注釈の注釈による超現実詩小説
棺詰工場のシーラカンス
【291】フランスパンで殴りつけた アンクル・ボブ
この誇り高きダイバーもまた貴重なフランスパン【15】の持ち主の一人だが、本名がロベールなのにダイバーダッタと呼ばれているのは、還俗したばかりか嫌悪するフランスパンを武器がわりに腰に携帯するなどの三逆罪を犯して仏教界から末尾にダッタという過去形を付与されたためだった。
その一方で、いつかは水星【256】に乗って太陽を一周してみたいと願うあまりビッグ・ウェンズデー【263】を乗りこなすまでになり、世界有数のサーファーであるアンクル・ボブとして顔が知れ渡っている。普段は覆面【222】の一部族である黒いダイビングスーツを着こんでアンクル・ボブを包み隠すとともに、レスキュー隊員ロベールであろうと努めている。還俗によりまだ見ぬ両親から勘当されてしまったロベールだが、その波乱の出自をも至上のくるぶし【7】の廻転でのりきり、自分は水星で産まれるべき人間なのだといよいよ決意を固め、空をわずかに見上げただけで休む間もなく次の現場【296】に向かうのだ。
……すでに其許にも見当がつこう。UMにはAが足らねえ。つまりAこそがすべての根元を表す海の隠された名前なんだって。なんの色彩もない、不定形な体液に満とぅあさぅあれた、あぅりとあぅらゆる可能的存在ぐぁ、今と変わらぬ球体の海。陸地など瘡蓋にすぎんのだよ君い……
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