包丁のトギノン ブログ

トギノン販売有限会社 包丁の製造販売店のブログです

中華包丁について3

2016-01-20 | 道具のありかた
中華包丁について3

あけましておめでとうございます。
本年もよろしくお願い申し上げます!

さて、前回の続きです。
刃の造りについての続きを記したいと思います。

刃先の造りにはもうひとつ重要な要素があります。
それは研削というか刃肉取りというか研磨方法の違いです。
様々な方法がありますが、幾つかの例を挙げてお伝えしたいと思います。

中華包丁について1にてお伝えしましたが、一般的な中華包丁はこれ1丁でほとんどの作業をこなします。
(例外的に薄切やブツ切りに特化したプロ用のものもありますが...)
そのため、小回りの効く形状というか、例えは、硬いものを切る時、細工や薄切をするなどの特性が求められます。
よって、本当にオールマイティー的なものは以下のような研磨方法等が取られています。
この加工方法が取られている中華包丁の一例としてあげますが、弊社の製品で
「極 黒合板貫通 中華包丁 950」
があります。

①柄の部分から剣先に向かってテーパー形状

②ミネから刃先へ向かってテーパー形状

など。

①の理由は
中華包丁は重い包丁の部類に入ります。
そのため、柄部から剣先に向かって等圧みの刀身では先重り感が強くなります。
つまり、バランス的に先が重い。
それらを解消し小回りの効くバランスに仕上げるために①の加工をします。
またこの加工はもう一つの利点を生みます。
当然、アゴ部の方が剣先より分厚い。
硬いものを切っても丈夫で刃欠けのしにくい構造となります。
たいして、剣先は薄いので細かな切り込みや隠し包丁、引き切り薄切りなどに適した形状となります。

②の理由は
①で特化した部位の特性をさらに高める効果があり、なおかつ切れ味がさらに高まります。

①の加工だけの中華包丁もあるし、②の加工だけの中華包丁もあります。
ここではあえて、どれが偉い・優れているとかはのべませんが、この様に技術や手間のかかっている中華包丁もあるということです。
しかし、この包丁はこの造りや使い易さが認められ多くの中華料理の先生方にもお使いいただいております。

対して以下のような上記と比べ簡易な製造方法の包丁もあります。

Aは刃先数センチのみ研磨されているもの。
Bは片面だけ研磨されているもの。

簡易だから言ってこの加工方法が手間が少ないからといって悪いというわけではありません。
この加工方法で、作り手や使用者の狙った性能が発揮できればよいことなのです。

しかし、この方法は一般的にはさほど加工手順や技術が高くない方なので安価なものに多い。
また、意外なことに非常に高価な包丁のなかにもこの程度の加工しかしていないものが市場には出回っています。
上記で述べた「作り手や使用者の狙った性能が発揮される」のであれば良いのですが...。
良くわからずにとりあえず形だけ、過度なコスト調整をしている製造業者もいくつか見受けますけど。

まあ、私が伝えたかった事は、
ご使用になるお客様がこれらの情報等を把握していれば、より豊かな包丁選びに役立つのではないか?
いや、むしろ知らなくとも良い。ご近所の刃物屋さんでよいから専門知識のある方にご相談すればいい。
知識ある、お客様思いの刃物屋さんなら、きっと貴方にあう(性能・コストなど)ものをオススメしてくれるのではないでしょうか。
昔はそういうカタチが自然とどこにでもありました...ね。

それでは、また。