今日は友人昼行灯と久しぶりに出かける予定にしていた。
ただ 会ってランチしておしゃべりするだけっていうのも芸がないので、ワタシは絶対に見ようと思っていた美術展に一緒に行くことを提案していたのである。
左の画が 焔 右の画が 序の舞
上村松園展 @ 国立近代美術館
ここのクイーンアリス・アクアあたりでランチしてから画をじっくり見て お茶飲んでおしゃべりして解散という心づもりであった。
そして
「上村松園展行こうよ」と誘ったら
「何それ?」と昼行灯
「ワタシの好きな日本画家 嫌なら映画でもいいよ」と言っといたら 昼行灯何かで調べたらしい。
「行く行く 面白そうだよね」との返事があった。
更に
「ワタシこの時代に生まれなくてよかった。一重の切れ長 下膨れ 色白が美人」と
「そうだね それってあーたと真逆じゃん 」と返すと
「うん 今だから美人って言えるけどね~」と相変わらず自分好きな返事が返ってきた
やれやれと思いながらも出かける準備をしていたら 彼女より電話
「局ちゃん~~ 今日やっぱりダメだ~ ワタシ仕事だったよ それも早番!」
「うっそ~ 何時からなの?」
「9時半に入店しなきゃならなかったの~~!!!」 時すでに10時半である。
「なんでよ あーた自信たっぷりに 木曜は休みだよって言ってたじゃん」
「うん それがさあ シフト表一段読み間違えてたみたい よくみたら休みは明日だった。今 スタッフ一人でてんてこまいしてるみたいなんだよ」
「んじゃ 早く行ってやりなよ それから老眼鏡かけろ!」
「わかった~ ごめんね~」
と ドタキャンをくらったワタシ。しかし朝から松園モードになっていたワタシはどうしても今日見たかったのである。
で、雨の中一人で行きましたよ。
お天気のせいか 思ったより人の少なかった美術展。 東京でこんなにゆったりした空間で好きな絵を見られるなんて やはり今日きて正解だったと思った。
それに一人で来たのも正解だった。
なんでこんなに画を見て涙があふれるんだろう?
いわゆる「美人画」 美しい人を美しい背景の中に描いてある画がこんなにも心をうつんだろう?
ワタクシ 割りにクール あるいは薄情と周りに思われる女であります。 卒業式とかその手のものでも殆ど泣かない。 世の心優しき皆様が感動して寄付する行事であるらしい OO時間TV等の感動鼓舞系番組はどっちかと言えば毛嫌いし避けて通るタイプ。よっぽどじゃないと涙を誘われぬ女だと自覚しておるわけです。
しかし なぜここで心が震えるのだ?
どうして鳥肌がたつんだ?
と うまい具合に薄暗い会場の中で頬を伝う涙をごまかしながら(だってここで泣き所って変な人じゃないですか?)何度も自分に聞いた。
それほど圧倒された画の数々であった。
女性の清らかさ 無邪気さ 粋な仇っぽさ ナルシズム 嫉妬 悲しみ 恋情 母の愛・・・
それらが彼女の筆によって昇華されて表現された世界。
↑先にあげた 焔は 六条御息所の生霊を描いたもの。美しい けど 恐ろしい。年下の源氏に対する自分の押さえ切れない想いとプライドがせめぎあって生霊となった年上の高貴な女性の姿。 能面で嫉妬を表す 泥眼のように 目の部分が金で裏から描かれているらしい。
↑これは 花がたみ 能から題材をとった作品。後に天皇になる皇子に捨てられた照日の前が悲しさのために気が狂って皇子に贈られた花かごを持って舞い踊る図 松園はこの気を病んだ人の表情を描くために精神病院に取材したそうだ。
このように古典を題材に女性の情念を描いた作品にも惹かれたが、市井の女性の生活の姿を描いた物も興味深かった。
↑ 粧 けだるいポーズであわせ鏡で自分の後ろ姿を確かめているのだろうか
ゆったりとした着付 乱れた裾 苔色の着物に合う渋い半衿の下とみやつ口からのぞく緋色の長襦袢がなまめかしく・・
この作品はまだ松園の20代のころの作と知って驚いてしまう。
そして作中の女性たちが身にまとった着物たち。
柔らかな友禅 仕立ておろしの張りのある帯 夏の着物のしゃりっとした感触 細かい絞り染めをされた長襦袢が素肌にそうすべらかなさま。 障子に切り張りするつましい生活ながら すっきりした浅葱色の無地を着こなして 着慣れた博多帯をきりっと結んでいるさま。
その一枚一枚の着物たちの表現が感触が自分が着てきた着物の感触を呼び起こす。
それが感じられたのはやはり自分に40過ぎて着物を着るっていう習慣があったため 着物が少しは身近なものであってくれたおかげである。
その他 まだまだ無教養ってことは自覚してるが 母から無理やり押し付けられる能のチケットゆえ 居眠りしながらでも鑑賞したいくつかの能。時々行く歌舞伎 着物の会や源氏サークルで学んだ着物や古典の知識。
そんな切れ切れの知識ながらもこの手の日本画を楽しめる背景になるんだな~ってつくづく思った。
印象画展もいいけど 最近日本画にひかれるのは 自分が育ってきた環境に近いところの文化的背景が馴染むからなのだろうか?
オペラより歌舞伎 シェークスピアより源氏ってことなのかしら? できれば両方欲張ってもっと知りたいことは知りたいけどね。
なんにせよ 日本人に生まれてよかった~ってつくづく思った美術展だった。
ホント これ お薦めです。この数年来の中で一番ワタシは感動した。
帰りはちょっと寄り道して 雨の表参道で 包種茶といちじくのタルトで一休み。
ドタキャンのおかげでお一人様で過ごした一日だったが今日はそれを堪能した。
ただ 会ってランチしておしゃべりするだけっていうのも芸がないので、ワタシは絶対に見ようと思っていた美術展に一緒に行くことを提案していたのである。
左の画が 焔 右の画が 序の舞
上村松園展 @ 国立近代美術館
ここのクイーンアリス・アクアあたりでランチしてから画をじっくり見て お茶飲んでおしゃべりして解散という心づもりであった。
そして
「上村松園展行こうよ」と誘ったら
「何それ?」と昼行灯
「ワタシの好きな日本画家 嫌なら映画でもいいよ」と言っといたら 昼行灯何かで調べたらしい。
「行く行く 面白そうだよね」との返事があった。
更に
「ワタシこの時代に生まれなくてよかった。一重の切れ長 下膨れ 色白が美人」と
「そうだね それってあーたと真逆じゃん 」と返すと
「うん 今だから美人って言えるけどね~」と相変わらず自分好きな返事が返ってきた
やれやれと思いながらも出かける準備をしていたら 彼女より電話
「局ちゃん~~ 今日やっぱりダメだ~ ワタシ仕事だったよ それも早番!」
「うっそ~ 何時からなの?」
「9時半に入店しなきゃならなかったの~~!!!」 時すでに10時半である。
「なんでよ あーた自信たっぷりに 木曜は休みだよって言ってたじゃん」
「うん それがさあ シフト表一段読み間違えてたみたい よくみたら休みは明日だった。今 スタッフ一人でてんてこまいしてるみたいなんだよ」
「んじゃ 早く行ってやりなよ それから老眼鏡かけろ!」
「わかった~ ごめんね~」
と ドタキャンをくらったワタシ。しかし朝から松園モードになっていたワタシはどうしても今日見たかったのである。
で、雨の中一人で行きましたよ。
お天気のせいか 思ったより人の少なかった美術展。 東京でこんなにゆったりした空間で好きな絵を見られるなんて やはり今日きて正解だったと思った。
それに一人で来たのも正解だった。
なんでこんなに画を見て涙があふれるんだろう?
いわゆる「美人画」 美しい人を美しい背景の中に描いてある画がこんなにも心をうつんだろう?
ワタクシ 割りにクール あるいは薄情と周りに思われる女であります。 卒業式とかその手のものでも殆ど泣かない。 世の心優しき皆様が感動して寄付する行事であるらしい OO時間TV等の感動鼓舞系番組はどっちかと言えば毛嫌いし避けて通るタイプ。よっぽどじゃないと涙を誘われぬ女だと自覚しておるわけです。
しかし なぜここで心が震えるのだ?
どうして鳥肌がたつんだ?
と うまい具合に薄暗い会場の中で頬を伝う涙をごまかしながら(だってここで泣き所って変な人じゃないですか?)何度も自分に聞いた。
それほど圧倒された画の数々であった。
女性の清らかさ 無邪気さ 粋な仇っぽさ ナルシズム 嫉妬 悲しみ 恋情 母の愛・・・
それらが彼女の筆によって昇華されて表現された世界。
↑先にあげた 焔は 六条御息所の生霊を描いたもの。美しい けど 恐ろしい。年下の源氏に対する自分の押さえ切れない想いとプライドがせめぎあって生霊となった年上の高貴な女性の姿。 能面で嫉妬を表す 泥眼のように 目の部分が金で裏から描かれているらしい。
↑これは 花がたみ 能から題材をとった作品。後に天皇になる皇子に捨てられた照日の前が悲しさのために気が狂って皇子に贈られた花かごを持って舞い踊る図 松園はこの気を病んだ人の表情を描くために精神病院に取材したそうだ。
このように古典を題材に女性の情念を描いた作品にも惹かれたが、市井の女性の生活の姿を描いた物も興味深かった。
↑ 粧 けだるいポーズであわせ鏡で自分の後ろ姿を確かめているのだろうか
ゆったりとした着付 乱れた裾 苔色の着物に合う渋い半衿の下とみやつ口からのぞく緋色の長襦袢がなまめかしく・・
この作品はまだ松園の20代のころの作と知って驚いてしまう。
そして作中の女性たちが身にまとった着物たち。
柔らかな友禅 仕立ておろしの張りのある帯 夏の着物のしゃりっとした感触 細かい絞り染めをされた長襦袢が素肌にそうすべらかなさま。 障子に切り張りするつましい生活ながら すっきりした浅葱色の無地を着こなして 着慣れた博多帯をきりっと結んでいるさま。
その一枚一枚の着物たちの表現が感触が自分が着てきた着物の感触を呼び起こす。
それが感じられたのはやはり自分に40過ぎて着物を着るっていう習慣があったため 着物が少しは身近なものであってくれたおかげである。
その他 まだまだ無教養ってことは自覚してるが 母から無理やり押し付けられる能のチケットゆえ 居眠りしながらでも鑑賞したいくつかの能。時々行く歌舞伎 着物の会や源氏サークルで学んだ着物や古典の知識。
そんな切れ切れの知識ながらもこの手の日本画を楽しめる背景になるんだな~ってつくづく思った。
印象画展もいいけど 最近日本画にひかれるのは 自分が育ってきた環境に近いところの文化的背景が馴染むからなのだろうか?
オペラより歌舞伎 シェークスピアより源氏ってことなのかしら? できれば両方欲張ってもっと知りたいことは知りたいけどね。
なんにせよ 日本人に生まれてよかった~ってつくづく思った美術展だった。
ホント これ お薦めです。この数年来の中で一番ワタシは感動した。
帰りはちょっと寄り道して 雨の表参道で 包種茶といちじくのタルトで一休み。
ドタキャンのおかげでお一人様で過ごした一日だったが今日はそれを堪能した。
知識がなさ過ぎて、上手く書けせん。
でも、綺麗で感動します。
焔なんか、もう、すごいですよね。
実物の絵って、
どんなにかもっと、
感動するんでしょうね。
しっかり下勉強させてもらいました。
それにしても、お陰で(?)
ゆっくり感動できたのですね。パチパチ☆
手軽ってことですね。
悪い所は 何につけても人が多すぎるってこと。
会場入るのにな1時間も待って人の頭越しに
絵画鑑賞なんてのは悲しくなります。
この日はホントに空いててよかったです。
美術館は雨の日が良いって学びました。
ぜひ行かれてください。
ただ この展示がセコイのが 焔と序の舞が一度に見られないところ。
いくつかの代表作が会期の半分ごとに入れ替えになるんですよね。
序の舞も見たいよね~
ってことで 10月になったらもう一度行くかもしれません。