吾輩は設備設計である

設備設計という仕事に云十年。理不尽なこと自分のぷち自慢、失敗談などを書いています

質の高い低い設計者

2006-03-08 15:29:15 | Weblog
ここ数日は札幌まで耐震偽装が発覚したりして、改めてこの問題の根の深さを感じている
でも遅かれ早かれいずれ発覚することであれば 世の為には よかったと思っている
 ひとつは 特に今回 札幌の偽装の件で問題となっているように 技術力の低さである   何故 そんなに技術が低い人に依頼したのかといえば 理由はただ1つ たぶん 真面目で 工期を守り 反発せず 設計料を安くしてくれる(これは憶測ですが ほぼ当たっているハズ)

ようするに そういう世の中になってしまっているのだ
技術力とひとことでいうと そう簡単には見抜けないものだ そのために免許や国家資格なんかがあるのだけれど  実は一級建築士はまだ易し過ぎて 逆にいうと

一級建築士というのは到達点ではなくて ほんとはスタートラインにやっと立てたということに過ぎないのに マスコミや世間はそれだけでプロだと思っているフシがある  建築設備士にいたってはもっとその差はひどい 目を覆いたくなるような人はたくさんいる  建築士の場合技術もさることながら、意匠デザイナーとしての力量のほうが顧客獲得には役に立つものだから どちらかというと免許を得てしまうと意匠の充実のほうに力をいれる傾向にあるのだが それはそれで変わった意匠を実現する為にさらに勉強することになるので いわゆる元請けの建築士というのは 概ねその力量は高いといえる
逆に構造士や設備士はその専門性のため 30年前に技術をひきずっていてもそれで
それなりに飯を食っていける場がある  委託の値段を下げたり 完全なイエスマンに徹したり 役所の業務に特化してその特殊な事務作業を得意にしたり である
建築家の集まりに時々参加すると ほんとに純粋に 仕事が 建築が 好きなんだなあ とつくずく思わされることが多い
設備の集まりでは 役所に対する愚痴の話題が最も多く 次が仕事をしたがひどい相手にかかわってどうとか こうとか   目を輝かして空調システムや新型照明器具の話になることは 皆無である
つまり 技術の向上よりも自分の持っている 過去から引きずっているその技術は絶対的なものであると信じ込んでいるフシがあるのだ
しかしそれは今までそういう場を与えられそんなに高い技術がなくとも過去の例によって仕事すれば済んでいただけなのだ
若い人はもっとひどい人がこの仕事に携わっているのも 設備設計、サブコン問わず 山のようにいる
空調設計というと冷凍サイクルのモリエル線図、空気線図、水頭圧等の水理計算
かなりメーカーや水道局の発行しているマニアルに頼ることで業務をこなしているから、解った気になっているが、少し応用を求められると その判断を大きく狂わせてしまう  逆に言うと いつ失敗してもおかしくない状況で仕事をしている訳である
基本の無い人間はいつか必ず大きな過ちをする 明日か5年後か10年後かは分からない  理科系不要論やら企業でも株の運用をするような文系の人間が出世し、プロジェクトを動かしている世の中だから 
本物を求めて施主がさまようようなことが沸き起こる時代が来るのを信じて   今日も頑張ろうかな   

※よく自分の文を読むと自分は素晴らしい と言っているようで アイタあ そんなつもりではありません

コメント
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