お母さんと読む英語の絵本

読み聞かせにぴったりな英語絵本から、米国の子どもたちの世界をご紹介
子どもをバイリンガルに…とお考えのお母さんに

併読のパワー: おつきさまこんばんは

2010-03-18 | about 英語の絵本

Good Evening Dear Moon

うちの娘がゼロ歳の時から大好きだった"愛読書"のひとつです。え?ゼロ歳の赤ちゃんに愛読書なんてあるの?と思われるかもしれませんが、あるんですよね!そろそろ目が見えるかどうか・・・というような早い時期にも、じっと見入って飽きない絵本というのがありましたし、まだコトバもでない月齢のころに、読み聞かせる親は「もしかしたら、わからないんじゃないかな」と半信半疑で読んでいても、子どもの方はじいっと聴き入っていて「あぁ、この本が好きなのね!」って思わされる絵本もありました。「おつきさま、こんばんは」は正真正銘、そんな赤ちゃん時代の"愛読書"の一冊で、もっとも繰り返して読んだ絵本の一つです。

実は、この絵本がとりわけ印象に残っているのは、娘が大好きだったために繰り返し繰り返し読んだからというだけでなく、一方で、親の私にはなぜ娘がそんなにまでこの本が好きなのか、よくわからなかったから・・・ではないかと思います。だって、この本の主人公は"お月さま"ですよ。大好きだった犬でも、猫でもなく、毎日興奮して見に行っていた電車でも自動車でもなく、仲間の赤ちゃんやお母さんでもなく、お月さまが主人公だなんて!

でも、この絵本の主人公の、真ん丸で、やさしげな色調の、ニコニコ顔のお月さまが娘は大好きでした。そして、アマゾンの読者評を読んでいると、そんな娘は決して少数派ではない、ということがわかります。

さて、お話はいたってシンプル。日が沈んで、街に夜の帳がおりてきて、やがて屋根に柔らかい光が降ってきて・・・あ、おつきさまだ!お月さまが顔を出し、でも、時がうつって雲が出てくるとお月さまが隠れてしまい、そして、でも、ちょっと気をもませた後では、また雲が去ってお月さまが顔を出し・・・。見開き1ページごとに、わかりやすい描写で場面が展開していきますので、文字が読めなくても、よくわかります。

テキストは短く、シンプルで、「おつきさま、こんばんは」「こんばんは」というように、呼応する繰り返しが多く、憶えやすいので、子どもはたいていすぐに暗唱してしまいます。が、大人の目から見ると、全体に具体的なお話というよりは、やや抽象的。テキストはわかりやすいのに、行間にどことなく幻想的なムードの漂う、不思議な絵本です。

読み終わってぱたっと閉じると、背表紙にべぇ~っと舌をだしているお月さまが描かれていて、ちょっと意表を突かれます(驚いたのは私だけ、かな?)。この背表紙のお月さまは、全巻ただにこにこしていた優しげな印象のお月さまとは一味ちがうイメージで、いささかシュール!私は、はじめて見たときは、何故か、あの不思議の国のアリスの"消える猫"を思い出しました。でも、不思議なもので、子どもは、この背表紙のお月さまも大好き!です。

「おつきさま、こんばんは」は林明子さんの4冊組み絵本の一冊です。残りの3冊は「くつくつあるけ」「おててがでたよ」「きゅっ、きゅっ、きゅっ」。いずれも、赤ちゃんの日常をくっきりと上手にきりとって1冊のお話しにまとめ上げた印象的な絵本ばかりです。テキストの表現が実に的確でたのしく、リズムがあって言いやすいので、たとえばお洋服を着せるときには「おてては どこかな?」「あっ ほら、おててがでたよ」「こんどは おかおかな?」・・・なんていう具合で、絵本のテキストがそのまま娘との日常会話になってました。御飯のあとでお口のまわりを拭きながら「きゅっ、きゅっ、きゅっ」そして大きな声で「ごちそうさま!」も定番でしたし、お出かけの時はもちろん「くつ、くつ、あるけ」でしたし、まだ歩けないうちから、両手に靴を持って「ぱた、ぱた、ぱた。ぱた」とやってました。

うちでは、4冊セットではなく、一冊ずつばらばらに買ってきていた記憶がありますが(もしかすると当時はセットではなかったのかも・・・)、でも、どの一冊も全部すりきれそうなほどに繰り返して読んだ"愛読書"ばかりですので、セットで買われても大丈夫!その意味で、これもプレゼントに最適です。



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