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TOBA2人のイラストと物語な毎日
現在は「続・夢幻章伝」掲載中。

「夢幻章伝」70

2015年10月20日 | 物語「夢幻章伝」

「さて、祭りも終わったことだし」

モモヤは荷物をまとめる。

祭りの翌日、燃え尽きた感がある実行委員会によって
ステージは片付けられているが
清々しい天候の元
北一族の村は何も無かったかのようにいつも通りだ。

「……俺は、南一族の村に帰るけど」

南一族名産の豆も程よい売れ行きで
なんだかんだあったけど
祭りも満喫、北一族の村に一泊して馬車で帰路につく。

「けど!!!」

「あ、俺達もう少しここにいるから」
「アヅチのお兄さん、また今度」

ホテルの一室でぐーたら、ゴロゴロ。
遅めの朝食を部屋でとりつつ。

「なんだかんだで
 北一族の料理って豊富だよな」
「多村籍料理が食べられるし、満足」
(多国籍的なノリで)
「市場のある村は違うよな」

ソファにもたれかかりながら
観光パンフレットを広げる二人。

「どこ回ろうかしら?
 これは『まめぴよ牧場1日体験コース』」
「それ鳥が居るだろ、嫌みかお前!!
 俺はこっちの『山羊に乗って北一族の史跡巡りコース』が」
「でも市場で買い物もしたいのよね。
 昨日はあんまり見れなかったし」

「お前ら、どれだけ滞在する気だ!!!!」

へび呼ロイド達の
同僚を救う旅はどうした??

「アヅチのお兄さんナイス!!」

もうつっこむ気力もなかったへび呼ロイドが
感動の涙を流す。

「だって兄貴!!」

アヅチは反論に出る。

「そもそも、最初にこの旅一週間で
 終わるかどうか、と言われていたんだぜ!!」

そうよ、とマツバはカレンダーを指さす!!

「まだ、旅は4日目なのよ。
 途中のお宿でのんびりできたのって東ぐらいだし
 私たち少しはゆっくり旅を満喫したいわ!!」

「そんな事言ったってお前ら」

もうへび呼ロイド
モモヤと旅に出た方が良いんじゃないかな。

と、その時。

「マツバー!!」
「アヅチさぁああん!!」

どーん、どんどん、と
勢いよく部屋のドアをノックする音。

「おはようございますぅ♪」
「良い天気だぞ★」

「げっ!!この声は」
「タクトとクリミア!!」

他の一族は祭りを終え
朝から各地元に帰っていったが
この二人は北一族なのだった。

「そう言えば
 お前らあの二人とはどうなったんだ?」

「どうもなにも」

ふふふ、ははは、と
周りに花が飛び交うような会話が
ドアの向こうから聞こえてくる。

「俺達気づかなかったんだ
 今までの恋はいっときの気の迷いだって」
「それは
 ちょっと~振り向いて~みただけの~♪」
「他の~村の人~♪」
「本当に大事な人はすぐそばの
 同じ村に居たんだなって、きゃっ!!」
「クリミア、呼んでくれよ、
 その人の名を」
「言わずとも分かっているでしょう、タ・ク・ト」

…………。
…………。

「兄貴、つまりそういう事だ」
「ほ、ほう」

ええっと、本人達がそれで良いなら。

「私たちを出会わせてくれた二人には
 ぜひともお礼をしたくて」
「村を救ってくれたってのもあるし」

え?お礼?
ドアに聞き耳を立てるアヅチとマツバだったが


「どうぞ、お昼にお呼ばれして下さい。
 私の手料理を振る舞いますよ♪」


クリミアの甘いささやきに
二人はすぐさま立ち上がる。

「今すぐ」(小声)
「荷作りを」(小声)
「一刻も早く」(小声)
「脱出を!!」(小声)

どんどんどん、と
ドアのノックは止まらない。

「おかしいな?寝ているのかな?」
「タクト、もしかして中で倒れてるんじゃ。
 早く合い鍵を!!」
「そうだな、フロントから借りてこよう」

バタバタと2人の足音が
ドアの前から離れる。

「今だ、へび呼ロイド、
 さっさと行くぞ」
「ええええ?」
「見つかったら面倒なのよ!!
 精算は前払いで済んでるわよね」
「そそそそうだけど」
「じゃあな、兄貴」
「さようならアヅチのお兄さん」

うおおおおお、と
駆けていく2人(と1匹?)。

「お、おう
 気をつけて、な」

1人残されるモモヤ。
いや、別にいいんだけど。

「若さゆえ、か」

びくーーんっ!!!???

ふふふ、と
現れるヘイマスター。居たのか。
そう言えば海一族と南一族行きの馬車は同じだった。

「旅が終われば
 二人で居る理由が無くなってしまう。
 今を終わらせるのが名残惜しいのかもしれないな」

大人の意見。

はわわわわ、と
モモヤがときめく。

「何それラブじゃん、ステキじゃん」

どうした、モモヤ。
疲れているのか?


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