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現在は「続・夢幻章伝」掲載中。

「夢幻章伝」30

2015年05月12日 | 物語「夢幻章伝」

「さぁ、いらっしゃいませ
 ここが砂一族の村よ」

フワが軽快な足取りで村の入り口に走り寄り
いらっしゃいませなポーズを取る。



「へとへとだよ~」
「何だか凄く歩かされた気分。
 それこそGW中、ずっと!!!」
「GWって何なのマツバ」
「GWはGWよ!!企画だったのよ!!」

メタ発言は置いといて、
マツバとへび呼ロイドはヘトヘトだ。
どうやらかなり歩かせられたらしい。

「ごめんね2人とも」

まったく謝罪の意が感じられ無い程
明るい声でフワが言う。

「砂一族の村の位置は
 他の一族には極力隠しているの。
 だから、ココに歩いてくるまで
 とっても遠回りをしてきました♪」

「はああああ!!!」
「えぇえ、酷いよ~」
「だから謝ったじゃない」

マツバはイライラしているが
フワはまったく気にしていない様子だ。

「くっ、アヅチのやつ
 面倒かけて」

イライラの方向はアヅチに向かった。
このままでは再開の瞬間に
アヅチに八つ当たりが行ってしまう。

「それで、アヅチは何処にいるのかな」
「あぁ、昨日運ばれてきた
 南一族の人ね」

こっちよ、と
案内するフワの後ろをついて歩く。

「南一族の人って私初めてなの。
 一族が違えば色々違って面白いわよね」

フワは楽しそうだ。

「ふうん、そんな物かしら?」
「だって、みんな
 そのふわふわした生き物連れているじゃない」

ちらり、と横目でへび呼ロイドを見る。

「ああ、これはちょっとした
 旅のお財布&マスコットキャラクターよ!!」
「マツバ、最初がお財布ってどういう事かな。
 もうちょっと、色々包み込んで
 ―――みんな、ってどういう事」
「だって、昨日の南一族の人も
 ふわふわした生き物つれていたもの」

「「???」」

さぁ、どうぞ、と
フワは行き着いた先の建物のドアを開ける。

「アヅチぃいいいい」
「お前ら!!」

どーん、と飛びついてきたへび呼ロイドを
アヅチはバレーのアタックよろしくはじき飛ばす。

「ちょっ、アヅチ酷いぃいい」
「今のは切れのあるAクイックだったわよ」

「お前ら、よくのこのこと顔を出せた物だな。
 なにがすぐ迎えに来るだ。
 日付かわってるぞ、俺は、俺は……―――

「なによ、早速回想シーンなの」
「マツバはそうやって
 すぐつっこまない」


「うわぁあああああああ」

なんと、転送された先は砂漠、の
―――上空。

「あいつらくっそおおおお」

アヅチ急降下。
このままじゃ、地面直撃。
魔法を使うにも早口呪文でも間に合わない。

最終奥義を使うしか、と
思ったその時。

ふわっ、と
優しくアヅチは包まれる。

「え?何でだ。
 ………お前達」

アヅチは、なんと、一緒に転送された
へび呼ロイドの同僚達―――分子ズに
助けられたのだ。

彼らはアヅチが落下する予定だった地点から少し離れた所に
静かに着地する。

「………まさか」

アヅチは武器である針の一つをそこに投げる。

どどーん!!

爆風が起き、夜の砂漠に砂埃が舞う。

「マジか!!!」

しばらくアヅチはそこに待機する。
迎えが来ると言っていたし、
先程の爆発音で場所もある程度分かっているだろう。

が、

2時間後。

「……夜の砂漠は冷え込むな」

お迎え来ない。
(砂漠担当の東一族リクが、ちんたらしていたからです)
ぴぎゃぴぎゃ!!
分子達がふわっとアヅチを取り囲む。

「お前達、俺を助けてくれるのか!!」



 ―――って訳でなぁ!!」

アヅチの周りに分子達が現れる。

「なんか、懐かれたぜ!!」

「ええええー、同僚達ぃいい」
「使い魔みたいで、良いじゃない」

「ねぇ、ねぇ、盛り上がっているところ悪いけれど」

いつの間にかフワは扉の外にいる。
扉についたのぞき窓から中を覗いている。

「私たち砂一族は、名前の通り
 こんな砂漠に住んでいるの」

「え?うん?」

「だから、お水ってとても大事なんだけど
 先日そのお水が大量に減ってしまって困っているのよ」

「うん、うん、それは一大事」

「で、調査の結果、
 謎の生き物が大量にやってきた事が原因というのが
 分かったのよ」

にこにこ、と、フワは笑顔のままだ。

「そのふわふわした生き物の事よ」

「え?」
「あ!!」
「つまり」

ガシャン、と外から扉の鍵がかけられる。

「容疑者つかまえた~♪」



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