、これは日本近海を想定してのものであり、これを根拠に世界のどこにでも自衛隊を派兵するなど、とうてい合理化しえないものだ。現実の銃撃戦に直面する危険の大きい派兵を、こんななし崩しのやり方ですすめたことに、わが党は厳しく抗議する。

 一、政府は、なし崩しに派兵の既成事実を先行させながら、「海賊対策」名目の新法案を強行させようとしている。この法案は、現行法が「日本関係船舶」に限定している保護対象をすべての船舶に広げるとともに、武器使用基準を拡大して、これまで基本的に「生命・身体の保護」のために限っていた武器使用を、「任務遂行のため」にも拡大している。「任務遂行」のための武器使用は、「憲法九条の禁ずる武力行使に該当することがないとはいいきれない」としてきた従来の政府見解に照らしても絶対に許されない。

 新法案は、自民、民主がめざす、海外派兵の恒久法への突破口としても、きわめて危険な意味をもつものである。わが党は、新法案に強く反対するとともに、廃案に追い込むために国民とともに全力をあげる。

 一、そもそも海賊とは、犯罪行為であり、その取り締まりは警察力によるべきものである。日本は海外派兵ではなく、周辺国の沿岸警備強化のために、財政的・技術的な支援をおこなうことこそ必要だし、周辺国からも求められていることである。

 問題の根本的解決のためには、ソマリアの内戦終結をはじめ、崩壊したソマリア国家とこの地域を政治的、経済的に安定させるための国際的な協力が不可欠であり、日本はそれを促進する外交努力こそはかるべきである。

(出所:日本共産党HP 2009年3月15日(日)「しんぶん赤旗」)
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