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【276】あんたは何をしようとしていた

 あたし【240】の頭の中はいつも訳のわからない極秘の内容でいっぱいだった。第三世界【268】では極秘でもなんでもないからいくらでも喋ることはできたけれど、何を言っても奇妙な堅苦しい言波にしかならないから、みんなタバコ【39】の煙みたいに煙たがったわ。ヘヴィー・スモーカーだったのよ。長い間極秘だったせいか、父さん【272】は無口な人だったけれど、あたしはお喋りな母さんの血を受け継いでいたのか少しも黙ってられなかった。だから、いつも一人で何時間も喋り続けながら涙を流していた。一人で喋ってることがばれないように、手の甲が白くなるまで受話器をずっと握りしめながらね。もしも第一世界(ここから始まる【◯】)に行けたなら、あたしは必然的に極秘書類【272】になる、そうすれば本来の自分の言波だけで喋ることができるはず、そう考えたのよ「その通りになったのかい?」いいえ、あたしは無口で陰気な架空の女【277】になっただけだった「それがどうしてサランジュ師に?【278】

 

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【273】だから君たちは――

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