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TOBA2人のイラストと物語な毎日
現在は「続・夢幻章伝」掲載中。

「夢幻章伝」29

2015年04月17日 | 物語「夢幻章伝」

豪華な食事に
大浴場の温泉。
アロママッサージと
ゆったり、睡眠

両手にはおみやげを抱え、
マツバはほくほくで、東一族の旅行を終える。

「温泉旅行じゃないんだけどね!!」

「あんた、地の文にツッコむのやめなさいよ」

へび呼ロイドを一括し、マツバは、くるりと向きを変える。

「これ、南一族まで送っておいて!」
「わかりました!」

タツキは、マツバ(とアヅチ)のおみやげを受け取る。

「姉さん、ずいぶん買ったねえ」
「当たり前よ!」
マツバが云う。
「旅先で後悔したくないから!」
タツキは、うんうんと頷く。
「俺らとしても、ありがたいよ」
マツバは、東一族の刺繍入り織物を指さす。
(注:タツキが持たされています)
「これなんか、買わなきゃ、きっと後悔するわ!」
「この刺繍は、うちの中でも、上物だよ」
タツキは、親指をくっと立てる。
「そうでしょう。いい仕事してるわ!」
「ありがとう、姉さん」
アマキも、うんうんと頷く。

「じゃあ、俺。姉さんの荷物送る手配してくるよ」

タツキは、手を上げる。

「姉さん、へびさん。このまま砂に行くんだっけ?」
「そうよ」
「アヅチを迎えにね!」
へび呼ロイドは、きこきこと、動く。

「俺は、一緒に行けなくて、悪い」
タツキが云う。
「ここで、見送りするよ、姉さん」

「いいのよ」

マツバは、どーん、と、東一族公衆浴場の年間無料チケットを取り出す。

「また、来るから!」

タツキは、手を振る。

「じゃあ、あまちゃん、よろしくぅう」

へび呼ロイドは、もっかい、きこきこする。
アマキは、へび呼ロイドを見る。

「砂の近くまで送るよ」
「頼むわ」

マツバとへび呼ロイド、それからアマキは、東一族の村を後にする。

しばらく歩いて、

「うち(東)は、緑(と動物)が豊かでしたが」

アマキは、手を広げる。

「ここからは、砂漠です!!」

「おお!」
「へえ」

どーーん!

そこには、まごうとなき砂漠が広がる!!

「このあたりの砂漠は共通地区でして、東には属しません」
アマキは、観光らしく説明をはじめる。
「つまり、誰でも好き勝手歩いても平気だけど」

アマキは、持って来た弓を構える。

「ちょっとしたトラップがあるよ」

アマキは少し離れたところをめがけて、矢を放つ。



どどーーん

矢が飛んで来るや否や、ものすごい音を立てて砂が舞い上がり、爆風が起きる。

「おぉおおおおおおおお!!?」

風を仰ぐように、へび呼ロイドは、高速キコキコする。
すごい砂ぼこり。
目が痛い!!

「これって、ちょっとしたトラップ!!?」

「魔法地雷のようなもので、」
「踏むとあの世行きってわけね!!」

アマキの言葉を、マツバが継ぐ。

「うろうろしちゃだめだよ。俺に着いてきて」
「わかったわ!」
「わかったよ!」
「あんた(へび呼ロイド)は、浮いてるから反応しないわよ!」
「そんなことないよぉ!」
「試したらいいじゃない」
「!!?」
「南の兄さん、トラップの上に落ちてなきゃいいけど・・・」
「えっ、あまちゃん、今なんて!!?」

ぽつりと呟くアマキの言葉を、へび呼ロイドは聞き逃さない。

「つまり、アヅチが上半身と下半、」
「マツバぁっ!!」

へび呼ロイド、カッ!!

「それにしても、いったい誰がこんなことを」

「へびさん、このトラップはね、」
「あたしたちだよ」

砂が高く舞い上がって、一瞬視界が悪くなる。



3人の目の前に、誰かが立っている。

「どう? あたしたち砂一族の素晴らしい魔法♪」

にこにこ。
云いながら、3人に近付く。

「あら、アマキ。ついに彼女が出来たの?」
「違うし」

アマキは、マツバを見る。

「この子に着いて行って。砂一族の村に入れるよ」
アマキが云う。
「フワ。こちらは南一族の方」
「南一族?」
砂一族のフワ、は、少し考える。
「あー。昨日、うちに運ばれて来た南一族の連れ?」
「そう」
「へえ」
フワは、じろじろと、マツバとへび呼ロイドを見る。
「いいよ。大歓迎♪」
にこにこしながら、フワは、アマキを見る。
「アマキも、遊びに来てよ」
「行かないから」

アマキは、手を上げる。

「じゃあ。姉さん、へびさん」
「世話になったわね」
「あまちゃん! 淋しいっ!」
「じゃあ、おふたり様、こちらー!」

フワは、マツバとへび呼ロイドの向きをくるりと変える。

「淋しくなんかないわよ」
フワが云う。
「アマキとはね、よく遊んでるの。砂にいたっていつでも会えるわ♪」

にこにこと、フワが云う。

「それより、名まえ教えなさいよ」

「はいっ!」

へび呼ロイドは、なぜか、緊張している。
「おぉおオイラは、へび呼ロイドぉ!!」
「うんうん」
「こっちはマツバで、連れはアヅチぃ!!」
「あんたね・・・」
マツバは、冷たい目でヘび呼ロイドを見る。

・・・個人情報だだ漏れのまま、なうろーでぃんぐ。



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