前参議院議員大久保勉 公式ウェブサイト

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日本の法人税実質負担率は意外に低い!

2014年06月12日 | Weblog

 国会では、法人税の議論が盛り上がっております。日本の企業競争力を高めてたり、また産業の空洞化を食い止めるためにも、私は法人税引き下げは必要であると思います。産業競争力を高めて、雇用を維持するために思い切った減税策が必要であることは言うまでもありません。

 しかし法人減税を巡る国会の関係委員会や与野党の税制調査会の議論で更に詳しく議論している論点があります。業界により、特に一部の業界においてはすでに実質負担は低くなっており、一律法人税を何パーセント引き上げるという議論は若干乱暴な気がします。

  政府税調資料「業種別主要事業者(上位5者)の法人実質負担率」によると、①機械・電気機械製造業 3.3% ②輸送用機械製造業 5.5% ③卸売業 4.9% ときわめて低い法人実質負担率(税引前利益に対する法人税の割合)となっております。一方、高い業種でも④不動産業 20.1% ⑤金融・保険業 18.7% ⑥化学業 17.6% となっているのです。これは繰越欠損金控除、受取配当益金不算入、租特などによる減税措置を企業が十分に活用しているからです。勿論、これらの軽減制度は、産業競争力政策等の観点から適切で必要不可欠な政策であることは言うまでもありません。しかしどの企業がこれらの軽減税制度を使い、幾ら日本国に納税したかは開示されておりません。

 今後の法人税減税の議論においては、以下主張したいと思います。将来仮に法人税を35%から25%まで10%下げる場合には、二つの条件をつけることが適当かと思います。第1にこの10%(仮称)特別法人減税を適用する場合には、少なくとも過去3年分の本邦における法人税納付金額を開示する。高額納税者(長者番付)の発表が個人情報保護の観点から中止されましたが、その時に法人の納税金額の開示も中止されております。法人、特に上場企業は社会的責任があり、納税金額を開示しても問題がないと思います。最近トヨタの幹部が5年ぶりの納税をしたと発言したことが話題になりましたが、むしろそのことが話題になることが不自然です。適切に納税金額の開示されていたらこれほどまで話題にならなかったでしょう。

 第2にこの特別法人減税の対象は配当を行うものに限定する。というのは、法人減税をしても企業が内部留保をため込むだけでは日本の成長にも株価の上昇にもつながらず減税の経済的効果は期待できない。年金基金等の日本版スチュワードシップコード参加表明とも関連して、企業の成長力強化、国際競争力強化のため企業統治の強化、企業家精神の促進が必要であろう。

 最後に、アップルやグーグルなど米国多国籍企業のDIDS(ダブル・アイリッシュ・ウイズ・ダッチ・サンドイッチ)などの課税回避スキームが米国や英国等の議会で話題になっております。日本の機械・電気機械製造業や輸送用機械製造業が他業種に比べて極端に実効税率が低い状態が続くようであるなら、その実態を国際税務との関連でも究明して、日本の産業競争力や雇用に結びつく納税のあり方を国会でも議論すべきだと主張します。


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