日ごろ乱暴者でご隠居も手を焼いている熊さんが議論を吹っかけてきた。
「中国で日本の大使が乗っている車が追い回されて国旗を奪われたってじゃないですか! 日本であんなことやったらどうなるんですか」
「まあまあ、そういきり立ってないで落ち着きなさい」
「冗談じゃねえよ。韓国では日本が戦争に敗けてしゅんとしているどさくさに紛れて海上に勝手な境界線を引き、不法占拠した竹島に大統領がこれみよがしに上陸したり、うちらの天子様に失礼なこと言ったり、首相の親書を突き返して来たり、やられっぱなしじゃないですか」
「まったく、とんでもないことをしてくれたもんだよな。だけど野田さんも国際司法裁判所に提訴して、国際正義に訴えるって言ってるし・・・」
「国際正義? そんなものあるんですかい? ロシアだって韓国だって実効支配したもん勝ちだって、うちらの島を不法占拠してまかり通ってるじゃないですか」
「たしかにそれが現実だわな・・・」
どうも平和主義者のご隠居の旗色が悪い。
「尖閣だってそうだよ、今は日本が実効支配しているけど中国は今のところは目をつぶるけど、もともとは自分のものだから、そのうちなんて思っているんだよ」
「まったく、今や日本は四面楚歌ならぬ、三面楚歌だな・・・」
「ロシアは一寸たりとも日本に北方領土を渡さない、韓国に至ってははそのうち、対馬もなんて言ってるらしいし、中国だって沖縄にも色気があるみたいじゃん。このままずるずるで日本はいいのかい! 打つ手はないのかい!」
熊さんはますます居丈高になってご隠居に迫った。
「そうだ! いい考えが浮かんだ。日本はこれで行こう!」
ご隠居がとつぜん膝を叩いて叫んだ。
「何です? いい考えって。日本も核兵器を持とうってんですかい?」
「そんなんじゃないよ。中国とロシアと韓国に取り囲まれて困窮している北朝鮮を活用しようっていう戦略だ」
「北朝鮮? 拉致問題でまったくラチのあかないあの国とですかい?」
熊さんは疑い深い目をした。
「今中国の庇護のもとにあるけど、心の中では中国の属国に成り下がるのはごめんだという意識が彼らにはあるんだ。なんとか脱却したいと前首領の金正日は核兵器をもって強面の戦略を立てたんだけど、こんどの新首領金正恩はどうやら違うようだ、困窮している国民の生活を改善することが先ず第一だ、つまり経済に重点を置く戦略を立てているようだ」
「そういえば、核実験もやってないね」
「最近テレビに出てくるだろう、金正日の料理人をしていた藤本さんが新首領に招かれたって話が」
「そういえば藤本さんが横田めぐみさんを返してくれれば日朝関係はうまくいく可能性があるなんていったらしいですね」
「そこだよ! それに対して金正恩は頷いていたらしいじゃない。日本との関係に色気があるということだよ」
「ってことは、小泉さんみてえに野田さんが北朝鮮に乗り込んで・・・」
「そうだよ。それこそ日本が今国際社会に打って出る絶好のチャンスなんだ。中国も韓国もロシアだってびっくりするぜ!」
ご隠居も熊さんと一緒になって目をむいている。
「そうして、彼らに核兵器を断念させることができたら、これこそ日本の平和外交戦略の第一歩として日本が国際的にも発言力をもつことになる」
ご隠居は胸を張った。
「中国で日本の大使が乗っている車が追い回されて国旗を奪われたってじゃないですか! 日本であんなことやったらどうなるんですか」
「まあまあ、そういきり立ってないで落ち着きなさい」
「冗談じゃねえよ。韓国では日本が戦争に敗けてしゅんとしているどさくさに紛れて海上に勝手な境界線を引き、不法占拠した竹島に大統領がこれみよがしに上陸したり、うちらの天子様に失礼なこと言ったり、首相の親書を突き返して来たり、やられっぱなしじゃないですか」
「まったく、とんでもないことをしてくれたもんだよな。だけど野田さんも国際司法裁判所に提訴して、国際正義に訴えるって言ってるし・・・」
「国際正義? そんなものあるんですかい? ロシアだって韓国だって実効支配したもん勝ちだって、うちらの島を不法占拠してまかり通ってるじゃないですか」
「たしかにそれが現実だわな・・・」
どうも平和主義者のご隠居の旗色が悪い。
「尖閣だってそうだよ、今は日本が実効支配しているけど中国は今のところは目をつぶるけど、もともとは自分のものだから、そのうちなんて思っているんだよ」
「まったく、今や日本は四面楚歌ならぬ、三面楚歌だな・・・」
「ロシアは一寸たりとも日本に北方領土を渡さない、韓国に至ってははそのうち、対馬もなんて言ってるらしいし、中国だって沖縄にも色気があるみたいじゃん。このままずるずるで日本はいいのかい! 打つ手はないのかい!」
熊さんはますます居丈高になってご隠居に迫った。
「そうだ! いい考えが浮かんだ。日本はこれで行こう!」
ご隠居がとつぜん膝を叩いて叫んだ。
「何です? いい考えって。日本も核兵器を持とうってんですかい?」
「そんなんじゃないよ。中国とロシアと韓国に取り囲まれて困窮している北朝鮮を活用しようっていう戦略だ」
「北朝鮮? 拉致問題でまったくラチのあかないあの国とですかい?」
熊さんは疑い深い目をした。
「今中国の庇護のもとにあるけど、心の中では中国の属国に成り下がるのはごめんだという意識が彼らにはあるんだ。なんとか脱却したいと前首領の金正日は核兵器をもって強面の戦略を立てたんだけど、こんどの新首領金正恩はどうやら違うようだ、困窮している国民の生活を改善することが先ず第一だ、つまり経済に重点を置く戦略を立てているようだ」
「そういえば、核実験もやってないね」
「最近テレビに出てくるだろう、金正日の料理人をしていた藤本さんが新首領に招かれたって話が」
「そういえば藤本さんが横田めぐみさんを返してくれれば日朝関係はうまくいく可能性があるなんていったらしいですね」
「そこだよ! それに対して金正恩は頷いていたらしいじゃない。日本との関係に色気があるということだよ」
「ってことは、小泉さんみてえに野田さんが北朝鮮に乗り込んで・・・」
「そうだよ。それこそ日本が今国際社会に打って出る絶好のチャンスなんだ。中国も韓国もロシアだってびっくりするぜ!」
ご隠居も熊さんと一緒になって目をむいている。
「そうして、彼らに核兵器を断念させることができたら、これこそ日本の平和外交戦略の第一歩として日本が国際的にも発言力をもつことになる」
ご隠居は胸を張った。