肯定的映画評論室・新館

一刀両断!コラムで映画を三枚おろし。

『サイレントヒル』、観ました。

2006-12-01 19:48:37 | 映画(さ行)

 

 『サイレントヒル』、観ました。
原因不明の悪夢に苦しみ、「サイレントヒル」とつぶやく娘シャロンを救うため、
旅に出た母親ローズ。薄闇の中、二人が辿り着いた街“サイレントヒル”で
シャロンは突然姿を消してしまう。ローズはシャロンの影を追って街の中を
彷徨い始めるが、そこは決して抜け出すことの出来ない恐怖に包まれた街だった…。
 仮想現実、謎から謎へ、さすがあの手この手で見せ場を作り、目まぐるしく
変化する展開は息つく暇もない。この原作が社会現象にまでなった人気ホラー
ゲームだというのも頷ける。確かにグイグイ引き込まれ、最後まで観てしまった。
ただ、そういう“映画の楽しみ方”とは別に、この作品を“映画的”とみるか、
はたまた“ゲーム的”とみるかは、やはり“後者”の方になるのでは。例えば、
通常の映画ではストーリー全体をひとかたまりとして、そこに“起承転結”を
付けていくスタイル。一方、本作『サイレントヒル』では、映画が始まるや
いなや、まるで恐怖の迷宮に迷い込んだよう。最初の(1ST)ステージを
クリアすると次なる(2ND)ステージ、更にその次の(3RD)ステージという
具合に、グレードアップしながら“新たな関門”が待ち受けている。そして、
注目したいのが“アイテムの使い方”。今作でも、懐中電灯、鍵の束、手錠、
ナイフなど、偶然手に入れた(あるいは取り付けられた)アイテムが、次なる
困難脱出のヒントとして重要な意味を成していく。いわゆる、このあたりは
“RPG(ロール・プレイング・ゲーム)の特徴”だものね。
 そんな感じで、映画はゲーム体験者が“あの感動をもう一度”と思って
観るなら差し支えないが、(ゲームの事を)何も知らないホラー映画ファン
にとってはチョット物足りないのかも…。オイラが観ながら不満だったのは、
テーマとなっている親子愛(家族愛)を、母が子を思う…、その片側からしか
描かなかったこと。それからヒロイン夫婦の関係も分かり辛いし、家族三人の
立場を明確にすることで、映画はもう一歩奥行きのあるものになったと思う
のだけど。

 

 



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