東京災害支援ネット(とすねっと)

~おもに東京都内で東日本太平洋沖地震の被災者・東京電力福島第一原発事故による避難者支援をおこなっています~

【院内集会】政府に対する要望書2012年9月6日

2012年09月06日 21時49分41秒 | とすねっとの要望書

    「区域外も高速無料に!原発被害者支援の具体化を求める院内集会」

政府に対する要望書

                               平成24年9月6日

 

内閣総理大臣 野田 佳彦 殿

復興大臣   平野 達男 殿

財務大臣   安住  淳 殿

国土交通大臣 羽田雄一郎 殿

厚生労働大臣 小宮山洋子 殿

文部科学大臣 平野 博文 殿

経済産業大臣 枝野 幸男 殿

その他関係閣僚 殿

 

東京災害支援ネット(とすねっと)

                           代表  森 川   清

 

                      福島原発被害者(避難者)有志一同

 

 

 原発事故による避難生活が長期化し、避難生活は厳しさを増している(後述の8月調査によると、世帯の生活費の増加額の平均は1か月約65,500円にも上る。)。原発周辺の住民の不安も大きい。原発事故の被害者支援は緊急の課題である。

 平成24年6月21日、原発事故子ども・被災者支援法(以下「支援法」という)が成立した。支援法第3条にも指摘されているように、この事故を引き起こした責任は国にもある。国は、原発事故被害者に率直に謝罪すべきであるし、支援法のほか、福島復興再生特別措置法、原発避難者特例法、放射性物質汚染対処特措法、その他の法律を駆使して、必要であれば新たな立法措置を講じる等して、原発事故被害者の支援に万全を尽くすべき責務がある。

 支援法に基づく政府の施策の大本となる「基本方針」には、原発事故被害者の意見を反映させることとなっている。とすねっとは、原発事故被害者に対してアンケートを行い、どのような支援が必要であるかを調査した(以下「8月調査」という。)。この要望事項は上記アンケート結果等に基づいた被害者の声である。これを盛り込んだ支援法の基本方針を速やかに策定し、適切な予算措置を講じて早急に施策を実施するよう求める。

 支援法には多々不備があり、支援法に規定のないことや、支援法の基本方針が未定であることを支援の実施を遅らせる口実にすることは許されない。したがって、緊急性の高い重要な施策については支援法の基本方針の策定を待たずに直ちに実施するよう求める。

 よって、院内集会参加の総意として、以下の施策の実施を要望する。 

 

第1 支援法の支援対象地域の指定

1 要望の趣旨

  支援法8条の支援対象地域は、福島県全域に加え、少なくとも、1年に換算して1ミリシーベルト以上に相当する空間放射線量が観測された地点を有する市町村を指定するよう要望する。

  この際、住民個人の権利を保護するため、自治体の意見を参考にすることなく、機械的に地域指定を行うべきである。

  なお、上記の空間放射線量の観測地点においては、政府・地方自治体・その他の公的機関・電力会社が測定した空間放射線量の数値だけでなく、一定の基準以上の装備を持った民間の団体または個人が測定した空間放射線量の数値も参照すべきである。

2 要望の理由

  原発事故により政府の避難等の指示が出ていない地域(以下「区域外」という。)から、多数の住民が避難している。その数は2万人を超えると言われている。区域外からの避難者(以下「区域外避難者」という。)は、「自主避難者」等と呼ばれているが、実際は避難区域等からの避難者と同様に被ばくをおそれて避難を余儀なくされた者である。一方区域外にとどまる住民(区域外住民)も、政府の避難指示がないため仕事の都合等からやむなく現地にとどまっている者がほとんどであり、被ばくをおそれて、被ばくを最低限に抑えるよう注意を払いながら生活することを余儀なくされている。支援法1条にもあるように、低線量被ばくの健康への影響・危険性については科学的に十分解明されていない。避難区域の内外を問わず、低線量被ばくのおそれがある地域は広がっている。支援法2条5項の「健康被害を未然に防止する観点」は予防原則の採用を表明したものであり、これに従い、避難区域の内外を区別することなく、幅広く被害者支援を行うべきである。

  そこで、支援対象地域の指定にあたっては、まず、被ばくの苦難を最も受けた福島県の全域を指定して県民の分断を防ぐべきである。また、福島県外の地域においても、公衆の被ばく限度の国際基準に鑑み、少なくとも、年1ミリシーベルト以上の空間放射線量が観測された地域においては、公衆の被ばく限度を超えないよう避難その他の防護措置を取る者を国が支援すべきである。そうでなければ、公衆の放射線防護を十分に図ることはできないからである。

  また、政府・自治体等の観測地点における観測結果に対する国民の信頼が十分でないことに鑑み、一定の装備を持った民間の団体または個人が測定したものであれば、支援対象地域指定のために参照すべきである。

  支援対象地域の指定にあたっては、被害者個人の権利を擁護する支援法の精神に従い、自治体の意見によって指定か不指定かが左右されることのないよう、参照すべき観測結果に従って指定を行うべきである。汚染状況重点調査地域の指定は自治体の意見を参考にしたが、これによって、一部の自治体では風評被害をおそれて地域指定を拒むという現象が生じている。こうしたことでは住民を被ばくから十分に守ることはできないから、自治体の意見は参考にすべきではない。

  なお、福島第1原発4号機の建屋の使用済み核燃料プールの状況が不安定であるから、使用済み核燃料の運び出しの完了までの間に建屋が地震等により倒壊して使用済み核燃料による臨界の生ずるおそれが払拭できない。したがって、空間放射線量が比較的低くても、福島第1原発から80キロ以内(原発事故直後に多くの外国が自国民に避難を促した距離)の地域においては臨界事故発生時の初期避難に困難が伴うことに鑑み、現時点で避難を選択する合理性が非常に高いことを付記する。本質的には、線量だけの問題ではないのである。

 

第2 支援法の基本方針策定に関わらず、前倒しで実施すべき施策

1 高速道路料金緊急支援

 (1) 要望の趣旨

   国土交通大臣は、福島県内の区域外避難者及び区域外住民に対する高速道路の無料措置を再開し、これを長期的に継続するよう求める。

 (2) 要望の理由

   被災証明書を有する原発被害者に対する高速道路の無料化は平成24年3月まで行われていたが、4月以降は区域外避難者・区域外住民に対する支援が打ち切られた(対象は警戒区域等からの避難者に限定され、期間も今年9月末までとされた。)。

しかし、区域外避難者は、生計維持者を地元に残し、母子のみが避難しているケースが多く、二重生活による生活費増に加え、週末の家族再会を支えていた高速道路の無料措置が打ち切られ、家族の存立までも危うくされている。無料措置のころと同様の頻度で行き来をしようとすると、生活費の増加は著しい。現実には会う頻度を減らしている。とすねっとの8月調査によると、無料措置の支援打切り後は、その前と比べ、二重生活世帯で再会する回数が1か月平均1.4回も減っている(1か月2.92回から1.52回へ減少。)。にもかかわらず、再会のための交通費は今年4月の支援打切り以降、平均15,786円も増加している。お金がかかるので、無理して一般道で長時間ドライブしてくる人も少なくない。無料措置の復活は区域外避難者の切望である。夫婦が、親子が、バラバラにされている。これはもはや、人道上の問題である。

   また、区域外住民も被ばくを最小限に抑えるため、週末や長期休暇に子らとともに自家用車で県外に避難することが多かったが、高速道路の支援打切りにより、こうした「週末避難」「短期避難」も経済的に難しくなっている。

   高速道路無料措置は、二重生活家族にとっては支援法9条1項の「支援対象地域からの移動の支援に関する施策」または「家族と離れて暮らすこととなった子どもに対する支援に関する施策」に当たり、区域内住民の週末避難にとっては支援法8条1項の「放射線量の低減及び生活上の負担の軽減のための地域における取組の支援に関する施策」とも考えられるし、避難先で自由に野外に出ることに意義があるとすれば「自然体験等を通じた新進の健康の保持に関する施策」にも当たる。このように支援法の支援対象施策となることは明らかである上、避難者・住民の要望が強く、緊急に対応が必要な事項であるから、基本方針の策定を待つことなく直ちに実施しなければならない。

   無料措置は、国土交通大臣が高速道路利用料金を徴収しない車両として原発事故避難者の車両を加える旨の告示(道路整備特別措置法施行令第11条)さえあれば可能である。早急に措置を講じるよう求める。

   また、原発事故被害者は、原発事故のために避難せざるを得なくなり、そのために高速道路を利用するものであるから、これらの者は原発事故がなければ高速道路を利用しなかった者である。これらの者から料金を徴収しなかったとしても高速道路会社に原発事故前と比べて経済的不利益はない。したがって、道路会社に対する予算措置は不必要である。

   福島県内の住民(県外避難者を含む)のすべてを対象とすれば、証明書類の発行の手続きにも支障は生じない。

なお、この無料措置は、週末避難を容易にすることにより、観光産業の振興にも資するものであり、早期に実施することが避難者受入自治体の地域住民のためにもなることを付記する。

 

2 住宅緊急支援

 (1) 要望の趣旨

  ア 国は、現在福島県内にいる区域外避難者に対し、災害救助法に基づき、直ちに住宅を無償で提供する施策を講ずるよう求める。そのため、厚生労働大臣は、福島県知事に対し、必要な行政指導を行い、職権発動を促すべきである。

  イ 国は、これから避難する新しい避難者にも避難先で住宅を無償で提供する施策を講ずるよう求める。そのため、厚生労働大臣は、新たな避難者受入れを打ち切っている各都道府県知事に対し、災害救助法に基づいて新規受入れを進めるよう指示を行うべきである。

  ウ シャワー・冷暖房器具などの付帯設備・備品が不足した住宅が存在する(特に雇用促進住宅において目立つ)ので、国は、それらの設備の設置状況の調査を行うとともに、不足している住宅には備えることを求める。

 (2) 要望の理由

   区域外避難者に対する住宅の提供は、支援法9条の「移動先での住宅の確保に関する施策」として実施すべきことは明らかである。しかし、福島県内では区域外避難者に対し住宅の無償提供がなされていない。これは生活費の増加を招いており、緊急に対策が必要であり、災害救助法に基づいて、基本方針を待たずに直ちに実施すべきである。方法は、民間借上げなど、いくらでもある。

   また、避難が遅れれば被ばくが蓄積するおそれがあるから、これから避難しようとする新しい避難者には基本方針の策定を待たずに、直ちに災害救助法に基づいて住宅を無償で提供すべきである。方法は、民間借上げなど、いくらでもある。厚生労働大臣は、各都道府県知事に対し。災害救助法31条の応援の指示を行うべきである。

   設備の不足についていえば、8月調査によれば、シャワーがほしい、冷暖房器具が不足している、広さ、部屋数が世帯人数に見合わない、お風呂の追い焚きができないため冬にとても寒い、設備が古いまま放置されている、などの声が上がった。特に雇用促進住宅での設備の不備が顕著である。シャワー、給湯器、エアコンは、公営住宅では設備が整っているところが多い(61~92%)が、雇用促進住宅ではこれらが整っているのはわずかである(17~33%)。避難者の世帯人数や年齢などに見合った住宅を提供し、日常生活を送る上で不便が生じないよう生活必需品・付帯設備を備えることが必要だ。付帯設備の設置、生活必需品の給付・貸与に遺漏がないようにするため、全戸調査を行い、不足がある場合には、早急に措置を講じることを要望する。

 

3 医療緊急支援

 (1) 要望の趣旨

  ア 国は、原発事故当時に福島県内に居住していた子どもの医療費を直ちに無料とするよう求める。

  イ 国は、原発事故当時に福島県内に居住していた成人を含むすべての者が、直ちに、甲状腺検査、ホール・ボディ・カウンター検査、血液検査、尿中セシウム等の尿検査、定期健康診断及び異常があった場合(例えば、甲状腺検査では結節やのう胞の所見のある者等)の2次検査を受けられるようにするよう求める。

  ウ 国は、イを可能にするため、上記の検査機器を購入する自治体に補助金を交付すべきである。

 (2) 要望の理由

   8月調査によれば、今後の健康に不安を感じる人は60%、将来の医療費に不安を感じる人は61%。

   福島県内の子どもの医療費を無料にすることは、福島県が政府に求めて実現しなかったものである。しかし、支援法では、13条3項によって一律の医療費無料化はできないようになっているが、支援対象地域に滞在する住民について「医療の確保に関する施策」(8条1項)として行うことも可能であり、支援対象地域からの避難者についても「その他の施策」(9条)として講ずることができると解される。

   子どもの医療費の無料化は既に各自治体である程度行われているが、避難者が制度を利用するには立替金が必要であったり、自治体ごとに制度が一律でなかったりするため、煩雑・不便な面が大きい。子どもに対する被ばくの影響を心配し、子育てに苦悩する原発事故被害者の暮らしを少しでも軽減するため、支援法13条3項の枠組みを超えて、原発事故当時福島県内に居住していた子どもの医療費については、直ちに無料とすることを求める。

   甲状腺検検査・ホールボディカウンタ検査についても、世帯で受けた人がいる(主に子ども)と答えたのは、いずれも3割にとどまった。甲状腺ののう胞などの異常が少なからずみられることに鑑みると、血液検査、尿中セシウム等の尿検査、定期健康診断及び異常があった場合(例えば、甲状腺検査では結節やのう胞の所見のある者等)の2次検査の無料化も必要である。8月調査では甲状腺検査等を受けた人は無料で受けており、検査費用が高額であることを考えると、これらの諸検査を国の政策で無料で受けられるように支援する必要性は高い。

 

4 放射性物質及び空間放射線量の測定のための緊急支援

 (1) 要望の趣旨

   国は、民間の団体または個人が、食品に含まれる放射性物質の測定や空間放射線量の測定を行えるよう、検査機器の購入に対し、補助金を拠出すべきである。

 (2) 要望の理由

   食品や線量に関しては、自分の目で放射能の有無を確かめたいという被害者が多い。政府が情報を隠しているのではないかという不信感もあり、民間による検査の需要は大きい。支援対象地域における食品検査や放射線測定のための機器の購入費用の支援は、支援法8条1項の「家庭、学校等における食の安全及び安心の確保に関する施策」に当たるものとして実施可能であるが、緊急の必要性があること、食費検査等は支援対象地域に限らず全国で必要であること等に鑑み、支援法の枠組みによらず、緊急に実施する必要性が高いものと考える。

   なお、この支援は、支援法の基本方針にも当然盛り込まれて実施されるべきものである。

 

5 除染の緊急改善

 (1) 要望の趣旨

  ア 国は、避難指示の出ている区域以外のずべての地域について、空間放射線量が年間1ミリシーベルトを下回るよう、放射能に汚染された地域の徹底的な除染を行う施策を講ずるよう求める。

  イ 国は、空間放射線量が年間1ミリシーベルト以上の地域について、自治体の意見にかかわらず、汚染状況重点調査地域に指定するよう求める。

  ウ 国は、専門家と自治体・住民の意見を聴いて、現在行われている除染計画及び除染方法をより効果的なものへと改め、除染によっても空間放射線量を著しく減少させることのできない地点・地域については、これを公表し、当該地点・地域からの避難を勧めるよう求める。

  エ 国は、復興の名のもとに、放射能汚染が完全に除去されていない地域に避難者を帰還するよう促す政策を取らないよう求める。

 (2) 要望の理由

   除染は、空間放射線量が公衆の被ばく限度を下回ることを目的としなければならない。しかも、被ばくは継続するので、住民の健康に対する危険のおそれを完全に除去するためには、除染に関しては緊急の対策が必要である。

   国は、避難区域以外で除染を行う市町村について汚染状況重点調査地域に指定しているが、現在は自治体が風評被害等の発生のおそれを理由に地域指定を受けることを拒否できる。現に、東京都内には指定を拒否した区があるとされている。除染の徹底という観点から、これを改善し、年間1ミリシーベルト以上となる場合は自治体の意見にかかわらず指定すべきである。

   除染方法についても、国が認める除染方法では不十分であるとの批判が栃木県那須町等の自治体からも上がっている(このため、那須町では独自の除染方法を定めるに至っている)。8月調査でも「今の除染はムダだ」という声が4割以上にも上った。一方で徹底的な除染を求める声も3割あった。こうした被害者の声を総合すると、専門家と被害者の意見を聴き、少なくとも今の除染方法を改善すべきである。また、山林のように十分な除染ができない地点を抱える地域については、その事実を明らかにし、避難を勧めるべきである。

 十分な除染ができないにもかかわらず、避難者に帰還を促して被ばくにさらすのは支援法1条の精神に反する。公衆の被ばく限度以上の被ばくをする地域からの避難者に対し、各種支援を打ち切るなどの帰還を余儀なくさせるような政策を取ってはならない。

 

第3 基本方針に盛り込み、実施すべき施策等

 1 交通費の援助

 (1) 要望の趣旨

  ア 国は、区域内及び支援対象地域からの避難者が家族と会うための交通費の全額を援助するよう求める。

  イ 国は、支援対象地域からの週末避難・短期避難・疎開等のための交通費の全額を援助するよう求める。

 (2) 要望の理由

   同じ家族の中で生計維持者と避難者が分かれて生活している被災世帯(二重生活世帯)については、家族が再会するためには高速道路料金、ガソリン代、鉄道・バス料金等の交通費が必要となる。二重生活世帯の多くは、子どもが放射能の影響を受ける事のないようにしたいとの考えから避難している。その避難している子どもが、交通費がないために生計維持者の親と会う機会が減少しているのは人道に反する。

   避難者の交通費無料化は、「支援対象地域からの移動に関する支援に関する施策」に当たり、「家族と離れて暮らすこととなった子どもに対する支援に関する施策」にも当たる(支援法第9条)ので、実施すべきである。

   この援助は、事後的に申請することによって支出額の支給を受けられるようにすべきである。支出額は国が立替え、東京電力に求償すればよい。

   滞在者の週末避難・短期避難のための交通費援助は、支援法8条1項の「放射線量の低減及び生活上の負担の軽減のための地域における取組の支援に関する施策」とも考えられるし、避難先で自由に野外に出ることに意義があるとすれば「自然体験等を通じた新進の健康の保持に関する施策」にも当たるので、実施すべきである。

   なお、上記の交通費援助は究極的には「被ばくから逃れる自由」を実効化する人権上の施策であるところ、「被ばくから逃れる自由」は子どもにも大人にも等しく認められるべきであるから、アの家族を子どもに限定したり、イの援助を子どもも限定することは許されない。

 

2 住宅に関する施策

 (1) 要望の趣旨

  ア 国は、数十年単位の長期もしくは期間を定めず、避難者向けの住宅を無償で提供するよう求める。

  イ 国は、原発被害者については、アの長期的な住宅提供が必要であることに鑑み、速やかに仮設住宅から公営住宅や民間住宅への転居を進め、その転居費用も支出するよう求める。

 (2) 要望の理由

   8月調査によれば、避難者には、帰還を考えていない人も約半数に上る。区域外でも、「子どもが大人になるまで」等、当面は帰還を考えていない人は多いのが実情だ。

   原発事故の被害を受けた地域については、原発事故前の状態に復旧するにはかなりの長期間を必要とするのだから(支援法2条6項参照)、支援法9条の「移動先における住宅の確保に関する施策」として、数十年単位の長期もしくは期間を定めず避難者向けの住宅を無償で提供すべきである。

 

3 医療支援

 (1) 要望の趣旨

  ア 国は、「原発事故被害者手帳(仮称)」を交付し、原発事故当時支援対象地域に居住していたすべての者(成人を含む。)が、甲状腺検査、ホール・ボディ・カウンター検査、血液検査、尿中セシウム等の尿検査、定期健康診断及び異常があった場合(例えば、甲状腺検査では結節やのう胞の所見のある者等)の2次検査を受けられるようにするよう求める。

  イ アの各検査は、避難先等現在の居所の近くで、無料で、最低1年に1回は受けることができるよう求める。

  ウ アの検査結果は速やかに受検者に明示し、原発被害者が被ばくの健康に対する影響・危険性に関する正確な情報を得ることができるようにするよう求める。

  エ 国は、支援法13条3項に従い、子ども・妊婦に限らず、広く原発被害者に対し、広範囲にわたって医療費の支援を行うべきである。

  オ 国は、避難生活の長期化等の影響により心の傷を負った避難者に対する精神面のケアも万全を尽くすべきである。

 (2) 要望の理由

   原発事故は国の責任による事故(支援法3条)であることから、すべての原発事故被害者の甲状腺検査・ホールボディカウンター検査、健康診断の費用は当然無料とすべきである。国は、支援法13条3項に基づき、原発事故被害者には被爆者手帳と同様の「原発事故被害者手帳(仮称)」を交付するなどして、国の責任で、被害者の健康管理を行うべきである。内部被ばくその他の健康状態に対する診査を速やかにかつ継続的に行う(支援法13条1項)ためには、診査は避難者の負担を考慮すれば、現在避難している居所の近くで、甲状腺検査・ホールボディカウンタ検査等を無料で行うべきである。

   また、子どもは成人よりも放射能の影響を受けやすいのであるが、医療支援は子どもに限るべきではない。成人も放射能の影響を受けることに違いはない。また、原発事故による放射能の影響は長期に渡るものであり、放射能の影響による発病までは相当の時間の経過を要することを鑑みれば、原発事故当時子どもであったが、成人になって発病することは当然想定される。そのため、支援法13条3項の「医療の提供のかかる必要な施策」として、子どもや妊婦に限らず成人に対しても医療費を免除すべきである。

   検査結果に関する情報は、受検者に対し、迅速かつ正確に提供し、甲状腺の結節やのう胞等少しでも異常の見つかった者には精密な2次検査を受けさせるようにしなければならない。

   また、避難者の将来の不安や二重生活などによる精神的疲労が顕著となっているため、また、災害により心の傷を負った人々に対する心のケアのために専門家による長期的な支援を求める。

 

4 雇用支援

 (1) 要望の趣旨

   ア 国は、原発事故避難者を雇用した場合、税制等の優遇措置を講ずるよう求める。

   イ 国は、国の機関や自治体に対し、原発事故避難者を積極的に正規雇用で採用させる施策を講ずるよう求める。

 (2) 要望の理由

   原発事故避難者の生活が困窮化していることに鑑み、「移動先における就業の支援に関する施策」(支援法9条)として、正規雇用によって安定した暮らしを可能にする雇用政策を取るよう求める。転職については、年齢制限による不利益のないよう、また、避難前と同条件による雇用を確保することを要望する。

   8月調査も40代以下の57%が就労支援が必要と答えている。

 

5 行政サービス

 (1) 要望の趣旨

  ア 原発避難者特例法に基づく指定市町村を支援対象地域に広げ、避難者の要望に基づいて住民並みのサービスが受けられる特例事務を広げるべきである。

  イ 国は、学校教育や社会教育において、被ばくを受けた者や被ばくから逃れようとする者の権利を積極的に擁護することを教える人権教育を推進すべきである。

 (2) 要望の理由

   避難先に住民票のない全ての避難者について、避難先の他の住民と同じ住民サービス(役務の提供)を避難先の自治体で受けられるようにするよう求める(支援法9条)。現在は特例法の範囲に限られているため、いわき市の住民は対象になるが、福島市や郡山市の住民は対象にならない等の不公平が生じている。指定範囲は、支援対象地域全部に広げるべきである。

   自治体は教育・保育等の実施主体でもあり、住民並みサービスを提供することは、原発被害者たる子どもの就学等、学習等の支援すること(支援法8条1項、9条)とも合致する。

   さらに、国は、避難先で就学した子供たちが、原発事故による避難者に対する偏見によっていじめ問題が発生しないように配慮する必要がある(支援法2条4項)ので、「その他必要な施策」(8条1項、9条)として、被ばくを受けた者や被ばくから逃れようとする者の権利を積極的に擁護することを教える人権教育を行うべきである。

以上

 

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