安野モヨコの原作を写真家蜷川実花が初監督して、土屋アンナが主演している話題の映画。
私は原作未読、予備知識無しで観賞。「花魁」「吉原」だけが事前に仕入れた情報でどういう展開が待っているのかしら?と思ったら王道一直線のストーリー。私は「お約束の展開」って大好きです。でもね、ストーリーに意外性がない時は演出や脚本でどうにかこうにかしてくれないと、魅力が半減してしまいます。
静止画として見たら美しいシーンはあったけど、映画として全体を観た場合に美しく撮るべきシーンが違うだろうと思ったのです。新造きよ葉としてアンナちゃんが画面に初めて登場したシーンに比べて、日暮と名を改めて花魁道中をするシーンや、主人公が生きる世界を演出する桜のシーンのインパクトが弱く、全体的にぼやけてしまった感があります。
濡れ場のシーンは「乳房はいいけど乳首はダメ」「腰骨まではいいけどお尻の割れ目はダメ」という撮影の制約がわかるようなカメラワーク。大胆な濡れ場を撮りたいなら脱ぎっぷりのいい女優を選べばいいし、自分のイメージする女優を使いたいなら肌の露出にこだわるのではなく、哀しい官能の世界を表現するための他の手法を選ぶべきです。
虚構の世界「吉原」でしか生きられない花魁、花魁が夢見る外の世界の対比や各登場人物の心情を独特の色彩、音楽で見せてほしかったです。物語後半は私でも先読みできてしまう台詞と展開が続きイタかった・・・。「てめぇの人生、てめぇで咲かす」と言い放つほどの人生を彼女が選んだとは思えないラストシーンも不満足。
非常に期待が高かった作品だったので、観賞後はなんだか残念な気持ちになってしまいました。作品の質がどうこうではなく、私好みの作品ではなかったということだと思います。