轟クルマ文化研究所

日本のどこかの片田舎、今日も所長の声が響いています。
「馬鹿モン!あれほど雑誌を鵜呑みにするなと言うとるじゃろ!」

トヨタ・ヴェルファイア

2008-05-30 17:28:15 | TOYOTA
助手 「ところで今度のアルファードって、兄弟車が生まれましたね。」

所長 「ネッツ店向けのヴェルファイアじゃろ。」

助手 「どうなんでしょうね。」

所長 「何がじゃ。」

助手 「アルファードでさえ、たいがい厳つい顔をしてるって言うのに、さらにワル顔のヴェルファイアでしょ。」

所長 「ま、節操がないと言えば、ないのぉ。じゃがこういうクルマを望んどる客がおるのも事実じゃろ。それも半端な数じゃないしの。」

助手 「でもトヨタってGMを抜いて世界一の自動車メーカーじゃないですか、そこまでして台数を稼がなくてもいいような気がするんですけどね。」

所長 「そんなに甘くはないんじゃ。ここんとこのアメリカの不景気のせいで、向こうの消費は最悪じゃし、円高ドル安が進んどるじゃろ。原材料の高騰は相変わらずじゃし、今期のトヨタの業績予想は29.5%減じゃそうじゃしの。」

助手 「そう言えば各社軒並み二桁減少の予測みたいですね。」

所長 「グローバル化と言えば聞こえはいいが、要は輸出それも北米向けのクルマで儲けとったんじゃからしょうがないじゃろ。じゃから為替変動に左右されん国内市場にチカラを入れるのは当然じゃろ。」

助手 「でも最近発売されるクルマって海外向けのを化粧直ししたクルマばっかりじゃないですか。とても国内市場にチカラを入れてるとは思えませんけど。」

所長 「それは金を掛けても売れん車種じゃからじゃろ。国内も消費が落ち込んどるからのぉ。で、売れるとこにはどんどんつぎ込むと言うわけじゃ。それがミニバンだったり、アルファードになるんじゃろ。」

助手 「で、兄弟車のヴェルファイアが誕生したというわけですか。」

所長 「300万を超える高価なミニバンが月に6,000台も売れるんじゃから、チカラを入れたくなるのもわかるじゃろ。」

助手 「確かによく売れてますよね。」

所長 「正直トヨタも予想外の大ヒットだったんじゃないか。発売したときの目標台数は月4,000台じゃったんじゃが、1年目の平均台数で7,000台を超えとったしの。」

助手 「そんなに売れたんですか。」

所長 「それよりもっと凄いのが2年目、3年目、4年目とほとんど台数を落としとらんかったことじゃ。さすがに5年目から落ちてきたんじゃが、それでも最後の6年目の平均台数で4,000台近い台数を売っとったんじゃ。こんな売れ方をするクルマって最近ではカローラにフィット、ワゴンRぐらいしかないんじゃないか。クラウンでも最近はこうはいかんじゃろ。」

助手 「そうなんですか。まるで国民車ですね。」

所長 「それだけ支持されとるということじゃ。」

助手 「でもどこがそんなにいいんですかね。」

所長 「うーん、売れとる原因としては、今のスペース重視の風潮と、その中で一番高そうなところなんじゃろうな。」

助手 「いや、それはわかりますけど、不況でクルマの買い替えもままならないときに、こんな高いクルマが売れるのが不思議なんですよ。」

所長 「そりゃ、二極化とか言われとるように金を持っとるモンも大勢おるんじゃ。もちろんないモンの方が圧倒的に多いんじゃけどな。」

助手 「もしボクが金持ちになってもこんなクルマは絶対買いませんけどね。」

所長 「金持ちがみんなこういうクルマを買うってこともないじゃろ。クルマ好きとかブランド好きなモンは輸入車にいくじゃろうし、速いクルマが欲しいモンもおるじゃろ。じゃが特にこだわりのないモンが、今の流行りでミニバンを買ってもおかしくないじゃろ。」

助手 「でもミニバンってどっちかと言うと実用然としてて、高級感とは程遠いような気がするんですけどね。」

所長 「ま、そうじゃろうな。世界を見渡してもこれだけ多種多様なミニバンが揃っとる市場は日本以外にないじゃろ、それだけ需要があるということじゃ。種類が増えるということはそれぞれに個性が必要になってくるじゃろ。それがデカかったり、ちっこかったり、安かったり、豪華じゃったリするんじゃ。」

助手 「いつまで続くんですかね。」

所長 「どうなんじゃろうな。現行のオデッセイで翳りが見えたような気がしたし、エスティマも三代目になって勢いがなくなったじゃろ。じゃがヴォクシーやアルファードを見てるとやり方次第でまだまだ売れそうな気もするしの。」

助手 「確かに売れ筋は少しずつ変わってきてるような気がしますね。ヴォクシーにしても先代の途中からノアよりも売れ出しましたしね。と言うことはヴェルファイアもそれを見越しての設定なのかもしれませんね。」

所長 「うーん、アルファードってビスタ店からの流れでネッツ店で売るようになったんじゃが、正直他のラインナップと比べて異質な存在じゃったじゃろ。」

助手 「言われてみればそうかもしれませんね。他はもっとカジュアルなのとかですし。」

所長 「トヨタの販売系列の中でもネッツ店は従来のトヨタ色とは違った特色を出そうとしとるんじゃ。そこにアルファードではトヨタ色が強すぎてダメなんじゃろ。で、ヴォクシーとおんなじ手法をとったんじゃろ。」

助手 「でもより品がなくなったぐらいで、あんまり効果があるとは思えませんけどね。」

所長 「ワシもいいとは思わんが、ヴォクシーで実績があるから否定も出来んのじゃろうな。」

助手 「と言うことは徐々にヴェルファイアの台数が増加してアルファードにとって代わるかもしれないということですか。」

所長 「どうじゃろうな。ノア・ヴォクシーと違って見栄が張れることが重要じゃから、名前の通ったアルファードの方が売れるんじゃないか。」

助手 「ま、どっちもどっちの顔つきですし、どっちが売れてもたいして変わりませんけどね。」

所長 「まぁ、こういうクルマが支持されとるんじゃからしょうがないじゃろ。」

助手 「でも売れてるのがいいクルマっていうわけでもないでしょうに。」

所長 「じゃあどんなクルマがいいクルマなんじゃ。評論家やマニアが絶賛してても実売が伴わんクルマがいいクルマなのか。」

助手 「そ、それは。」

所長 「出たクルマをあーだ、こーだ批判するのは簡単なんじゃ、何のリスクもないんじゃからな。じゃが購入するお客は何百万円もの大金を注ぎ込んどるんじゃぞ。それが何よりの評価なんじゃないのか。」

助手 「・・・・。」


参考資料
トヨタ・ヴェルファイア(トヨタ自動車株式会社)
トヨタ・アルファード(轟クルマ文化研究所)

コメント (2)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« トヨタ・アルファード | トップ | プジョー 308 »
最新の画像もっと見る

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
豪華ミニバンの売れる訳 (たー)
2008-05-30 19:18:09
いつも楽しく拝見しています。
さて、豪華ミニバンの売れる訳ですが、
狭い日本で、家が買えない代わりに豪華なミニバンに夢を託している人もいるんじゃないかと思いました。
返信する
Re:豪華ミニバンの売れる訳 (宇垂)
2008-05-31 17:58:23
たーさん

いつも見ていただいているんですか、有難うございます。

家が買えないから豪華ミニバン、ありそうですね。
そう考えると安い買い物かもしれませんね。

狭い家で自分の部屋のないお父さんの唯一のくつろげる場所なのかもしれませんね。
返信する

コメントを投稿

TOYOTA」カテゴリの最新記事