学生時代のS曰く「前のブログは、書いている内容と一定の距離のあるスタンスだった。今は照れのない地方発信の映画評ブログになっていると思う。」・・・。2年くらい前、私ごときのブログが、結構、人気(ひとけ)あるところだった、これでも。プライベートを頭に書くうちに、トラックバックしていたただく数も、コメントをいただく数もガクガクと減少し、閑散としたブログに生まれ変わったのだ。ぬははっ!3年前、2年前、自分の書いたブログを読んでいると、今では到底書けない記事を書き殴っている。恐れを知らぬ書き方・・・あの頃の方が、実は楽しく書いていたのかもしれない。なんだか、情の熱がある。しこたま観ていたから、しこたま書かなければならないという焦りが毎日あって、どんなに朝が早くても書かなきゃ寝ない!なんて、自分を縛ったりしたものだから、窮鼠なにをや生む・・・だった。
大阪も地方だが、もっと地方発信である。ここは首都、東京から1000キロ遠く離れた山口県下関市。ところは本州でも、本州の最先端、電車に乗ると5分で九州、映画の配給は九州扱いである。ジタバタしても仕方ないので、徹底的に本州の端っこを意識してブログを書く事にしよう。にしても、下関発のコンスタントに更新している映画専門ブログは、検索しても他に見かけない。あるのだろうか。下関の映画ファンが、下関の映画の状況をどのように見ているのか、無性に知りたい。私だけが吼えても、犬の遠吠え、吼える犬は噛めない。
わけわかんない、アホなことをズラズラと書いたが、この映画、実にアホな映画である。褒め言葉である。超有名な俳優を配し、その超有名な俳優たちが、すべてアホ。やることなすこと、すべてアホ(素晴らしい)。極秘のCDって・・・んな、アホな。そのアホたちを操るのが、とてもアホ(めっちゃ、褒め言葉である)な思わせぶりをいっぱい仕掛けた脚本、それに、丁寧な演出とカメラワークと編集だ。アホを真面目に撮っているのが、アホらしい。
特に、ブラッド・ピットのアホさはぴか一で、特に何もしていないフィクスカットまでもアホ面で、この俳優、うまくなったなあと感心する。そして、アホな行動に、とても丁寧なハラハラドキドキの後、アホ面満開で、あっけなくズドン・・・アホくさい。ジョン・マルコビッチの勘違い丸出しのアルコール中毒のアホさ加減も、アホらしくていい。マルコビッチ、まさに穴が開いている。銃を撃たないジョージ・クルーニーは、アホな撃ち方で、アホを殺す。で、そこにいたってしまうまで、もう狭い世界で、くんずほぐれつの、元通りにできないアヤ取りみたいなややこしい話。収拾がつかなくなる。この収拾がつかない筋に、クソ真面目に考えるCIA幹部たちのシーンが時々、出てきて、どーしたものかクソ真面目に考える。これを思うと、CIAは、脚本家なのではないだろうか。さて、ここまで書いたものの、どう収拾していいものやら、ちょっと落ち着いて考えましょうや・・・いや面倒だ、とりあえず話を進めましょう(これも計算なのだけれど)。
世界を舞台にしているわけではない、地球からどんどん絞り込んで、ある一点の、一箇所の物語なのにネ。進むこどに、どんどんややこしくさせる。もう、厄介だ。そろそろ上映は2時間、ここらで、CIAにまとめてもらいましょう・・・彼らなら、全体を把握できるはず。そして、このラストシーンのCIAの会話は、素晴らしすぎる。天才じゃないかと思うような台詞。
つまらないと思う観客もいるはず、あまりのことに唖然とする観客もいるはず、クスクス笑いっぱなしの観客もいるはず・・・たっくさんの感想がありそうだ。私としては、流石はコーエン兄弟だと感心した。前年、アカデミー賞を獲得した「ノーカントリー」のコーエン兄弟。受賞した「ノーカントリー」の次だから、これはもう、私のようなバカ映画ファンには、とてもたまらない逸品であった。この映画の語りたいことは!?・・・考えればいろいろあるのだろうけど、私は考えないし、そんな頭も持っていない。私には、「仕掛けて殺して日が暮れて・・・バカバカしくって、おてんと様も笑ってらぁ。」で、いいのだった。
そして・・・まったく違うといわれそうだが、私としては、観終えた後の自分の体が何ものかに包まれたこの感じ、実に「ノーカントリー」の後味と似ているのだった。 <85点>
ランキング ← 参加しています。クリックしてネ☆