ファンタジアランドのアイデア

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ファッションの力、それは速さを伴った予見の力だ アイデア広場 その274  

2017-11-19 16:54:57 | 日記
 

 海外メディアやアーティストが、東京のファッションに注目しています。ファッションには、来たるべき市場を先取りする機能があります。この機能は、前もって市場の姿を描いて見せるものです。西洋では、王政の廃止や産業革命により、従来の価値観は蹴散らされました。それでも女性の盛装は、コルセットに代表される生産に参加することを免除された仕立てになっていました。女性の盛装は、男性の富が支えていたものだったのです。これらの形式主義の枠組みを、第二次世界大戦後の民主化の流れが破壊していくことになりました。創造的破壊が、現在まで繰り返されてきたのです。
 そこで、ファッションの特徴を調べてみました。ファッションビジネスは、高い利益を生み出す贅沢産業といわれてきました。この産業は、多くの雇用を生み出しています。多額の資本を動かすビジネスともいえます。一方、最新の流行スタイルを、あっという間に陳腐なものに変えてしまう巨大な力でもあります。昨日までの価値観を、色あせた過去として蹴散らし、気持ちを一新します。幸せは、楽しさに夢中になり、そこに意味を見いだすところにあります。ファッションは儚いものですが、この楽しさと夢中の要素を備えています。儚いファッションが、その意味を失い、破棄されるまでには一定の持続性を持ちます。常に新しく生まれ変わると同時に、終わりを予感させる魅力をファッションは持っているわけです。
 大きな資本が動かしているファッションですが、いつの間にかファッションに資本が翻弄される現象を見かけることが往々にしてあります。衣服が人々の自由になった瞬間から、ファッションが社会を変革する力があると認められるようになりました。衣服のスタイルは、社会の状態を描き出す指標になっていったのです。西欧のデザイナーが、日本やアフリカの若手を育てていた時代がありました。でも、それには飽き足らず、ヒッピーの現象が出ました。日本でいうと、大学紛争が起こったり、ビートルズが来日した頃です。
 ヒッピーの服装は、モロッコやアフガニスタン、そしてインドのものが取り入れられていました。モロッコやインドの伝統的な服装を身にまとうことで、欧米とは異なる世界の扉を開こうとしたのです。ヒッピーの前衛的スタイルの前に、西洋は日本やアフリカの様式を取り入れました。それは、あくまでも西洋の様式を主にして、日本やアフリカの要素を取り入れたに過ぎませんでした。ヒッピーは、それに飽き足らず、現地主義を強調したのです。弊害も出ました。ヒッピーが取り入れた地域は、麻薬の消費地でした。彼らは、衣服を取り入れると同時に、麻薬という習慣も取り入れていったのです。
 ファッションは、社会の状態をある面で克明に描き出します。そして、常に生まれ変わり、入れ替わります。と同時に、終わりを予感させる力があります。ファッションは、軽薄です。でも、この軽薄さの中に優れた長所を持っているのです。「速さ」です。移り変わりの「速さ」と同時に、次に来るものを予見する「速さ」がファッションの底知れぬ力ともいえます。ファッションからの予見をいち早く捉えたビジネスマンが、次の勝者です。