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安部政権の謎 年金改革

2013-07-03 19:01:01 | 政治・行政

参院選の争点は経済だそうだ。外交でも課題山積であるが、とりあえず安全運転選挙に徹するのだろう。

安部政権の経済政策は、とりあえず成功しているといってよい。期待だけではなく、実態経済にもアベノミクスが波及しつつある。しかし、経済の構造改革については、残念ながら、大胆な政策はうちだされなかった。参院選で勝利し親の仇を討つためには、雇用や農業医療で、大胆な政策は打ち出せないのはよくわかる。しかし、これらは、TPPをてこに、大胆な政策展開が選挙後に控えていると解釈する余地がある。

逆に、経済に極めて大きな影響があるにも拘わらず、安部政権の取組が見えてこない分野がある。それは社会保障だ。社会保障費は、一般会計の半分を占める。その意味で、セーフティ・ネットという経済政策であると同時に財政政策でもある。

第一次安部政権は、年金問題で倒れた。安部総理にとって親の仇は、参院選自体ではなく、実は、年金の筈だ。ところが、年金に関して、親の仇を討つ覚悟は全く見えない。

自民党は、年金は破綻していないと言い張るが、これは、現在の加入者に対する支給が現在の計算では止まることはないといっているに過ぎない。しかも、支給を確保するために財源の半分は税金を投入する前提での話だ。なお、一般会計の半分は国債で賄っている。ということは、社会保障費まるまる借金で賄っているということだ。こんな状態で破綻していないとは、どうして言えるのか。

国債を無限は発行できない以上、すでに、財政的に年金は破綻していることは明らかだ。さらに、この事態をはるかに冷静に観察している国民は、すでに年金制度を見限り、実質加入率は50%にすぎない。国民の半分しか対象としない年金制度に何の意味があるのだろうか。それにも拘わらず自民党は、年金は現状維持で良いという。

社会保障はアベノミクスの中心的課題であるべきだ。成長戦略のうち雇用改革は、年金改革と切っても切り離せない。年金改革なくして雇用改革はありえない。また、年金改革なくして財政健全化もありえない。

安部政権は、金融政策でみんなの党の政策を丸呑みした。アベノミクスは、実はミンナノミクスだったのだ。みんなの党と維新の会は、共に年金制度の積み立て制への移行という抜本改革を訴えている。安部総理は、金融に続き、年金でも、みんなと維新の案を丸呑みすべきだろう。

年金問題を永遠に解決するためには、収支相応する積み立て制にする以外にない。また、積み立てなら、無能な年金官僚が国民に代わって莫大な資金を運用する必要もなくなる。自分で老後受け取りの年金勘定を運用すればいい。さらに、国民すべてが受け取る基礎年金は、消費税で賄い、消費税率は基礎年金支給額を確保する税率に自動調節する仕組みにすればいい(pay as you go)。そうすれば、国民が、基礎年金額のレベルを負担との見合いで選択をすることとなる。

安部総理は、何故年金に踏み込まないのか、理解に苦しむ。年金は、国民の関心が極めて高い。大多数の国民は、持続可能な制度を望んでいる。財政健全化の切り札でもある。改革方法も提案されている。

どんな改革にも抵抗勢力はあるが、年金改革の抵抗勢力は、官僚(年金官僚と二重の負担により財政の自由度が制約される財務官僚)及び官僚の意向を受けた金融機関しか見当たらない。農民や医者のような利権にぶら下がった国民が多数いる問題とは異なる。総理自身が決断すれば官僚だけの抵抗(金融機関は所詮官僚に付き合っているだけだ)はたかが知れているだろう。(二重の負担とは、積み立て制に移行した場合、既存の給付に加え新たな給付が開始されるため負担の二重と観念されること。しかし、既存年金債務は、既に発生していて支給されていないだけのものを可視化するため、2重の見えるだけで、実際は二重ではない。)

何故、安部総理は、年金の抜本改革をしないのか。安部政権最大の謎だ。

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