ぼんくら放浪記

Blogを綴ることによって、自分のぼんくらさを自己点検しています。

縛られた巨人

2012-02-14 05:00:00 | 読書

この精悍な顔を見て誰だか判る人は和歌山県通かも、一見NHKで放送された、司馬遼太郎原作の『坂の上の雲』の本木雅弘扮する秋山真之に似てるけど、実際の秋山真之は本木雅弘に似てたかどうか分かりません。

慶応3年に和歌山市で生まれたというこの南方熊楠、同じ年には夏目漱石、豊田佐吉、宮武外骨、正岡子規などが生まれており、それなら秋山真之も同じ年生まれかと思ったけど、1年早かったようです。

             

もの凄い記憶力の持ち主の熊楠、幼少の頃は体の弱い子だったようですが、学校へ上がるようになる頃から体力も向上し、学力があるのに学校嫌いな少年だったのです。

何もかもが普通人とは桁が外れている様は、私の知人のM森君に似ていますが、私は非常に評価しているのですが、どっちかと言えば彼も嫌われ者、熊楠も世間一般からは嫌われていたのではないかと思われます。どちらも熱心し過ぎるところが似てるし、何でもよく知ってるところも共通しています。

海外で研究を重ねるうちに31歳の頃、孫文とも知り合うようになり、孫文の革命を支持し続けます。

40歳を過ぎてから嫁を貰った熊楠ですが、妻の名は松枝と言うそうで、私の祖母の名前と同じですが、比べると私の祖母の方がずっと若いのですから、名付け親が熊楠の嫁さんを意識したのかどうかは分かりません。

明治40年の神社合祀令に反対し運動を強め、逮捕されますが、自分は全く悪いことなどしていないと信じて疑いません。もちろん自然保護の立場からの反対ですから、今で言うECOの先駆者だったのです。


             

私と同じように酒も相当飲むようでしたが、熊楠はすぐに戻してしまうようで、あまり強くは無かったのではないかと思います。余談ですが父親は南方酒造を設立、今の『世界一統』の前身です。

60歳を超えて田辺湾の神島で昭和天皇に講義をすることになり、無位無冠の自分にそのような栄誉が与えられることに感激しますが、無位無冠故に反対する人も多かったようです。

晩年熊楠は田辺の中屋敷町で暮らしていますが、私の旧の本籍もそのような名前の町であったように記憶していますが、私の小さい頃には、近くに熊楠の屋敷だったらしき立派な家があったと聞きました。

昭和16年、私の誕生を待たずして74歳で死去、お墓は42号線沿いの高山寺、バイパスの無い頃は混雑しながら、この寺の階段を見上げていたものでした。


             

南方熊楠の生涯を描いた本の後に読もうと思っていたのが、この『尻啖え孫一』でしたが、前回の姫在宅中に『補陀洛渡海記』を読みたくなったので、後回しになったのでした。

もう暫らくすれば和歌山の片田舎に住むのですから、和歌山に関する本は出来るだけ読んでおこうと思っているのです。鉄砲軍団・雑賀衆の棟梁、雑賀孫一の話なのですが、それが何故和歌山と関係あるのかと言えば、和歌山南港の方に雑賀崎というところがあり、雑賀衆はこの和歌山市の南西部に勢力を誇った一団だったのです。

久し振りに司馬遼太郎の本を読んだのですが、若い頃は『竜馬がゆく』や『燃えよ剣』を熱中して読んでいたので気が付かなかったのかも知れません。話の腰を折ってしまう構成には落胆させられます。文章なんかも浅田次郎のように決して工夫しているとは言えませんね。

             

その話の腰を折る話の中に“和歌山人は濁点を付けないで読む癖がある”と断言している件があります。それが雑賀を「さいが」と読まずに「さいか」と読むという例を用いているのですが、私はそうは思わない。何故なら私の苗字に「さ」と発音している部分があるのですが、和歌山では皆さんが「ざ」と発音される(人によっては「だ」と発音している人もいるかも)から、司馬さんの言ってるのと全く逆の現象です。

司馬遼太郎は信長や秀吉、また竜馬や隆盛のような歴史のヒーローに焦点を当てた小説が多いのですが、そういう点では田舎侍の雑賀孫一などを描くのは異例なのかも知れません。でも実はこの話はやはり信長や秀吉が中心となって話は進んでいくのです。

藤沢周平や山本周五郎のような名も無い下級武士に焦点を当てる作家の方が私は好きですね。

             

普段は行かない『紀伊國屋書店』にたまたま行ったのですが、文房具などのバーゲンを催していたので、ブックカバーを買いました。ブックカバーって物の割には結構高いんですよね。どれも半額だったので4つも買ってしまいました。

今は薄いブラウンの無地のものを使っていますが、このブックカバーは本に本屋の紙のカバーをしたまま、すっぽり入ってしまいます。

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