この作品がネックになり、3本のハシゴのスケジュールが難しかった。本作は、なんばでも上映していて、なんばで観ることができれば、すべてをなんばにして、難しくないスケジュールを立てられた。一度、スケジュールを立てたのだが、私はそれを崩し、梅田へと場所を変えた。なんばでは、日本語吹き替え版のみの上映だと、後で気づいたのである。よほどのことがない限り、吹き替え版なんぞではなく、そのまま観たい。お子ちゃまの為か、アメリカ人のように日本人も字幕と画を一緒にみられなくなったのか、この頃、吹き替え版が多くなってきた。
今日は3作品とも、犬が出てきた。「マリと子犬の物語」は、犬そのものの話。「アイ・アム・レジォンド」は、犬がキーになって、私たちはこの世に何が起こったかを知ることとなる。もちろん、すべて愛犬である。本作も愛犬だが、小道具しとして扱っているのみ。前の2本を観ずに本作を観たならば、何も思わなかったろうが、犬に対する扱いに不満だった。整形をして別人になっても、犬にはわかる・・・このヒネリは面白いのだが、それだけに使われて、犬がかわいそう。本作は、日本のコミックをヒントに、韓国が映画化したのだという。
よほどの自信がなければ、本作に主演することに疑問を感じるだろう。鏡を見て、自分の美しさに唖然とし、感動のあまり涙するなんて芝居、シラフではできそうにない。主演女優賞を獲得しただけあって、この女優、うまいし、肝もすわっているように思えた。手術前のメイクは、ちょっとやりすぎで不自然だが、「痩せゆく男」以降、この手のメイクは、進んでないのかしれない。でも、太って裏方に入っている彼女は、形が変わったことで、表に出て、性格まで変わることが出来た。整形して、よい方に変わったのらば、それでもいいんじゃない?と、思うけれど、男というものはいい加減なもので、もし彼女だったら、一重を二重にするだけでもイヤだろうと思う。そのままがいい。惚れた男は、どいつもこいつも、その女の前では腑抜けになる。だから、男は女より強いと踏ん張っているところがある。
女性を商品みたいに扱ったドラマは、世の中にはいろんな人がいるので、キーキーと叫ばれるかもしれない。ぶっ細工な女性が、とんでもない美人になって、「人は見た目ではなく心だ」としたいようだが、私は、見た目がいかに大切かをまた、認識させられた。顔の出来具合、体の出来具合で、人生って別物になる。その通りで、ひとつの人生でふたつの顔、体を持ったのだから、この映画の中の主人公の人生も変わる。やっぱり、不細工より美人に生まれて生きていきたいはずだ。男も女も。幸せをつかむ第一の基本みたいなものかもしれないとまで思う。しかし、「美しくも醜くも、ただただ、骨と皮の技なり」と思っている節が私にはある。そりゃあ私も、美男になりたいかと言われれば、もちろんなりたい。不細工だと言われても苦笑いするだけの男衆.。イケメンという言葉は、男のためにある。女が男に言う言葉だ。
ぼーっとして楽しめるコメディ映画だが、ちょっと上映時間が長すぎる。コメディ、ホラー、スプラッターの類は、90分くらいがちょうどいい。「自分自身を認めること」・・・そんな大きなテーマをぶつけられてしまうので、観るこちら側はたじろいでしまう。難しいテーマで理解を求めようとしているけれど、見た目が変わることによって、人生が変わってしまうという爆笑映画でいい。ただ、私の場合、整形がOKかどうかは、他人ならばOKで、身内ならばNGというだけ。他に深く掘り下げるものは私にはない。
夜11時を過ぎて、梅田から地下鉄に乗る。師走の日曜日の夜は、地下鉄もガランとしていて、珍しく座って帰ることができた。それにしても疲れた。3本のハシゴよりも、映画と映画の間があきすぎたせいだ。時間があくと、体も頭もたるんでくるのでいけない。今年の3本のハシゴは、これで終わり。荷物をまとめ、帰郷の準備を進めなければならない。 <70点>
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