UGUG・GGIのかしこばか日記 

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絞首刑の合憲性を争うという困難な裁判に挑戦する弁護士さんたち・・・

2014-06-29 01:30:20 | 日記

今夜は面白い話ではありません、若干マジメな大切な話です、でも暗い話です、暗い話はイヤと思われる方はどうぞ読み飛ばしてくださいませ

 624日の夜、京都弁護士会館で「絞首刑を考える」と題した講演会がおこなわれ、GGIは聴きにいってまいりました、主催したのは死刑制度の廃止の求めている宗教者の市民団体です、主に京都の仏教界の方々です

 この講演会のテーマは「死刑の合憲性を争う」というものでした、講演をされたのは2009年に大阪で起きたパチンコ店放火・殺人事件の国選弁護人を務めている、大阪弁護士会所属の弁護士さんでした、裁判員裁判で死刑が求刑されているため、この弁護士さんは現在、他の三人の弁護士(いずれも国選弁護人)さんとともに、裁判で「絞首刑の合憲性」を争点に据えて弁護にあたっています

 憲法第36条には「公務員による拷問及び残虐な刑罰は、絶対にこれを禁ずる」と定められています。日本国憲法のなかで「絶対に」という表現がなされているのはこの条文だけだとされています。

普通にこの条文を解釈すれば「公務員による残虐な刑罰」とは死刑を意味していると考えられるのではないでしょうか、つまり死刑は絶対に禁止するという意味だと考えられのではないかとGGIは思います。人の命を奪う死刑以上に残虐な刑罰があるとは考えられませんから、死刑が残虐な刑罰でないとするならば、世の中に「残虐な刑罰」なるものは存在しないことになるのではないかと思います、ですから、死刑は残虐な刑罰に当たると言わざるを得ないと思うのですが、日本の現在の司法においては、みなさんご承知のように、死刑は合法だとされています、

 現在、日本において死刑が合法とされているのは、新憲法公布から二年後の1948年に最高裁判所が「死刑は残虐な刑罰にあたらない」とする判決を下しているからです、この判決が現在にいたるまで、死刑は合憲であるとすることの根拠として生きているからです。この判決の趣旨は「日本の憲法は、現在の多数の文化国家におけると同じく刑罰として死刑を想定し是認していると考えるべきである。死刑は究極の冷厳な刑罰だが、火あぶり、さらし首、はりつけなどの刑ならともかく、死刑(絞首刑)そのものが一般にただちに憲法第36条で言うところの残虐な刑罰に該当するとは考えられない・・・」

 なかなか凄い、驚くべき判決です、驚くべき論理であります、GGIはこの判決文を読んで、空いた口がふさがりませんでした、解釈改憲なんて今に始まったことではないなあ、と思ってしまいました

現在、世界には約200の国がありますが、その3分の2以上の国が実質的に死刑を廃止しています(しかも、この十年間では、実際に死刑を執行した国は毎年20カ国前後であるに過ぎません)、つまり、今では欧州をはじめとして「文化国家」のほとんどが死刑を廃止していますから、上記の判決は明らかに時代遅れになっているというべきであります、けれども、この最高裁判決が依然として生きているのです

 この1948年の最高裁判決の後、死刑は違憲であるとして争われた裁判がいくつもあるのですが、いずれも敗訴しています、

 この日講演された弁護士さんは、あらためて死刑の合憲性を争うという方針で裁判を進めていますが、これまでの過去いくつかの裁判で行われたように単に死刑は残虐な刑罰であり憲法第36条に違反しているという観念的・抽象的な主張を行うのでは勝てる見込みがないために、より具体的に死刑であるところの「絞首刑」が残虐なものであること客観的、具体的な証拠を示すことにより争うという方針を採ることにしたのです

 この弁護士さんの話によれば、まず絞首刑の歴史について調査したところ(日本では明治の初めに死刑は絞首刑とすることが定められ、現在まで続いています)、絞首刑が歴史的に観て衰退の一途をたどっており、今や絞首刑を行っているのはインドと日本など、数か国ぐらいしかないことが明らかになったとのことでした

 また、またオーストリアの著名な法医学者を証人として招き、およそ300例の首つり自殺の医学的な分析結果から、これまで日本では「古畑鑑定」(法医学者、古畑種基氏による死刑の残虐さの有無に関する鑑定:死刑囚は首を吊られた瞬間に首の骨が折れるなどして意識を失ってしまうため、苦しみは少ないとされている)とは異なり、首を吊られたのち、必ずしもすぐに意識を失うわけではなく、このため絞首刑は医学的観点から「不必要な苦痛」を与えるものであるという証言をしてもらったとのことでした、さらに、元最高検察庁検察官であった人物を証人にまねき、死刑執行の現場で何が起きているかについて、目撃証言を行ってもらったとのことでした

 講演の後、講演内容に沿って製作された、絞首刑についてのDVDが上映されました、このDVDを上映して他の弁護士さんの理解と協力と得たいとのことでした

 裁判で死刑の合憲性を争うという、何とも先行きの定かならざる困難な仕事に立ち向かう弁護士さんたちに、GGIは心から敬意を表しました

 今夜の写真は講演で用いられたスライドの一枚を撮ったものです、よろしければクリックしてご覧くださいませ

 グッドナイト・グッドラック! 

コメント
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