言いたい放題

世相を斬る!

脱線事故から2年

2007年04月25日 | 事件・事故
107人の命を奪った脱線事故から2年。JR西日本は変わっていない。

志望の大学に進学して希望の生活をスタートさせた者、連休を前に心を弾ませていた者…。何の罪もない乗客が犠牲となった。2005年4月25日午前9時18分のことだ。

2年たっても、遺族の悲しみは癒えない。負傷者もPTSDに苦しんでいる。にもかかわらず、JR西日本は、107人が死亡し、500人余りが負傷したという事実を真摯に受け止めていない。それは、その後もトラブルが絶えないという事実。「今もコストダウン優先で、安全も外注している」という関係者の弁からも分かる。

現社長は「取り返しのつかないことをしでかした」というが、贖罪の意識は、社員に共有されているとはいいがたい。

補償交渉が難航しているというが、JR西日本の誠意のなさが遺族・負傷者の神経を逆撫でしているからであろう。当時の責任者は、引責を装っただけで、関連企業に天下って、ぬくぬくと生き長らえてる。被害者に接触していないというから驚きだ。

「生き残ったことに罪悪を感じる」という負傷者の言葉、「食品会社の場合、不買運動で叱責することが可能であるが、鉄道の場合、消費者は他の商品を選ぶことができない」という一般乗客の不安の言葉を、JR西日本は、どう受け止めるのか。

エントリー記事0076号


高1レスキュー隊登場!

2007年04月21日 | ほのぼの
高校生のレスキュー隊が駅のホームから転落した乗客を救出した。

このレスキュー隊、6名の高校1年生からなるもので、JR阪和線和泉鳥取駅でホームから転落した乗客1名を救出した。1名が列車の進入を停止して、3名が線路に飛び降りて乗客を引き上げ、2名がホーム上で受け止めるという役割分担と連携で無事救出を果たした。

といっても、「レスキュー隊」は常設のものではなく、たまたま居合わせた下校中の高校生が、とっさの機転と勇気で変身したものである。

関連記事;
イザ:高1お手柄6人組!見事な連係プレーで転落男性救助

エントリー記事0075号


「開戦前夜?」

2007年04月13日 | 時局
数に任せて議会政治を踏みにじる傾向が一段と強くなった。

政府与党は、国民投票法案を強引に成立させようとしている。衆院憲法調査特別委員会は12日、国民投票法案(与党案)を可決した。これにより、国民投票法案の今国会成立は確実となった。

国民投票法案は、憲法改正に直結する重要法案だ。にもかかわらず、政府の拙速にブレーキをかけるべき“民意”が存在しないのも、不安材料である。選挙の投票率は、地を這うように低迷を続けている。日本人は「黙する民」らしい。

政府はごり押し、国民は黙して語らず。太平洋戦争の「開戦前夜」を思わせる。

留年と自殺

2007年04月10日 | 事件・事故
留年は社会的に不名誉なことであるばかりでなく、卒業が遅れることで不利益をももたらす。ところが、その決定権が一人の教員の手中にある。その不合理が、高崎経済大の事件であぶり出された形になった。

高崎経済大は、自殺した学生の担当教員を懲戒免職処分にした。過剰な宿題を与えておきながら、留年を通告し、学生を自殺に追い込んだとされる准教授を「教育的配慮を欠いた」として懲戒免職処分にしたのだ。

教科によっては、単位不授与が即留年となることもある。一人の教員が、留年という“処分”の権限を握っている教育制度にも問題がある。留年が相当かどうか教授会で審査するなど、「公正・公平」を担保する仕組みが必要であろう。

それにしても、命がけで命を救った警察官、265gの極小未熟児を懸命に育てた医療チーム…がある一方で、簡単に絶たれた命。釈然としない。命の価値は同じはずである

関連記事;
読売新聞:「留年通告」ゼミ生自殺、高崎経済大准教授を懲戒免職
イザ:「宿題提出しなければ留年」で女子学生が自殺 通告の准教授を免職

エントリー記事0073号


ハニートラップ

2007年04月08日 | 事件・事故
イージス艦の機密漏えい事件は、「ハニートラップ」だという。色仕掛けにまんまとはまるとは、この国の危機管理の甘さにあきれてしまう。

しかし、私は別の観点からこの国の危機管理の甘さを指摘したい。膨張を続ける首都圏である。

この国は、明治以来“中央集権”を愚直に進めてきた。その結果、首都とその周辺に人口の4分の1が集中するという異常な事態となってしまった。

政治、経済、文化…国の中枢が一極に集中することは、国防上極めて危険である。具体的には、1本で5000人もの乗客を運ぶ列車を爆破すれだけでも、相当なダメージを与えることができる。

地下鉄サリン事件は、それを見直す契機となるはずだったが、12年がたち「喉元過ぎれば熱さを忘れる」で、本質的な問題から皆が目を反らしている。首都機能の分散も論じられなくなった。

今回の機密漏えい事件をきっかけに、一極集中の見直しを含めた、大局的な国防を論じるべきだ。「なんでも中央」の盲信に歯止めがかかれば、地域間格差を是正することも可能だと思うのだが、現在の政権では無理だろう。宰相は憲法改正に夢中だから。

首都圏の電車が弱くなったのか

2007年04月07日 | 現象
6日放送のNHK特報首都圏(関東地方ローカル)は、「“きょうも電車が遅れた”~乱れるダイヤ・遅延の対策は~」と題して首都圏の鉄道会社が抱える問題をレポートしている。

まず、田園都市線は、毎朝10分前後遅れるが、原因が鉄道会社による開発が過剰となったため、乗客が集中する急行の乗り降りに時間がかかると分析している。そして、めぼしい解決策を見出せないため、急行の運行を各駅停車に変更することになったと報じている。

他方、度重なるJR東日本の車両・信号の故障は、電子部品の劣化の予兆を把握することが困難であることが主な原因であることを伝えて、1系統が故障しても運行を確保できるよう、バックアップのため、2系統に増設したと改善策を報じている。

番組は、終始鉄道会社の問題と捉えていたが、鉄道会社の努力で解決できる範疇を越えているのではないか。国民の4分の1が集中する関東地方の都市機能が限界に来ていると言ってもよい。

効率を求める資本主義社会では、生産も消費もまとまった方が効率がよい。したがって、人口が集中するのは、当然の成り行きである。夥(おびただ)しい人間を夥しい電車が運んでいるのだから、遅延,故障,そして事故を未然に防ぐのは困難なのかもしれない。

関連サイト:
特報首都圏

エントリー記事0071号


きれいごとでは済まされない赤ちゃんポスト

2007年04月05日 | 現象
熊本市は、親が育てられない新生児を引き受ける「赤ちゃんポスト」の設置を認可した

これに対して、安倍首相は強い不快感を示した。「お父さんお母さんが赤ちゃんを育てるべきだ」と言う。

ごもっともである。たしかに、育児放棄は、刑法の遺棄罪にあたる行為である。

しかし、考察が浅いと言わざるを得ない。首相は、長年現場で闘ってきた産婦人科医の苦悩を推し量っただろうか。

この制度は、相談しやすい環境作りも施されており、かつて頻発したコインロッカーに嬰児を放置する行為と同一ではないのだ。嬰児が命を落とす現実から目を反らさず英断を下した熊本市を支持したい。

原則論で全てが片づくと思い込むのは、育ちの良さゆえんか、少なくとも対案を示さなければ、首相の批判は説得力がない。

関連記事;
東京新聞:『捨て子』 苦渋の決断 赤ちゃんポスト許可
産経新聞:赤ちゃんポスト 母子を救う「匿名出産」

エントリー記事0070号


「受胎告知」が意味するもの

2007年04月03日 | 文化・娯楽
レオナルド・ダ・ヴィンチの初期の傑作「受胎告知」が、東京国立博物館で展示されている(6月17日まで)。ヨーロッパを出るのは初めてという。

この作品について学芸員は言う;
この作品は、斬新すぎて売れなかった。「受胎告知」は宗教絵画として、多くの画家が取り組んだが、告知を受けているマリアの表情が乏しい、場所が屋外…と当時としては、異色の手法が受け容れられなかったのだ。諸国流浪が、彼の全方位的才能を開花させたのだが、もしメディチ家などのパトロンのお抱え画家になっていたら、かかる才能が花咲くことはなかっただろう。

物事がどう作用するのか、分からないものだ。まさに「万事塞翁が馬」である。

ちなみに、この作品右斜め下から鑑賞するのがベストらしい(マリアの右手が長いのもこのため)。

関連サイト:
特別展「レオナルド・ダ・ヴィンチ ? 天才の実像」