お母さんと読む英語の絵本

読み聞かせにぴったりな英語絵本から、米国の子どもたちの世界をご紹介
子どもをバイリンガルに…とお考えのお母さんに

併読のパワー: みんな うんち

2010-03-02 | about 英語の絵本

Everybody Poos

今月ご紹介する絵本は、もともと日本語で書かれた絵本の英語版です。日本の絵本には本当に素晴らしいものが多く、もっと海外に紹介されればよいのに……といつも考えていました。でも私が子どもを育てていた頃には、どんな本が翻訳されているのか、偶然に出会う以外には探すこともままなりませんでしたが、最近では検索も購入も容易にできるようになりました。嬉しい発見を読者の皆様にも是非ご紹介したく、特集します。

何度か書いてきましたが、バイリンガルの子どもの語彙を育てる方法のひとつは、日本語と英語の併読です。併読するときには、日本語は日本語だけで通して読み、英語は英語だけで通して読むのがよいようです。一にも、二にも、親子で一緒に楽しむことが最優先。お話しのリズムをこわさないようにしましょう。間違っても「お勉強」にならないように!

併読には、願わくはお子さんの好きな(あるいは、きっと好きになりそうな)絵本を選んでください。併読は、単純に言えば、同じ本を倍の回数繰り返して読むことですから、好きでない絵本では楽しめないだけでなく、苦痛になりかねません。読み聞かせは、いつでも、とにかく楽しくなければ!

日本語の絵本から読み始めていたら、きっと既に大好きな日本語の絵本があるはず。その"大好き"の中に英語版のある絵本があったら、それから併読を始めましょう。はじめて英語を読むとアレッと言う顔をしながら聞いているのですが、なぜか、すぐに英語版も好きになるから不思議。でも、絶対に無理強いは、なし。お子さんが日本語がいいと言ったら、すぐに日本語版を読んであげてくださいね。英語から始めて、同じ本の日本語版を併読するときも同じです。日本語も英語も同時に読み始める場合は?どちらが先でもかまわないと思います。まずはオリジナルから始めるのがよいのかもしれませんが、我が家の場合は、日本で翻訳を先に読んでいて後でアメリカで原典を読んだ絵本がたくさんありました。

併読には、願わくは優れた翻訳を選んでください。不思議なことに、子どもは幼くても実に正直で、こなれた翻訳は喜んで聴き、なめらかに暗唱しますが、ぎこちなさの残る翻訳は生理的に嫌います。ですから併読用の翻訳絵本を選ぶときには、黙読で内容を確かめるだけでなく、必ず音読してから選んでください。残念ながら、翻訳版では"よさ"が伝わらない絵本もあります。そんなときは潔く諦めて、"よさ"が伝わる方の言葉だけで読んであげましょう。

さて、前置きが長くなってしまいました。

今日の絵本は五味太郎さんの「みんな うんち」の英語版"Everybody Poos!"です。日本では言うまでもないベストセラーで、ロングセラー。アメリカでも人気で、たぶん"もっとも読まれている日本の絵本"のひとつだと思います。

この絵本、日本では「科学のとも傑作選」という科学絵本シリーズの一冊ですが、科学だからって教科書風でも、図鑑風でもなく、むずかしいお話はなし。象もうんち、ねずみもうんち、シマウマもうんち、人間もうんち・・・それだけ!そして、それだけ!の単純さが、子どもは大好きです。我が家も、母娘そろって愛読し、「おおきなぞうは、おおきなうんち」にはじまる冒頭から「生きものは、食べるから、みんな、うんちをするんだね」の最終ページまで、ほとんど丸ごと一冊暗唱できるほど繰り返し読んだ、なつかしい絵本です。

子どもたちがこの絵本が好きなのは、実は、しごく当たり前なんですよね。

というのも、小さな子にとってもその親にとっても「おしっこ」「うんち」は日々の最大の関心事にして、最重要課題だからです。無事におむつを卒業し、おもらしの心配が遠のき、おねしょの話題も出なくなっても、まだ外出の出がけには「おしっこには行った?」なんて毎回聞いていたものです。そう、たぶん小学校に上がるくらいまで、「おしっこ」「うんち」は、親子の会話に最も頻繁に登場する単語だと言っても言い過ぎではないのでは?

それにしても全編まさに正攻法で「うんち」だけ。それだけで一冊の絵本を仕上げちゃうなんて、五味さんは天才です!日本にこういう絵本作家がいるって、世界に知ってもらえると嬉しいですね。

英語の市場でも、この絵本は際立って個性的でユニークな作品として突出しています。英語ネイティブのお友達に赤ちゃんが生まれたら、お祝いに添えても素敵かもしれません。




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