goo

【256】水滴への変態を終える・水星・水銀

 クモは体内に蓄積された水銀を排出するために脱皮を行う。雨後に残された表皮の水銀は、大小の微生物に細かく分解されながら地中深くにある広大な空洞へと流れ込み、数十億年かけて内惑星である巨大な水星を形作ってきた。日の出前になると海面を大きく波立たせながら【263】浮上する水星は、天空に向かって上昇していくにつれ、楕円軌道に沿って細長く膨張し、その日の気候や交錯する視線の状態によって移り変わる空色、鮮やかな七色などをつややかな表面に溶け込ませて虹【264】となる。太陽の背後を回り込んで地球に戻ってきた後は、収縮しながら元の球形を取り戻し、日没直後の海中に沈んでいく。いわば巨大な温度計である。水星と接触している間は、大量の水銀が海中に溶け込むのだという。

リンク元
【251】雨・水の卵【27】さまざまな種類のパン

コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )
« 【255】頻繁に... 【257】雨と呼... »