春ですね。別れの季節です。
「新型コロナウイルス」という天災のせいなのか、「人災」のせいなのか知りませんが、我々の卒業公演は無くなりました。
果たして新歓公演はできるのか。講義はするのか。就職できるか。集まって酒は飲めるか。お先真っ暗です。
暗い出だしですが、人をお先真っ暗状態にするくらい悲しい出来事です。卒業公演がなくなるということは。
ただいつまでも真っ暗な中にいたくないですし、この仇いつか討とうと思います。お楽しみに。
公演はありませんでしたが、せめて卒業する二人の声はお届けしようと思います。
今日と明日の二回にわたってお届けします。お楽しみに。
申し遅れましたが、インタビュアーの長谷川彰大です。よろしくお願いします。
卒業生は木幡有紀乃先輩、竹歳桃芳先輩のお二人です。
あと、稽古終わりに一緒にカレーを食ってた二年生の渡邉花子さんも参加してくれています。(二年生だったのね)
それでは、どうぞ。
~インタビュー開始~
竹歳先輩(以下:た)
木幡先輩(以下:こ)
長谷川(以下:は)
渡邉(以下:わ)
は:それでは卒業生インタビュー始めます~!
~自己紹介(学類、名前、今回の役職)をお願いします!~
た:生物学類の竹歳桃芳です、役職は演出、役者、制作、衣装補佐です。
は:そんなにやってんの!?
こ:すごいよね~ホント偉いよ
た:😊(ニコニコしてる)
わ:どうしていなくなっちゃうの…
た:卒業するから…就職するから…。たこちゃんはイキイキ舞監してるからいいじゃん!
こ:木幡有紀乃、メ創です、四年生の…メ創です
は:たいせつなことだから二回言いました
た:研究室の先輩は誰ですか?
こ:おねッ…違うよ!?新井太一さん(筑小OB)と研究室が一緒です
は:今回の役職は何ですか
こ:役者と演出だけですすみませ~ん
は:それが普通なんだよな~
こ:ちゃんと二個やってるからね!
~今までにやってきた役職は何ですか?~
た:…(沈黙)
は:考えとけや!!
た:え、今回やった役職が演出、役者、制作、衣装補佐でしょ、あとは…衣装、小道具、記録…。無能じゃん…。
こ:いや、結構やってると思うけど
た:ありがとう…(消え入りそうな声)
こ:卒業しそうになってるよ
た:浄化されちゃった…
こ:私は演出…、役者、宣美、あと照明…、以上かな
は:なんで宣伝美術全然やんなかったんですかマジで!?
こ:役者ばっかだったなあ…
は:めっちゃ良いのに…
た:いやほんと
こ:ほんとに!?あんま言われたことないんだけど。え、宣伝美術ってなにやったっけ…やったことないのでは?
は、た:いや、あるから!!
こ:「OCEAN」と「双子」…。「OCEAN」は写真に文字を入れただけです…。
は:もっとやってほしかったですね~
た:ほんと
こ:うそ、そういうのもっと言って!
~この四年間を振り返って変わったなーと思うこと(自分のことでも、他の人のことでも、社会情勢でもなんでもいい)は何ですか?~
た:お酒が飲めるようになったこと。
は:あー…年齢的にね?(引いてる)(もっとあるだろなんか)美味しいよね…お酒…。
た:お酒、美味しい~~~。他になんかあるかな…。あ、木幡さん先どうぞ。
こ:私は真面目な話をすると、いろんなスキルが上がったことかな。お絵描きとか、演技もちょっとうまくなったような気がする。でも人間性はどんどん下がってる気がする…。
た:ああ…あと知能もどんどん失ってる…
こ:そう!!知能もスキルと引き換えに失ってきてる…。それが変わったかな。
は:まあでも知能下がったとはいえ、賞取ってるじゃないですか…
こ:あ、そうそう、そうなんすよ、とりましたー
た:そうだよ…いいじゃん木幡さんは色々得てるから…三、四年間で…
こ:まあね、でもこれも太一さんのおかげです
は:そうだったんですか!?
こ:いや、全然
~このサークルに入ろうと思ったきっかけは何ですか?~
た:Mに誘われてはいりました。
は:「グスコーブドリ」見て入ろうと思ったんだっけ?
(※「グスコーブドリの伝記」2016年度学園祭公演)
た:そう、見て、入ろうと思ったらもういなかった
は:いたいたいた!!!まだその時はいたよ!!
こ:「蒼穹」は一緒にやっただろうが!!
(※「蒼穹に花」2017年度新人公演)
た:でも途中からいなかったじゃん…
こ:そうだっけ…
た:あれ…なんで私は言ったんだっけ…Mちゃんってだれだっけ…
こ:私が入ったのは、前に入ってたサークルやめて、やっぱ演劇がやりたいなって思って、演劇サークルいろいろあったから、こういったらあれなんだけど劇団系のこと全然知らないから、どこでもよかったからとりあえず入ったのが筑小だった。一番最初に見た公演が学祭公演だった。
た:なんて公演?
こ:「グスコーブドリ」。まって、うそ、最初に見たのは新人公演だ!新人公演見て、Mが同期の女の子なんだってわかって入った。
た、こ:私たちはMのことが大好きです!!!
~今までで一番印象に残っている公演は何ですか?~
た:やっぱり私は「蒼穹に花」ですね。公園で練習してるときに、犬に見られた木幡さんとMが印象的ですね。
こ:押し倒してるシーンを役者がやんなきゃいけなくて、こういう風にやるんやでって見本を見せるためにね
た:公園のクローバーの中でな
こ:そう、クローバーの中で、押し倒す演技の練習してたの。そしたら、犬を連れたおじさんが通りかかって犬がなんかめっちゃ
た:おじさんが「見ないの、見ないの、やめなさい」って。一方、そのころRはセミと会話してて
こ:そう、Rは違うところで「東根さん」ってキャラを想定してセミに話しかけてんの。他の人と練習したいんだけど、としちゃんも戸口も他のシーンの練習二人でやってるからできなくて。セミに向かって「東根さん!東根さん!」って話しかけてたら、セミがジャッ!!って急に飛んできて(笑)
爆笑
は:面白すぎる~~
た:あのころが一番楽しかったな…。みんないたんだ…Rもいた…。Aもいた。なによりMもいた…。シュン…(←帰ってきてほしいね)
は:なんの話してたっけ…
わ:印象に残ってる公演です…
は:ああ、そうじゃん。木幡さんは何ですか?
こ:えーっとねえ、ほんと自分本位で申し訳ないんだけど、一昨年の学祭かな。カフェのやつ。あれは初めての試みで、ずっとやってみたかったことだから印象に残ってる。大好評だったしね~ (※「※当店、カフェではございません」2018年度学園祭公演。木幡さんは脚本、演出)
は:いっつもイントレ立ててるけど立てませんでしたしね
こ:そう、仕込みもすっごい楽だったし。でも、あれを当時の一年生に味わわせてしまったのは申し訳ないなという気持ち。
は:そうっすね、その次の年があんなに辛い仕込みになるとは思いませんでしたし。天国と地獄を味わわせてしまった。
(※「愛を知りたくて…」2019年度学園祭公演。二時間かかる本編ですが、仕込みが押しすぎて、本番日の朝にゲネを行いました。地獄。)
こ:あの教壇めちゃめちゃ重かったよ。
わ:あ~ごめんなさいごめんなさい
こ:すごく好評だったし、すごく役者も楽しんでくれてて良かったっすね
は:としちゃんのお母さん役もすごく良かったよ
こ:ホント良かったよ
た:ありがとう
こ:よねさんに「高橋さんから」って絡むやつ
た:あれ。怒られなかったっけ!?
こ:いや、すげーウケてたよ!めちゃめちゃにウケてたよ!「ブビャー!!!」って
た:高谷さん(筑小OB)がね(笑)高谷さんに言われたこと基本流してるから誉められてるのか怒られてるのか覚えてない(笑)
こ:「としちゃんさあ…」から始まって後ろが何だっけってね(笑)
た:「すごい良かったけど、やりすぎだよ~」って言われた気がするなあ
こ:通しの「あらここ破れてるわ~」ってRに絡むのも面白かった
た:Rがいたんだよな~~~~あの頃は…
こ:やめよう!!この話!!
~今回の公演で苦労したことは何ですか?~
た:今まさにしているが…?すべてに…あッ…ごめんなさいごめんなさい
こ:怖い怖い怖い…
た:あッ…あッ…ああ…
こ:まあ…やっぱ二人しかいないことかなあ…。役者、演出で。
は:なんで二人でやろうってなったんですか?もともと役者大勢使いたいみたいな感じでしたよね?
こ:うーん…まあでも練習のこととか考えたときにね、人が多いと面倒だし。あとね、最後だし役者たくさんやりたいねみたいな話にもなって、自分の劇に自分で出てみたいという気持ちもありなんかいろいろ考えてこうなりました。
た:ごめんなさい×10
は:うるさいなあ!!!!
こ:他にもいろいろあるけど主な理由はこれじゃない?
た:そうだね…
こ:まあこれがネックでもあり苦労はしてるけど、楽しさでもあるから私は全然いいかな
た:木幡さんが楽しいならそれでいいです…(消え入りそうな声)
は:いや、誰目線…
た:ゆきの姐さんが良いならよかったっす…
こ:後輩?舎弟?
た:面白い部分だけ載せてね
こ:数うちゃ当たると思うなよ
は:質を上げていこうか
た:ああでもすごい頑張って工夫してるよね…
こ:そうだね…まあその頑張りが空回りしてる感否めないけど
た:頭は使った。ちょーあたまつかったマジやべえ。
こ:使ったけど、なんか浅ーいところで終わってる感じはするよね。めっちゃ話し合って、それの浅いところが切り抜かれた劇みたいな…。だから裏はすっごいあるんだけど、思いとかね。でもそのホントに表面のとこだけ持ってきたみたいな。
た:いいんだ、表面だけ見せとけ。
こ:いや、だからそういうことなんだよ…。つまり。
た:お前らは表面だけぺろぺろしてればいいんだよ!!
は:いや、その奥を我々は知りたいんですけど…
こ:よくあるネタっちゃよくあるネタなんだけど、構造のつじつまを合わせたり、二人の納得いくところに落とし込むのが大変だった。なんかドンドン登場人物がかわいそうになってきちゃつて…。
た:登場人物はどう頑張っても結局脚本には抗えないんだよってことに気づいちゃって。
こ:最初は抗って終わるのがいいのかなとか思ったけど。でもやっぱり無理なもんは無理だって話になって。でもだから唯一の抵抗が最後のケガなんだよ。
は:ケガ?
こ:最後にさあ、カテコの後にケガした二人が出てくるじゃん。あそこだけが抗えたっていうオチなんだけど。
た:私は最初登場人物が狙ってケガさせたっていうのでいいんじゃないかって思ったんだけど。
こ:そう、脚本通りに進むのがむかつくからケガさせてやろうよって話になったんだけど。
た:それだとそこも脚本の言いなりだよね、と。
こ:「ケガさせてやろう」って言っちゃったら、それは脚本の言いなりじゃん。セリフとして吐いてしまったら、それはもう木幡と竹歳が書いた脚本の通りに動いているってなっちゃう。だから偶然じゃなきゃダメなの。
た:登場人物が頑張っちゃった結果としてね、ケガをしなきゃ意味がない
こ:偶然だとオチとして弱いんじゃないかって話にもなったけど、やっぱ偶然じゃなきゃいけないんだよ。
た:登場人物はそういうことはしないのかな~とか思う。
こ:私はしてもいいとは思うけど、単純に劇としてまとまりが悪い気がした。劇をやるためだけに生まれた二人なんだから、劇を続けたいという気持ちの方が強いのかなと思った。
た:まあ最終的に汚い感じになりました。尿まき散らすし。
こ:散らしません。まあ、報復はしたいよね、みたいな気持ちは残ったまま終わっちゃったね…。きれいごとはあんま言えなかったね。「でも脚本を書き続けたいんだ!!」みたいなセリフは言わせられなかったね…。でもそれはそれでいいんだけどね。
た:すみません…ギャグの方が好きなんで…。
こ:いや、私も今の方が好きなんだよ。単にきれいごとを言っちゃうとクサくなっちゃうしね。
は:木幡さんは言わせたかったんですかね?
こ:言わせたかったっていうか、それしか思いつかなった。普通こう進んだらシリアスになっちゃうよねって。「もう何しても脚本の言いなりじゃないか…」って。でもそこから頑張って頑張って抗おうとして最終的にケガをするっていうシリアスさしか思いつかなかったの。ちょっと儚いというか。まあでも、簡単に言うと、これだとスベるよなと…。厨二臭いというか。
た:私はただただシリアスが嫌い。
こ:ホントはその方が自然なんだけど、しらけるかもなあって。
は:自然だし、言いたいことだったり、要旨はストレートに伝わりますよね。
こ:そう。でも、ギャグ調なんだけど、根底にある切なさはちゃんと見る側に伝わってればいいなあ。
た:感じ取れる奴だけ感じ取ればいいんですよ…。
こ:だから、こういうヤツがいるから~…そうしたんすよ。
た:せつねーだろーがどう考えてもよォ…。感じ取れねえ奴の方がおかしいんだ…。
は:感じ取れなかったなあww
こ:ギャグ調なんだけど、よくよく考えたらすげー悲しくない?最終的に残せたのはケガだけなんだよ!っていう。それが伝わってほしい…。
た:いいんだよ伝わんなくて。
こ:こういう人もいるからね。まあでも、私もそう。その脚本について深く考えた人間だけが初めて到達できる部分があってもいいのかなとは思う。客から物語にアプローチをとってくれた時にやっとわかるものがあるっていうのは素敵だよね。
た:ギャグ調にしてれば、深く考えない人間も楽しめるでしょ。
は:わかる、単純にエンタメとしても楽しめたらなおいいよね。
こ:私も易しくしすぎるのはよくないとは思う。だから脚本の中で自分の演じる役がいうことに100%同意してるわけじゃない。まあでもゴリゴリに喋らせるのはきもいと思う。
た:そうそう、キャラに代弁させてるみたいな。
は:語らせすぎたらテンポ悪くなっちゃいますしね。
こ:そうなのよ…。言っちゃえば説明台詞なわけじゃん。代弁させてるから気持ち悪いとか言う以前に、説明台詞に近いから、劇としてのテンポが崩れちゃうし、「物語」としてみてる意味がなくなっちゃう。じゃあポエムやってろよ!って思っちゃうんだけど、ポエムはポエムで一つの表現形式ではあるからね…。だから良し悪しに関しては、「いろんな劇の形がある」ってことで収めるしかないんだろうね。
た:でも書く側としては、「楽しませたい」より「言いたい」ってなっちゃうのもよくわかる。
は:うん、だからいかにそこを我慢できるか、だよね。
こ:ゲームと一緒でさ。ゲームってクリアできないと面白くないじゃん。だから全く理解できない脚本も面白くないと思うの。だからそこまでの道のりがある程度あって、考えれば何とかたどり着けるっていうのが理想だと思う。
た:ディスられてる!?
こ:違うんじゃない!?だから私はきっと近すぎて、お前は遠すぎるんだよ、道のりが。
た:かっこいい…。まあ人によってちょうど良い道のりが違うからね。
こ:私はまだわかってないんだけどね。うまい人はうまいんだろうねその調節が。私が書いた学祭のやつ(「※当店、カフェではございません。)とかはあれはもうね、一般人向けのすぐそこにあるものだった。マルちゃんさんと一緒にとにかくみんなにとってわかりやすい劇を書こうと思って書いた。でも君が書くやつは遠いんだよ。でもそれでいいの、それが個性だから。
た:そうそう、だから合う人は合う、合わない人は合わない、終わり。
こ:まあでもね、なるべくたくさんの人に面白かったって思ってほしいけどね。普段は自分の表現したいこととか特にないから、どっちかっていうと楽しかったって言ってもらうのが目的なんだよね。だけど今回はそっちからズレてみようかなと思った。
いかがでしたか??この金言の連発。さすが卒業生です。大好きです。
来年、こうなっていられるように精進します。
残念ながら、卒業公演は打てませんでしたが、卒業生二人のポリシーに感化されつつその実現に向けて努力しました。
二人の意志はきっと受け継がれるでしょう。(死にません。)
後編では「後輩へのメッセージ」、「後輩からの質問」をお届けします!
それでは、また明日~!!