それは起こるべくして起こった。買い物何もなし。ぶりのさしみ。あさから
妙にけだるい。何か起こるなの予感。いつものようにカラオケ喫茶。満員。
両脇をジジイに固められ、歌の順番を待つ翁。15人以上。例のダンスをする
4人組。不味い。スケベがいる。お嬢が来たら不味い。何と現れた。
しかもその男の隣。おいおい。耐えられるか翁。案の定ディエットに
誘われる。断れよお嬢。何事も断れ切れないお嬢。ディエットに誘われる。
肩を抱かれて、腰を抱かれる。うれしそうなお嬢。泣きそうな翁。つらいつらい
4時間。最後は泣きながら、秘恋をママの前で歌う。ママはわかってくれる。
翁が泣いていることを。多分こんなに気持ちを込めて歌ったのは初めて。
逃げるように帰る翁。涙で視界がかすむ。夕暮れの5月のくれ。家内に電話。
少し遅くなる。盛り上がったから。ただ盛り上がったのはお嬢たち。
こころに嘘をついてみる。お前が楽しかったらそれでいい。壊れそうな恋を
すくってなでる竹取の翁。もとには返らぬ。当分浮かび上がれぬ翁。
猫だけが好いてくれる。ああママもそうかも。お金持ってくるから。
全く身の不幸を嘆く翁。それでもカラオケ喫茶に行きますか?暇だから。