包丁のトギノン ブログ

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包丁の取り扱いでしてほしくないこと1-3

2018-09-03 | 包丁について(総合)
包丁の取り扱いでしてほしくないこと1-3
食洗機等の洗浄について

今回は包丁の洗浄についてお話します。
包丁は食材を切る道具です。
使用した後は洗浄します。
この洗浄方法に落とし穴があります。

昔は包丁を使い終わったら刃先の汚れを洗い流し拭きあげて、柄は濡れフキンなどを硬く絞って拭き上げとしていました。
現代でのほとんどの方はどうでしょう?
おそらく、水やお湯、洗剤や漂白剤に漬け置き洗いされる方、食洗機に食器等と一緒に丸洗いなんて方がほとんどではないかと思います。
もし貴方の洗浄方法がそうであるならやめることをお勧めします。
以外と思われますが、なぜなら上記の方法は包丁にダメージが大きい洗浄方法なのです。



その理由として...
1.
包丁が錆びる。
全ての包丁が錆びるわけではありませんが、切れ味を良くするために炭素を多く含んだ包丁の金属は錆びやすくなる傾向があります。
ハガネの物だけでなくステンレスの物でも切れ味が良いものほどその傾向は大きくなります。
錆が出ると衛生的にも切れ味にも良くありません。
また、例え見た目に大丈夫そうでも柄の内部の茎子(なかご)と呼ばれる部分が乾燥が上手くいかず錆びやすくなりますので注意が必要です。
木製の柄だけでなく一体成型のプラスチック樹脂製の物でもアウトです。
水気が入り込めない隙間がほぼありません。徐々に茎子まで水気が到達し錆を誘発してしまいます。

2.
柄の耐久性が落ちる。
木製の柄は水分を含んで乾燥を繰り返すと天然材の関係から収縮や膨張を繰り返すこととなります。
すると木製の柄はふやけ・乾燥の繰り返しでボロボロ劣化してゆきます。
また洗剤、漂白剤など薬品に晒されるとなると内部に入りこんだ薬品成分が洗浄しきれず濃縮されてゆき木材の劣化はもとより茎子も錆を併発しやすくなって破損の危険性が高まってしまいます。
食洗機は基本、洗剤と水圧で汚れを落とします。ゴシゴシこすりません。それだけに以下に強力な洗剤を使用しているかわかるかと思います。
強力な洗剤は酸化を促進させます。
木製の柄ほどではありませんが、プラスチック樹脂でも回数を繰り返すと内部の油脂が流れ出て加水分解など劣化の原因となりますので注意が必要です。
白っぱくなったり、粉がふく、欠けやすくなる、変形など何らかの変化があった場合は劣化しています。

3.
乾燥
温風やお湯などある程度は温度などに耐えれるように包丁は作られていますが、何回でもOKではありません。
例えば耐熱温度110℃と記載されてる物でも洗剤や漂白剤などの薬品が付着したまま熱がかかると酸化の度合いが加速度的に促進されます。
それゆえ110℃の物を100℃で乾燥洗浄しているから何度でもOKというわけではないことを注意する必要があります。
また、時間も考慮する必要があります。
例えば40℃のお風呂に人は10分入ることはできるが、1時間とか入り続けられますか?
結構、厳しいかと思います。それと同じことが包丁におきるとお考えください。
素材の耐熱温度等は回数を重ねるたびに劣化してゆくものです。
また、紫外線などの滅菌装置も酸化を促進させる「日焼け現象」などによって耐久性の劣化が進みます。

4.
刃先の管理
桶に漬け置き洗いや食洗機は包丁単体だけで洗うことはないかと思われます。
食器などと一緒に洗うと思われますし、桶や食洗機の桟など異物に刃先がぶつかることが想定されます。
包丁の刃先は非常にデリケートなものです。
何か硬いものに当たったり衝撃が瞬間的に加わったりすると刃先が欠けたり潰れたりします。
切れ味を永持ちさせたければ、避けた方が良いです。

ざっとお思い浮かぶだけで上記に述べたことが包丁にとってストレスとなっています。

推奨するお手入れは以前もお伝えしましたが、
1.
濡れ手で包丁の柄を握らない。(汚れ防止のため手を拭いてから包丁を使用する)
使用後は濡れフキン等を硬く絞って柄を拭く。

2.
刃先についた汚れはさっと洗い流してフキン等で拭く。

です。
たったこの2点です。
お寿司屋さんやお肉屋さんで頻繁に手を拭いたり刃先を拭き上げている姿を目にすることがあるかと思います。
プロの料理人は包丁の扱いを良く知っています。
参考にすべき姿・方法がそこにあります。

大変便利な食洗機や乾燥機ですが、包丁を投入するのは作り手としてはお勧めできません。

それでは、また。