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「ほんの木」柴田敬三のUpdateブログマガジン 

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公益法人としての日本相撲協会

2011-02-22 10:01:18 | 高田昌史さんコラム
このところのニュースは、迷走する民主党政権と混沌化した大相撲(日本相撲協会)の先行きを懸念するニュースで溢れかえっている。

当然のことながら、国政は明治維新以来143年にわたり全ての日本人の生活ぶりを左右して来た。ところが一方の大相撲は、明治維新まで遡ってもまだ足りない歴史と伝統の中、日本人の生活から切っても切れない文化となって続いている。今回の問題が顕在化して、それが日本の大相撲なのだと改めて思った。


少なくとも団塊世代の男の子達は、校庭や家の近所の広場に丸い円を描いて土俵をつくり相撲を取って遊んだ。

相撲を取って面白かったのは、小さい身体の子が、大きい相手に勝つことが普段にあったことである。たとえば、身体の小さい子は、大きい子の下に潜りこんで引き落としたり、足を取ったり、ケタ繰り(足払い)をかけたりして大きい相手を転がす、そんな痛快児がいた。それを見ている側はヤンヤの喝采。
そして、小さな相手に負けようものなら、負けた子は泥だらけになるばかりか周りから馬鹿呼ばわりされたり、なじられたりと散々だった。

当然、テレビが普及し始めた時期でもあり、大相撲にも子供たちそれぞれに人気力士がいてその勝敗でまた一喜一憂、果ては喧嘩の種にもなった。

それでも相撲は、取っても見ても楽しかった。

それが大学に入学した頃だったか、慶応大学国文科の名物教授だった池田弥三郎氏が、大相撲は歌舞伎と同じように伝統芸能だからそのように観戦したら良い風な言い方をされた。それを聞いた時、気にも留めなかったが、今思い返すと当時も相撲界の八百長が問題となっていたのだろう。

それから40年余、大相撲は、日本人の生活から相撲を失わないためにも池田弥三郎教授が指摘したように伝統芸能に位置づけた方が良いのかもしれない。

現在、大相撲を主催する(財)日本相撲協会は、文部科学省スポーツ・青少年局競技スポーツ課の所管にある。

ここで協会は、事業として
・相撲教習所の設立維持、力士、行司、呼出、床山の養成
をうたっている。

大相撲は、競技としての面が強調されるが、行司、呼出、床山などの世界がある。また土俵入り、弓取り式、相撲甚句、番付の相撲字など、数ある様式や業は他では絶対見ることが出来ない。

文部科学省には、文化庁に文化部芸術文化課がある。そこでは、日本の伝統芸能や技芸などを所管し保護している。

この際、現在の相撲協会は公益法人としてそちらに移管してはどうだろうか。そして、企業におけるホールディングカンパニー同様、その傘下に近代スポーツにふさわしい組織を事業部門として位置づけ興行する。そうすれば相撲の伝統と競技の両面が報われると思うのだが、いかがだろう。

故人となった多くの名力士達の姿、そして相撲で子供時代を過ごした思い出を途切れさせないためにも、大相撲協会を支えて来た関係各方面には、土俵際でのうっちゃりを期待したい。

高田昌史(シンクタンク、ニュース・アナリスト)


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