昭和のマロ

昭和に生きた世代の経験談、最近の世相への感想などを綴る。

エッセイ(284)先輩の息子さんの涙

2016-06-23 05:29:49 | エッセイ
 昨日、禅林寺で行われた先輩Nさんの告別式に参列した。
 
 Nさんとは、三鷹三田会麻雀分科会での15年に亘るお付き合いだった。
 毎月1回行われる麻雀会に参加した後、帰路が同じことからバスでご一緒させていただいた。
「いやあ、いつも近所の神社で必勝祈願をして参戦するんだけどね・・・」
 彼はにこやかな笑顔で大会を振り返るのだった。
 
 ちょうど1年前、彼の息子さんからメールをいただいた。
「Nの息子で・・・と申します。父がいつもお世話になっております。このたび父に代わり、メールをさせて頂きました。父ですが、ここしばらく体調を崩しておりまして、三鷹三田会麻雀大会を3か月ほどお休みをさせて頂ければと思います。宜しくお願い致します」
 ボクは息子さんに返信した。
「ご連絡ありがとうございます。お父上は優しい方ですから特に女性に人気がおありです。麻雀会の度にNさんは来月は参加されるんですか?と聞かれます。お会いできる日を楽しみにしています。無理をなさらないよう、よろしくお伝えください」
 そして、今回、息子さんから訃報を受け取った。
「先日はメールのお返事賜り、誠にありがとうございました。その後の父ですが、リハビリにも精を出し、退院に向けて頑張っておりましたが、大澤様並びに三鷹三田会の皆さまには、父が生前たいへんお世話になりまして誠にありがとうございました・・・」

 ということで、三鷹三田会麻雀会幹事長としてご葬儀に参列してまいりました。
 葬儀は、かの太宰治や森鴎外が祀られている禅林寺の斎場で神式で行われました。
 
 (この写真はイメージであって実物ではありません。念のため)
「畏れ多くも、畏くも・・・」荘重な神主の祝詞から式は始まった。
 拝礼は<玉串奉奠>という方式で行われる。
 
 最後にNさんのお顔を拝した。
 色とりどりの花で囲まれたお顔からはその心を読み取るすべもなかった。

 最後に息子さんが挨拶に立たれた。
「Nの長男の・・・です」
 こう切り出したとたんに彼の目から涙が溢れた。
「今日は泣かないと決意したのですが・・・。しばらくご容赦ください・・・」
 しかし、気丈にも姿勢を立て直し、故人が白血病、心臓病、ぼうこうがんなどの病にいかに立ち向かったかを話されました。「一度は医師も驚くほどの気迫を感じました。奇跡の復活の再来かとも言われました・・・」
 そういえば、Nさんは4年ほど前に一度半年ほど闘病された後復活されていたのだ。
「その反面、心優しい人でした・・・」
 喪主である奥さまは涙を流すことなく、むしろ息子さんを頼もし気に見上げていたが、孫娘さんだろうか、Nさんの娘さんに抱き着いて泣きじゃくっている姿が印象的だった。
 Nさんはさぞ優しいおじいさんだったんだろうなと、胸が熱くなった。

 すばらしき息子さん、お孫さんの涙に見守られたNさん、安らかに神の国へ身まからんことを・・。
  
 
 
      



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