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現在は「続・夢幻章伝」掲載中。

「夢幻章伝」84

2015年12月08日 | 物語「夢幻章伝」


「あああ、
 アヅチのお姉さんだってぇえええ」

思わずへび呼ロイドが叫び
と、同時に
マツバがアヅチの方を振り返る。

「    」

完全に固まっているアヅチ。

「……っ!!」

再びアヅチの姉に向き直るマツバ。

「まっちゃん、お帰り~」

やほー、と
マツバに駆け寄るアヅチ姉。
眼や髪の色、顔立ちはアヅチに似ている。
というかアヅチが似ている。



「この度は、アヅチ君とご一緒に
 旅をした次第ですが」
「あはは、まっちゃんったら
 どうしたのかしこまっちゃって」

もう、やだな~、と
笑うアヅチ姉。

「えええ?
 そんな、怖い人じゃ、ない?」

二人とも大げさすぎだよ~、と
胸をなで下ろす
へび呼ロイド。

しかし、アヅチどころか
マツバまで妙に緊張して
敬語になっている異変にへび呼ロイドは気づかない。

「お忙しい時に
 アヅチ君を連れまわして」

まぁ、と
驚くアヅチ姉。

「むしろ、うちのアヅチが
 まっちゃんを連れまわしちゃて
 ごめんね~」

と、そこで一度言葉を止める
アヅチ姉。

「っていうか、
 おかしいよね。
 本当に謝らなきゃいけないの誰だっけ?」

あ、やばい、と
最初に気付いたのは
兄弟であるモモヤ。

「アヅチ、土下座!!!」

はっ、と
その言葉に弾かれるように
地に伏せるアヅチ。

「このたびは!!!」


 間


「あ、あれ、俺、一体!!」

アヅチは、見慣れた
だけど数日ぶりの自分のベッド飛び起きる。

「アヅチ、目が覚めた?」
「凄く綺麗な弧を描きながら吹っ飛んでいたよな」

わっはっは、と
笑うモモヤと
怯えるへび呼ロイド。

「あああ、あれが、
 アヅチのお姉さんの真剣打!!」

つ、強い。
まるで漫画の様に左頬が晴れているアヅチが
ぼそり、と言う。

「……うちの姉は
 次期村長候補だからな」

南一族の村長選抜条件とは一体。

「いつもに比べたら
 軽いパンチだったぞ。
 事前にフォローしておいた俺に感謝しろよ」

ぐっと親指を立てるモモヤ。

「ああああ、あれでぇええ??」

「目が覚めた様ね!!」

と、そこに現れるアヅチ姉とマツバ。
マツバは一応の帰宅報告を
家族に済ませてきた所でした。

みんな、なぜ俺の部屋に集う
と、アヅチは思わない事も無かった。

「そもそも、
 遅くなるなら遅くなるで
 あらかじめ連絡を入れて入れば
 こっちだって文句は言わないわよ」

その分は別に働いて貰うから、と
無言のプレッシャーを感じさせつつも
アヅチ姉は皆にお茶を出す。

南一族名物の
餅米をあんこで包んだお茶菓子付き。

アヅチの狭い部屋に
なぜか皆がぎゅうぎゅう状態で
午後?のコーヒーブレイク(でも緑茶)。

ふ、と
お茶の香りを楽しみながら
アヅチ姉が宣言する。

「まずはお茶でもして、
 それから早速豆の収穫よ。
 まだまだ豆はあるんだからね」

「あ」
「あ」
「う」

思わず顔を見合わせる
アヅチ、マツバ、へび呼ロイド。

だって、まだ
同僚達を探す旅が。

「あああ、アヅチ
 おいら達の事は気にしないでいいから」(小声)
「だけどさ」(小声)
「そうよ、とりあえず私が行っておくわ。
 案外すぐ終わるかもしれないし」(小声)
「そうそう、
 お土産沢山買ってくるから」(小声)
「旅行か!!!」(小声)

いや、と
アヅチは姉の方に振り返る。

「姉貴、……俺」

「なに?」

アヅチ、姉に立ち向かうというのか。

「俺、俺っ!!!」

が、頑張れ、アヅチ。

「俺はーーーーー!!!」


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