プラムフィールズ27番地。

本・映画・美術・仙台89ers・フィギュアスケートについての四方山話。

◇ ウィラ・キャザー「マイ・アントニーア」

2017年05月31日 | ◇読んだ本の感想。
アメリカ文学最短コース遍歴中。

だいぶ終わりが見えてきたこの時期になってようやく、これは好きだと思える話に巡り合ったね。
「たんぽぽのお酒」の次くらい。
まあ「風とともに去りぬ」も夢中になって一気読みしたけど、好きというのとは違うなあ。

アメリカ開拓時代の話だと思うんだけど。
本を返却してしまったので時代設定とかよくわからないが、中欧系、北欧系、ロシア系の移民がまとまっているエリアの話らしい。
アメリカで移民と言えばアイルランドのイメージがあり、イタリア、スペインあたりがその後に続き、
中欧やロシアの移民がある一定数いたという意識はほぼなかった。

たしかアントニーアはチェコからの移民だったような……
語り手は移住してきたアントニーアの隣人。隣人って言ってもなにしろ開拓時代の西部だし、
それなりに距離がある。筈。
しかし幼馴染としてよく遊んだ仲。ほのかな恋心はありつつも、深い関係になることもなく、思春期以後はほぼ関係もなかった。

この関係性がデリケートで、よく書かれている。
たしか語り手はアントニーアの4歳下で、でも語り口としてはそんなに年齢差を感じさせないと思った。
アントニーアを賛美し、だからといって物欲しげではなく、しかしその欠点は描写し、
欠点を描写しつつもそれに対して審判を下してはいない。
まさに“そのままの君が好き”という表現なんじゃないだろうか。
恋人にもならないし、なりそうもないし(むしろアントニーアの友人とは付き合っていた時期がある)、
しかし爽やかな甘さのある関係。例えていえば、5月の草原を渡る風のような。

でも成人後はずっと音信不通なんだよね。
そして多分50代くらいになって、語り手は久々にアントニーアを訪ねて行く。
語り手はけっこう羽振りがいい弁護士になっており、だいぶお金持ち、もしかしたら相当なお金持ち。
アントニーアは若い頃に男に捨てられて、私生児を生んで、そして別な男の妻になってその土地で暮らしている。

この訪問はあまりに上手く行き過ぎではないかとは感じるけれどね。
いくら幼馴染でも……30年?40年近くたって彼我の境遇があまりにも離れてしまえば、そう純粋に再会を喜べるかどうか……
純粋に再会を喜べる稀有な間柄という意味なのかもしれないが。
たくさんいる子供たちも、繰り返し思い出話を聞かされて、語り手のことをよく知っている。親しみを感じている。
まあ……ないよね。多分。まだアントニーアの旦那が死んでたりしたらアリかもしれないが、生きてるんだもの。

でもいいんだ。わたしはきれいごとの話が好きだし。
ザラザラした、舌にジャリジャリするようなアメリカ文学から、
ようやくここまで口当たりが良いものになってきたっちゅうことで。
いい人の話が好き。だから訪問の話も幸せだった。
読んで良かったと思った。後味の大変いい作品。

地域の人々の関係の描写は「赤毛のアン」と似通う部分がある気がする。
その他に、移民たち、あるいは開拓民たちの苦労や生活を書いている分大人向けになっているけど。


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しかしどうして語り手の語り手が必要だったかはわからないね。最初からジムが語り始めてもまったく問題ないように思うが。


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< スリル 赤の章 黒の章 全4回×2 >(ドラマ視聴)

2017年05月29日 | ドラマ。
これはなー。
わたしにとっては男性キャラクターの人間性の悪さが響いたドラマ。
まあ結局全部見たんですけども。

ヒトミの設定と描き方は面白かった。
お父さんがいなくなったあとどうやって生きて来たのか全く描かれないとか、
お父さんのノートを肌身離さず持っているのはさすがに不自然とか、色々あるけどね。
そういう不自然さは展開上ありとしても良い。

しかしとにかく乗り越えられなかったのが、小出恵介の登場シーン。登場シーンではないか。
ヒトミとの最初の邂逅シーン?お茶を運んでたヒトミに走ってきた小出恵介がぶつかる場面があるでしょ。
……あれだけ派手にぶつかって、ティーカップもがちゃがちゃに割れて、女の子を転ばせといて、
「すみません」もなく「大丈夫ですか?」もなく、「気をつけろ!」って。
人として終わっとるわ!!!!

現実にそんな人がいたら間違いなくまともじゃない人です。決して近づきたくない、危ない人。
そう描いておいて、それで相手役にしようってんだから、その脚本の雑さ加減に呆れる。

雑な脚本でしたよ。
捜査資料をあんなに簡単に流出させていいのか。
そもそもヒトミの立場で現場に連れてくなんて……
色々ありすぎていちいち覚えてないが、誰も気づかない4階(だっけ?)なんてありえませんから!

山本耕史もねー。
前は好きな方だったんだけどね。「陽炎の辻」を見たあたりから、あれ?と思い始めて。
それに加えて、役者を私生活で判断するべきではないと思うが、結婚にまつわるエピソードでかなり引いてしまって。
山本耕史にしても堀北真希にしても、わたしが親近感を覚えない方向の変人。

そして今回、雑に描かれたダメ男をそれは見事に演じたものだから、役柄と本人が重なってしまった。
役柄と本人が重なるというのは、基本的には褒め言葉な気がするけど、
このドラマに限っては、本人に役がすり寄った感があるというか……とにかく、わたしの好みではなかった。
コミカルさよりも雑さを感じてしまった。


まあでも空気感とか――あの空気感が好きなわけではないが、ある色を醸し出そうとしていたところには、
創作の努力を感じる。
ヒトミのバレエのような動きは好きだった。「つーまーりー」も結構好き。
そして後半にさしかかっての小出恵介のヒーローぶりも、……大きな声では言いたくないが、少々きゅんとした。

ので、良いところ悪いところ半々。若干悪いところ多め。
でも最後まで見たからね。面白かったことは面白かったってことだよね。
ただ続きはなくても良い。あると見てしまうだろうから。どうなんだ。好きなのか嫌いなのか、どっちなんだ。


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楽天イーグルス、5月26日の試合。

2017年05月27日 | 東北楽天ゴールデンイーグルス。
ヤレヤレ。

……観戦勝率が2割5分になってしまったんですけど、どうしてくれるんですか?
なんでチームが7割勝ってる時に1回しか勝ち試合が見られないのだろうか。

しかもいずれの試合も、負けるにしても負け方がヒドい。
則本だから勝つかな?と思って見に行ったらぼろぼろ6点取られて負けた試合と、
辛島は今シーズン調子いいから勝つかな?と思って見に行ったら、あっという間に0-6になって負けた試合と、
今日は森だから負けるかな?と思って行ったら、森がまさかの好投で零封、しかし森原がまさかの5失点。
ことごとく予想を裏切られている。
負けたけどいい試合だったね、ということがない。

まあ今日の森は良かったです。
こないだも4回までしか投げさせてもらえなかったとはいえ、そこまでぼろぼろではなかったからね。
しかし森はワインドアップで投げてる時はいいんだけれども、セットになると途端にダメになる。
でも今日はセットになっても持ちこたえ、このくらい安定して投げられるのならローテーションでいいんじゃないですか。
球数も相当に少なかった。立派なもんだ。
少し明るい兆し。

逆に森原は暗い兆し。とにかく間合いが長すぎた。悪い時の辛島みたい。
今まではストライクをさくさくとっていたイメージなのだが、今日はいつもの3倍くらい時間がかかっていた。
疲れている、というだけならまだいいんだけどもね。
今まで散々頑張ってくれたし、今後もおおいに期待しているが、修正の見極めは首脳陣の仕事ですよ。
何しろルーキーなんだから。
今日も3点取られた時点でも替えて良かったんじゃないかと思うわ。あと1アウトとはいえ、全然ダメな感じだったもん。

地味に印象悪いのは、森原が5点取られた後の攻撃。
足立と田中和基が2者連続初球アウトってさ……。それでは反撃なんかできません。

そして当然今江も相当に印象が悪いのであった。
まあわたしは元々、今江がFAで来た時も特に歓迎はしなかったから……。今年は最初すごく調子良かったが、
あっという間に好調期が終わりましたからねえ。また打ち始めたら見直すことにする。

そもそも今日のスタメンは……勝負を捨てて来た感のある顔ぶれだった。
昨日嶋とウィーラーが怪我っぽいことになってたし、休養日を作ることにやぶさかではないけれども、
……それをわたしが観戦に行く時にやるのはやめてくれ(-_-メ)。


茂木の応援ボードが配られる日にまさか茂木がスタベンだとは思わなかったよ(-_-メ)。
途中代打で出たけど、1-5の点差で1人目の打者で出てきても。ホームラン打っても2-5なんだしさ。
まあこれは純然たるファンサービス。球場はやけくそのように盛り上がりました。

今日は雨予想だったので、むしろ中止になってくれないかなーと思っていた。やるそうなのでシブシブ行った。
不幸中の幸いは、ほぼ雨が降らなかったことかな。霧雨というほど雨でもない、霧って程度は後半ずっとあったが、
試合が終わった直後にポツポツという感じ。ポンチョもわたしは着なくて済んだくらい。
試合も短かったしね。入野が最後出て来た時は、試合終わらんやん……と思ったが、早く帰りたい感じの西武はさくさく。
以上2点が不幸中の幸い。

しかしこんな天気の、しかも平日に25000人入るなんてね。
今回は隣の席が空いていたのでわたしは幸い気楽に観戦出来たが、基本きつきつですよね。ライト指定まで楽天ファンがびっしり。
球場にもっと座席数を増やして欲しい。もう少しパラッとしたところで見たい。


あー、もう!次は勝ち試合じゃないと許さん(-_-メ)。




本日の球場グルメはアジアンフェスタの台湾屋台の鶏から揚げ丼とルーロー丼のハーフ&ハーフ、800円。
わたしは特設屋台は基本的に質量ともにレベルが低く、珍しさだけであって単価も高いという判断なので、
一応チェックはしつつも常設飲食店派なのだが、今回はついこないだ台湾に行って来た人のお土産話を聞いたばかりなので
触発されて台湾。
鶏から揚げ丼、ルーロー丼、それぞれ単独だと700円。
鶏から揚げ丼はどうってことないから揚げだし、ルーロー丼は八角で味付けしたとはいえ、あまりパンチの利いてない味だし、
これは単独よりはハーフ&ハーフを選んで吉です。量も多めで、特に不満なし。リピートはしないが。





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< 勇者ヨシヒコと導かれし七人 >(ドラマ視聴)

2017年05月25日 | ドラマ。
やっと見たシーズン3。

テレビ東京は入らないので本放送は見られず。テレビ東京の番組は気になるものが多いので、
テレ東も見られるといいんだがなーと時々思うが、現行のテレビ放映の仕組みからは今後も無理だろう。
今回のBSでやる前に、地上波で再放送をしていたようなんだけど、地上波はほぼ見ないので、
放映に気づいた時にはすでに3回か4回で……途中から見るというのもあんまりだから、
BSの再放送まで気長に待っていた。放送すると知った時にはウレシかった。満を持して視聴。


まあ、満を持して視聴するほど力の入った作品ではないんですけどね。
相変わらずユルくて。このユルさが大好き。

でも今回は適当にもほどがある!とは思いましたけどね。
視聴率が良くて、予算もついたんだろう「予算の少ない冒険活劇」と謳っているわりには、
大物が次々と出演してた。まさか大地真央がこんなドラマに出るとはね。愛之助もなあ……。徳光さんとか。

それにしてもてっきり導かれし7人が最終回には勢ぞろいするのであろうと思ったら……
すごい豪華だね、ヨシヒコもだいぶ出世したね、とか思ったら……
まさかの「スケジュールが合わずに勢ぞろい不可」!!
ここまでやるとは思わなかった。話に責任をとれ!と思うが、……ヨシヒコだからユルす。
もっとも、ほんとに低予算ならまだしも、だいぶかけてコレってあんまりやりすぎると不真面目。
今回は資金の潤沢さを(チープに見せかけようとしていても)感じたので、
むしろ前のようにほんとにチープにやって欲しいわ。

今作は今までと比べて、さらにメタで笑いを取ろうとしていた。
赤の男とか緑の男とか、テレアーサとかテレトーとかニッテレンとか、インターポール風な男とか……
いいのか。こんなにやっていいのか。
ひと昔前は権利関係をこんなにアブナイところまで引っ張るなんて、始末書もんだったと思うが、
色々崩れてますね。まあ見る方は面白ければいいんだけど、当事者の方々はいいんですか、それで。

回としてはやっぱりミュージカルの回が好きだったかなあ。
歌も曲も、こんなテキトーなドラマのわりに高水準。ダンスも。
また人数出したよね~!この中には木南晴夏のお姉さんもいたらしい。少しはフォーカスされてたんだろうか。
こんなバカバカしいドラマでこんなに手間をかけて、それだけでウレシイよ。ニヤニヤしちゃう。

シーズン4も当然やりますよね?ね?
続く限り見たいぞ。最近はみんな、それこそスケジュールを合わせるのが難しいほど、
個々が活躍しているようだが、何年かに1度の骨休め?みたいな感じでユルく続いて行って欲しい。



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しかし福田雄一は全部佐藤二朗とムロツヨシのアドリブに丸投げしすぎや。もうちょっと仕事せい。





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◇ 飯嶋和一「雷電本紀」

2017年05月23日 | ◇読んだ本の感想。
雷電とはあの雷電。つまり江戸時代のお相撲さんの話。

現在のわたしは相撲にまるで興味がない。
まあ長い人生の間には、人並み程度は力士の名前なんかも知ってた頃もあるのだが、
……今、力士ですぐ名前が出てくるのは白鵬くらいなもので、しかも白鵬の顔となると多分この人だと思う……程度の心許なさ。
ニュースもワイドショーもキライで、新聞も読まないので、興味のあること以外はアホみたいに物を知らないんです。
そして現代社会にはほとんど興味がない。



でも江戸時代だからね。歴史でしょう。歴史は好き。特に構えずに読み始めた。

――読んでいる間、半分くらいは泣いていた。
400ページ超の本、外読みをしていたので、地下鉄でも泣き、昼ゴハン食べてても泣き、
料理を運んできてくれたおねーさんを涙目で見上げてぎょっとさせたりしていた。

そこかしこに泣きポイントがある。
この話は一言で言うなら雷電為右衛門の一代記。江戸で最強だった相撲人、一体どこに泣きポイントがあるというのかというと……
雷電の人物設定が普通じゃないんです。
身を捧げた人。何に?――なんだろう。世の中に。世の中の不幸に。不幸な、惨めな、吹けば飛ぶような細民に。

信濃の、浅間山の噴火で作物のとれなくなった貧しい地方に生まれ。
穀物買占めをしている商家への打ちこわし、一揆などが時たま起こる土地柄だった。
荒れ果てた土地と人心。雷電の力足がその荒れた人の心に精気を吹き込む。

金や物を持っていた強い立場の人々は、雷電の真剣勝負の相撲を嫌った。
取り組み相手が骨を折ったり、痛めつけられてそれ以後相撲がとれなくなるような――情け容赦のない相撲を嫌った。
相撲取りは各藩のお抱えだから。抱えてる方の武士の面子もあれば、あまりにむきつけの闘いは、
秩序のなかで生きている人の嗜好には合わなかった。少なくともこの作品世界では。

しかし力無い者たちにとっては、雷電は大地の精霊のごときもの。
細民の食うや食わずのやせ細った体に、いつでも一所懸命の雷電の相撲の呪力は活力を吹き込んだ。
流行り病で子供を亡くす親が多かった時代、雷電のまわりには厄除けに子供を抱いてもらおうとする貧しい人々が群がった。
藩のお抱えになり、刀も差せるようになった力士が貧しい人を相手にすることは少ない。
そんななか、雷電は長い間、貧しい赤ん坊たちを抱き上げ続けた。


――と、この作品ではそういうことになっている。が、どの程度史実なのかは不明。
飯嶋和一は多分歴史ファンタジーというべきジャンルなんだろうなあ。
書いてあることは相当の史実を下敷きにしているのだとしても、この本では雷電は普通の人間というよりは、
半神半人のような感じですもんね。
ヘラクレス。ああ、そうそう、あんな感じ。

でも雷電をなかなか思慮深い人物に描いていてですね……むしろ雷電の内面などは書かない方が、造型としてはすっきりしたかも。
内面を書くと、最後のあたりの整合性が若干気になるんだよなあ。まあ瑕になるほどではないが。

江戸時代の相撲なんて見たこともないだろうに、何回もある取り組みの様子を、細かく誠実に書いている。
……相撲に興味がないわたしは正直目が滑る箇所だが。でも見えるように書こうと努力する姿勢を感じて吉。



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タイトルが「雷電本紀」ですからね。だいぶ作者の思い入れを感じる。
そして本紀とすることで、古代的な呪術的な雰囲気も漂う。いいタイトルだったと思います。






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< 真田丸 >(ドラマ視聴)

2017年05月21日 | ドラマ。
ようやく。よーやく。見終わった。
12月に終わったのを4月に見終わったんだから、4ヶ月のタイムラグ。
そしてこれから「直虎」を見るんですよ。ただでさえスタートが4ヶ月遅れているというのに、
今度は何か月ずれ込むことになるのやら。面白くなくて視聴中止になるといいなあ。←なんで録ってるか。


いかにも大河を見そうなタイプと言われるし、自分でもそう思うが、
実際に大河を見てるかというとほぼ全く見てないので我ながら驚愕する。
一覧を見ても、確実に最初から最後まで見たのは「独眼竜政宗」だけだね。
もしかしたら最後まで見たかもしれないのは「翔ぶが如く」だね。
興味を持って見始めたんだけど続かず、1ヶ月か2ヶ月で止めたのは「琉球の風」「炎立つ」(これなんか平泉の話なのに……)
「軍師官兵衛」か。
興味を持って見始めたんだけど、最初の3回くらいで止めたのは「北条時宗」「新選組!」「篤姫」「江」だね。

そう思えば、まがりなりにも「真田丸」、最後まで見たんだから快挙といえば快挙だ。



……だがその内実はというと。

見るのが苦痛だったねー。つまんなかった。大河としてつまらなかった。
三谷幸喜だからね。場面場面の小ネタはいいんだよ。ユーモラスなところも好きだ。
しかしこれが50回を費やして描きつくす、渾身の一作かというとさ。
全然そんなことはない。



何せ50回なんだからさー。1クールでは出来ない壮大な話をかっちりとした構成で見たいものだが。
しかし三谷幸喜は構成が上手い脚本家では全くない。
彼の真骨頂は、役者を自在に操る……というよりもそこにいる役者を輝かせる当て書きで、群像劇。
物事を書き表す人ではない。つまり歴史もの、叙事には向かない。
過去に「新選組!」を書いていて、その時は良くも悪くも新しさがあったようだけど、
やっぱりわたしが見たい大河とは方向性が違った。ので、「新選組!」は途中で見るのをやめた。


今回、わたしは秀吉が死んだ後の話を見たくて見続けたんだよね。
秀吉は過去、死ぬほど映像作品が作られているし、もうオナカいっぱいである。
秀吉の話なら、死んだ後のことはまさに後日譚、ひどい時には数分のナレーションで終わりでしょう。
しかし幸村の話ならば。秀吉死後の話がメインでしょう。今まで見たことないその辺りのことをじっくり見たい。

そしたらね!秀吉死んだの8月ですからね!
1月から放送開始で、なんで秀吉が8月まで生きてるか!そもそも三谷幸喜、幸村を書いてないだろう!
書いてるのは秀吉だろう!秀吉が生きてる間は、堺雅人なんかいてもいなくてもいいような、
ちょこまか動き回ってるだけで、話は秀吉のことしか語ってないだろう!
わたしと同じ思いをした人が一定数いたんだと思う。視聴率を見ると。



でも残りの4ヶ月で描ける内容もだいぶあるはずと思っていた。なんといっても残り20回近くあるんだから。



しかしこの後の話が、まあヒドくて……
関ケ原までの5回、ダイジェストですか?というようなごくごく表面的な話をこちゃこちゃと。
あらすじ+小ネタで、全然面白くもなんともないの。
せめて石田治部にもう少し引き付けて書くとかさ!(←全然幸村じゃないけれども)
本能寺の変を数分で済ませたのは英断だが、幸村の話で関ケ原を同じ手法でやっちゃダメだろう!

関ケ原の直後の回、「信之」は良かったですけどね。ピンポイント的に、信之の命乞いがよかった。
というより、本多忠勝の命乞いが良かった。正直、そこまでするほどムコ殿に入れ込んでましたか?とは思ったが、
名場面であり名台詞ではあったと思う。


でもその後からまた、つまんない話なんだよねえ……
まあね。九度山にいる頃の話を面白くすることは難しいと思う。だったら九度山時代に3回も割く必要はない。
で、大坂に行ってから10回もかけてるわりには、全然骨がないというかさ……

真田丸の築城・完全勝利は全50回のメインであってもいいはずだ。
たしかにようやく幸村が活躍したから爽快感はあったけど、それも通り一遍というか。
資料読み込んで、一般人が知らないようなことを見せてくれないとつまらないよ。
真田丸の攻防をじっくり見せてくれないと真田丸とタイトルをつけた意味がですね……。
丸々一回使って高らかに描きあげて欲しいところだった。

実際の豊臣方もグダグダだったんだろうけど、それをそのままくだくだしく見せられてもさー。
そのグダグダを面白く見せなきゃダメなんじゃないの~?


正直堺雅人は好きじゃないんです。「塚原卜伝」のモラトリアム人間っぷりにイヤになり、
まあそれは役の話ではあるんだけど、似たような演技ばっかり!と思っている。
他に「南極料理人」と「ゴールデン・スランバー」しか見てないけど。いい人役。あの波目の笑顔。
いいたいことも言わずにいる善人。

今回の幸村も、あんまり美味しい役ではなかったよね。いい人すぎて。いい人すぎるのも魅力ないよ。
実生活でいい人なのは大いに推奨だけど、役柄でいい人一方ってのも。
もう少し色々書けばいいのに三谷幸喜。誠実で、優しくて、頭が良く、度胸もある“だけ”の主役ではさ。
まあきりに対する扱いは鬼畜だと思うけど。そこでバランスをとってるとか?

それに対して大泉洋は色々あって、役柄としてなんぼか魅力的。信之の方がだいぶお得な役だったのではないか。
しかし大泉洋なら、ほんとはもっと色々出来たよねーと思った。

そしてお得という意味での一番は、草刈正雄だ。
「美の壺」はずっと見てるので、そういう意味では馴染みのある人だが、がっつり役者としての演技を見たのは初めてくらいかも。
脇役でちらっと出てるのしか見たことない。
そしたら造型が面白かったですねー。だいぶ脚本的にはいい加減な部分もあると感じつつも、ちゃんと作ったいい加減ぶりと
あまり区別がつかなかった。もう主役は昌幸ってことでいいんじゃないか。

寺島進もいい役。
片岡愛之助もすごくお得な役。
内野聖陽は、わたしはちゃんと見たことがない役者だが、もうすっかり徳川のおっさん役が板についていて、
ちょっと前まで二枚目役じゃなかったでしたっけ、この人?演技力なのかなあ。最近の他の作品も見てみたいと思った。
この人と近藤正臣の組み合わせは面白かった。何なら斎藤由貴を入れた3人が面白かった。

長澤まさみのきりがうざったかったね!ヒロインって書いてあるけど、全然ヒロインじゃないよね?
というか、幸村はきりを便利に使いすぎ。きりは便利に使われすぎ。扱いがヒドすぎる。
竹内結子はあまり好きではないが、淀君としては面白かったと思う。
しかし竹内結子と長澤まさみが2人で並んでるシーンは、ただ女の子が2人並んでいるだけだった。
身分の違いを全然醸し出せなかったのは淀君として残念だ。

何しろ大河だから、いちいち役者に言及してたらきりがない。省略。



49回50回がもうほんとにダメダメで。
最終回なんて大苦痛で倍速でながら見だよ。

ナレーションってのはいわば逃げなんだからさ。最終回、ナレーションばっかりだったやんか。
全然内容が描けてないっていう証拠。
わたしがオーディオコメンタリーをやっていたとしたら、ツッコミどころは5分に1回では済まないと思われるが、
そこまでやるのは面倒なので、速攻録画は消しましたよ。結論はダメダメってことで。

今後三谷幸喜には大河をやらせるな。



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楽天イーグルス、5月19日の2軍の試合。

2017年05月19日 | 東北楽天ゴールデンイーグルス。
行こうかどうしようかだいぶ悩んだけど、利府の2軍戦に行ってきました。ファンクラブの招待券消費。

そしたら、13:05に着いた段階でもう1点取られてましたッ!!
8回表まで見たんだったかな?その段階で2-8で、取った2点もそこまで爽快感のある取り方ではなく、
見ていていいところはほとんどなかった。

菊池が2回5失点。何しろストライクが入らないので見てるこっちはイライラする。
しかしそれが、最近何かと話題の審判のストライクゾーンのせいかどうかは不明。
「それストライクだろ!」と言えるほど目が良くない。横から見てるしね。
代わった武藤は3回4回はサクサク終えて、ここから反撃なるか?と思ったんだけど、5回に捕まり。3失点。

その次に出た久保なる投手が、登板を告げられた時の拍手も多かったし、「おお」というどよめきもあったし、
注目されてるんですかね?
なかなか上手いことアウトを取ってましたよ。ストライク先行で。ここだけ見てる分には、いい投手かもと思える内容。
ただまあワタシ、投手の球の良し悪しとかわからないので……

打つ方は、あまり記憶がない。
たしか1点目は犠牲フライだった気が……あれって枡田だっけか?タイムリー打ったのは誰だったかなー。
タイムリー打った人くらいはオボエテいてあげたいものだが。


実は16日もコボスタで育成試合を1時間ほど見て来た。別にそこまでせんでもいいやんと我ながら思うのだが。
ヒマだったので。
相手は福島ホープス。太鼓が一人来ていて、一人で声出ししていた。なんかしみじみした。

オコエがいた。で、北川がきれいなヒットを打った。なので、今日2軍の試合に出ていた北川に期待したんだけど
たしか打ってない気がする。どうだったかな。


夕方、道路が混むのがイヤなので試合が終わる前に帰ってきました。
観戦日和。……というよりむしろ暑い(^^;)。日に焼けた。
平日にもかかわらず、利府の椅子席はだいぶ埋まっており、ぎっしりまではいかないけれどもけっこうな入り。
みんな来ますねえ。ワタシとしてはもう少し空いててもいいんだけれども。
球団が人気で、目出度いことです。


夜は1軍の試合をテレビで。……負けたが。
現在ダントツ最下位のロッテ相手に取りこぼしというのは、ソフトバンクが勝っているだけにツライが、
追いついたことを褒めよう。今の楽天に勝つのは大変なんだということだからね。

ただし、明日は気持ちよく勝って下さいよ。


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◇ スティーグ・ラーソン「ミレニアム 1 上下 ドラゴン・タトゥーの女」

2017年05月16日 | ◇読んだ本の感想。
今は亡き児玉清が大絶賛していたミステリ。
この人は大変に本が好きだった人らしく、NHKでも「週刊ブックレビュー」の司会を大変楽しんでしていたし、
有川浩の「図書館戦争」も絶賛し、文庫本では対談もしていたし、まあ正直、彼のエッセイは読んでみたら
そんなに好きではなかったんだけど(^^;)、その本に対する愛情ゆえに親しみを感じる人物。



うん。面白かったですよ。
導入部は若干経済関係寄りでカタめなので、ずっとこんな調子だったら飽きるなと思ったが、
主役のキャラクターが登場すると、彼の性格が気持ちよく、人間関係も良かったので安心した。
キャラも関係性もギスギスしているのはキライなんです。温かみのある方が好き。
けっこう海外ものは多い気がする。冷たい感じのスタイル。そういうのじゃなくて良かった。
途中、うわ、これはグロに行くかも……という部分が2ヶ所くらいあり、そっちの方向に振れると
読めないなと思ったんだけれども、わりとすぐ温かみのある方向に戻ったので無事読了。

上巻はわりとのんびり話が進む。
下巻になった途端に謎解きが進行し、下巻の前半部あたりが一番ワクワクしますかね。
推理というか、捜査が着実で、多少都合が宜しすぎる部分がないでもないが、本格推理的な無理のなさがない。
本格推理の、推理のための推理もキライじゃないけど、現実の調査に準じた展開ですっきり読める。

事件の設定に無理がないね。
結末は、予想できないとは言わないけどテンポや流れなどが見事なので読んでて気持ちいい。


スウェーデンの人が書いた話なので舞台はスウェーデン。馴染みがない国。
最初から海外向けに書くわけないんだから、スウェーデンについて基礎的な説明なんかは当然ないんだけど、
それでも細部が時々目新しくて、ほほーと思った。
わたしの北欧のイメージは、けっこう単純に“いいところ”でさ。
福祉国家とか北欧デザインとか、国のサイズが小さいこともあり、他の国よりもスマートに機能している国という感じ。

だが実際は問題もどっぷり抱えているし、寒いし日照時間は短いので、暗さからはどうしても縁が切れないらしい。
かなり昔に読んだ「マルティン・ベックシリーズも」暗い雰囲気の話だった。
それに比べたらこの小説は暗くはない方だね。
ムーミンも暗いし。あ、ムーミンはフィンランドだった。フィンランドもノルウェーもスウェーデンもいまいち区別がつかん。
でも日本も韓国も中国も区別がつかんという西欧人も多いだろうから、まあそんなもんでしょうね。


各国で絶賛された作品のようなのだが、実はこの作者、これが出版される前に心臓発作で急死してしまったそうだ……
これが第一作で、第三作までは出版されてるんだけど、長生きしたらもっとたくさん作品を発表しただろうから、
3作で亡くなってしまったのは残念だ。それでも3作あっただけいいのかもしれないが。



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ラストシーンが可哀そうなの。切ないね。リスベットは2作目も3作目も登場してくれるといいな。

ええっ!4が出てるよ!別人が執筆してるらしい。どうなんだろう。質を保てるんだろうか。





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< 増山超能力師事務所 >(ドラマ視聴)

2017年05月14日 | ドラマ。
ココリコ田中が主役。
でもわたしは「みんなのいえ」くらいでしか見たことがないので、本人のキャラとあんまり離れず、
善人でアワアワな人の役柄しか知らなかった。――別に「みんなのいえ」はアワアワっていうほどアワアワではないですね。
普段の性格がイメージに影響を与えている。

そしたらこのドラマは、まあ深夜滞のユル系とはいえ、けっこうシリアスめの役柄をやっていて意外。
主役なんです、一応。あんまり映っている時間は長くないけど。
ヒロインに惚れられる役をやっている。ええ~、田中が惚れられる役~?とオドロキ。
しかも田中は妻子持ちで、愛妻家という設定なので、ますますオドロキ。
でもけっこうこの役、ハマってる。それもオドロキです。

脚本はあんまり……練れてるもんじゃないんだが、深夜枠で最初からそこまでの期待はないからそんなに気にならず。
役者もどっちかいうと地味目。柄本時生が出ていることがウレシイ。
むしろこっちが主役に思える浅香航大なる人は……けっこういろんなものに出てるようだが、
まあ見事に初見。あの役柄の髪型が何とかなればもう少し印象が違ったのかもしれない。

ただ最後はまったく話が収束しないで終わるよなあ。
田中の奥さんに芦名星なんて役者を持ってきているにも関わらず、なんも収束してないどころか進展もしていない。
進展をしないものを収束なんて出来ないだろうが、だったら大風呂敷になりそうな設定はやめとけばいいのに。
シリーズ化は……しないと思うんだよ。盛り上がり的に。
まあでも2があったら見るけど。


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◇ 中央公論社「日本の詩歌 12 木下杢太郎 日夏耿之介 野口米次郎 西脇順三郎」

2017年05月12日 | ◇読んだ本の感想。
イサム・ノグチの父が詩人だったと(たしか10年くらい前に)日曜美術館か何かでふと耳に入ったので、
イサム・ノグチにはほとんど全く興味ないのになぜか父の詩を読んでみたくなった。
が、野口米次郎の独立した詩集は最寄りの図書館ズにはなかった。
で、次善の策として4人合本の全集の一を読んでみたわけだが……これは怪我の功名。

木下杢太郎と日夏耿之介が面白かったからね!
今まで全く眼中になかった。こんな機会がなければ出会わなかっただろう。

木下杢太郎なんて、まるで大工さんのような名前なので勝手にプロレタリア文学のイメージだったが、
むしろ白秋の異国趣味の詩にとても近いんですね。全然イメージと違った。
ハイカラな感じ。こういう詩はちょっと好き。

日夏耿之介は……これは読めなくて、何度調べても覚えられなくて、シュウノスケかテキノスケとしか読めない。
でもそんな読みはない。コウノスケですって。
木下杢太郎よりももう少し狷介な感じで、でもきらびやかだよね。
多少トゲトゲしている感じはありつつも、ちょっと面白い。

肝心の野口米次郎も面白かった。なんとなく新しい気がしたな。素朴な内容を新しい表現で語っている気がした。
内容が素朴なので、わりと訳のわからない表現でもまあまあ言ってることはわかるというような。
しかし欄外で解説を展開している人が、自信満々な講釈を述べるので、普通解説はもう少し控えめですよね?と思った。
まるで自詩を解説しているように自信満々。違和感。

唯一、西脇順三郎がピンと来なかった。詩なんてぇものは、ピンとこなければ言葉の意味ない羅列に過ぎなくて、
何をいってんだかという感想にしかならない。
うーん。西脇順三郎はもう少し後に数冊読む予定でリストアップしているのだが……。
詩集じゃなくてまずエッセイ集を読もうか。それで面白ければ詩集を読もう。

久々、詩を読んで気に入った。
中原中也はとても好き、三好達治も好きだが、それ以来の詩人たちかも。




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