お母さんと読む英語の絵本

読み聞かせにぴったりな英語絵本から、米国の子どもたちの世界をご紹介
子どもをバイリンガルに…とお考えのお母さんに

併読のパワー: がたん ごとん がたん ごとん

2010-03-16 | about 英語の絵本

Chug-chug Train

ゼロ歳の赤ちゃんから楽しめる絵本です。安西水丸さん作・画。明るいはっきりした色使いの絵は、お話に耳を傾けるにはまだ小さすぎるかな・・という月齢の赤ちゃんでも、喜んでいつまでも、またくりかえし飽きずに眺めます。・・というわけで、赤ちゃんの人生"最初の"絵本となるべき一冊。ですから出産のお祝いにもぴったりです。

お話は本当にシンプル。(見るからに"おもちゃ"の)汽車が走ってきます。「がたん、ごとん、がたん、ごとん・・・」。すると「のせてくださぁ~い!」と待っていたお客から声がかかります。汽車は止まって、そのお客を乗せ、また走り出します。「がたん、ごとん、がたん、ごとん・・・」。すると、また「のせてくださぁ~い!」次のお客から声がかかります。汽車は止まって、次のお客を乗せて、また走りだします。「がたん、ごとん、がたん、ごとん・・・」。すると、またまた次のお客が待っていて「のせてくださぁ~い!」。そうして、ひとりずつ、ひとりずつ乗せて、汽車はずっと走り続けます。

汽車に乗るお客さま?これが安西さんの真骨頂です。まずは哺乳瓶、それからスプーン、それからカップ。そして、リンゴにバナナ。それから猫とねずみ。そうです!どんな赤ちゃんでも見たことがあるもの、早くから名前を知っているものばかり。大人の目にはこれが乗客なの?とちょっとシュールで奇異に映るのですが、そんなこと、子どもは全然気にしませんね。気にしないどころか、子どもは、このシュールな乗客たちが大好き!です。

構成は、主人公の乗り物に次々と乗客が乗り込んでくるという、絵本の古典的な手法です。日本の絵本では「のせて、のせて」、アメリカの絵本では「ガンピーさんのふなあそび」など、古典的な傑作がいくつもあります。子どもたちは、だんだんお客が増えて、だんだん盛り上がりつつ、一方で徐々にカタストロフィーの予感と期待がふくらんでいく、その気分を満喫します。

「がたん、ごとん」の日本語の絵本では、声に出して読んでみるとよくわかるのですが、繰り返される「がたん、ごとん、がたん、ごとん・・・」の響きが耳にも身体にも心地よく、また、この響きを中断する「のせてくださぁ~い」という掛け声も、のんびりと響いて気持ちがよいのです。きっと聞いている赤ちゃんも身体全体が気持ちよいだろうと思います。

英訳ではchug-chugとなっていますが、音節一つだけのChugを重ねる英語はスピード感がありますが、ゆっくりと身体全体で揺れて運ばれていく感じは「が・た・ん・ご・と・ん」の日本語の響きの方が上のような気がします。小さな赤ちゃんのペースでのんびり進むには、最初はchug-chugよりも、がたん、ごとん、がたん、ごとん、かも。でも、ちょっと大きくなったらむしろchug-chugのスピード感が好きになりそう。ごくシンプルですから、是非、英語と読み合わせてください。私と娘にはその機会がありませんでしたが、もしも今そばに赤ちゃんがいたら、2-3カ月の頃から日英両語で読み聞かせて、どちらの絵本にどんな反応をするか是非見てみたい絵本の一つです。



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