お母さんと読む英語の絵本

読み聞かせにぴったりな英語絵本から、米国の子どもたちの世界をご紹介
子どもをバイリンガルに…とお考えのお母さんに

ペットボトルくんの大冒険

2009-08-11 | about 英語の絵本

The Adventure of A Plastic Bottle: a story about recycling

環境問題といえば、まず思い浮かぶのは"リサイクル Recycle ”という単語。そしてリサイクルといえば、思い浮かぶのは"ペットボトル PET Bottle ”です。

ゴミ問題への対応で世界に大きく後れをとっているアメリカは、いまだにほとんど分別しないままゴミを捨てていて、とても先進国と思えません。でもそんなアメリカ人も、ペットボトルやアルミ缶のリサイクルには熱心に取り組んでいて、そういうゴミの出そうなところには必ずリサイクル専用箱(Recycling Bin)が置かれています。

でも新聞や雑誌などの紙は、リサイクルされるとトイレットペーパーなどの別の紙になって再生されて使われていますから、子どもの目にも、暮らしの中でのリサイクルの流れがなんとなくわかります。が、ではペットボトルは?となると、リサイクル専用箱に投げ入れられたペットボトルが、その後どのように処理され、どのように再生されて、何に使われているのかは案外知られていません。

ペットボトルはリサイクルされると何になるの?子どもたちの素朴な疑問に、読んでおもしろく、しかも子どもにもわかりやすく答えているのが”The Adventure of A Plastic Bottle: A story About Recycling”(プラスチックボトルの冒険:リサイクルのお話)です。

リサイクルのプロセスを”教える絵本”が退屈な解説書にならないようにと、作者のAlison Inchesが凝らした工夫は、彼女自身が解説したり教えたりするかわりに、主人公のペットボトルをしてみずから語らせる”日記” 形式をとったこと。プラスチックに生成され、工場でボトルに形成され、商品としてお店の商品陳列棚にならび、買われて使われてリサイクル箱に投げ入れられ、リサイクル処理場を経て、再生されてフリースジャケットに生まれ変わるまでの経緯が、プラスチックボトルの冒険旅行として語られます。

ところが実際には、プラスチック廃棄物は、燃やすのも困難で(きわめて高温になり且つ種類によってはダイオキシンなどの有毒物質を出す)、埋めるのもむずかしく(微生物が分解してくれないので土に還らない)、また、再生するにはよほどきっちり精緻に種類別に分類して使わない限りは、溶かすと種類ごとに分離・層化してしまい、使い物にならないのだそうです。しかも困ったことに、あるプラスチック製品が2種類以上のプラスチックを混ぜたものかどうかということについては、一般の消費者がその製品を見ただけでは、とうてい判別できないのだそうです。

したがって、「プラスチックボトルの冒険」で語られるすっきり筋の通った物語は、現実にはなかなか展開がむずかしいプロセスのようです。

しかし、ペットボトルのリサイクルは、ごく小さな子にも実行でき、しかも今日すぐから実践できる具体的な行動です。しかも、そのペットボトルがリサイクルされて、冬の外遊びの時に着るあったかいジャケットになると聞けば、子どもは皆、きっと喜んでリサイクルに協力するでしょう。環境保護のためには、なによりも、一人一人が実際に”行動”することが大切ですから、このような絵本で子どもたちがリサイクルの概念とプロセスを理解できることが大切だと思います。幼稚園などの教室で読み聞かせるのにも最適の一冊です。




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