青色をテーマにした、谷川俊太郎と堀本恵美子の詩画集。
宇宙や魂の深い想いを表現してきた詩人と、宇宙や心の交流を青で探究し、深遠でいながら優美な作品を発表しつづけてきた画家が響き合う詩画集。空から宇宙へと続く無限の世界へと誘う。
どんなに深く憧れ、どんなに強く求めても、青を手にすることは出来ない。
救えば海は淡く濁った塩水に変わり、近づけば空はどこまでも透き通る。
人魂もまた青く燃え上がるのではなかったか。
青は遠い色。
谷川さんの一編の詩と見開きに、堀本さんの青の絵がセットになって。29作品。
遠い青の世界に、吸い込まれるような詩画集です。
空の青、海の青、が宇宙の果てに続く…。
読みながら、なんだか、宇宙空間を浮遊して地球をながめているような不思議な気分になる本です。
あとがきより~
好きな色はと問われると、青と答えます。思い描く青は、空の青。しかし一口に言っても限りない階調をもつ。
午後おそい丘の上のそろそろ褪せ始めた淡い青、
真昼の砂漠の稜線に区切られた目を拒むような深い青、
金色に縁取られた雲のまわりの逆光に眩しい青
多彩な青にいつも切なさに似た気持ちを覚えます。
空の青が宇宙の無に等しい無限に続いていると思うからでしょうか。
青という色というより、ひとつの心の状態とも言うべきものが、
毎日の生活とはちょっと違ったところへと、私たちをいざなったからではないでしょうか ~谷川俊太郎
子供の頃から空を見ると「この青い空は地球の反対側にいる人の上にも続いている」と思い、豊かな幸せな気持ちになれました。
この青の色は、宇宙飛行士が「地球は青く輝いていた」と語るように神秘的で私たちを永遠に誘ってくれます。
不可思議で捉えがたい世に聖を受けた私たちが、安らぎを青の中に感じるのも、宇宙の神様の計らいなのかもしれない。
宇宙や魂の深い想いを表現される谷川さんの詩と、私の青の絵がともに響き合える「青は遠い色」が生まれたのも偶然とは思えないのです。
~堀本恵美子