昭和のマロ

昭和に生きた世代の経験談、最近の世相への感想などを綴る。

エッセイ(381)オレたちファースト時代(16)中国が抱える問題

2017-04-21 09:44:14 | エッセイ
 昨日のFサロンは、慶應義塾大学K名誉教授をお迎えして。「中国が抱える問題」というテーマでお話をうかがった。
 <三つの視点>
 ①「人物の視点」
 <党の核心>
 習近平は、2016年10月の第18期中央委員会全体会議において、「習近平同志を核心とする党中央」と位置付けられた。
 この位置づけを得て、彼は中央委員会常務委員会に自分寄りの人物をできるだけ多く送り込もうとしている。
 <任期延長の試み> 国家主席の任期は2期10年までと決められているが、党の規約を改定し3期目もその地位に留まろうとしているとの憶測がある。
 <独裁体制>維持のため、マスコミ規制、言論弾圧、人権擁護派弁護士の拘束などが厳しく行われている。
 ②「体制の視点」
 鄧小平のいわゆる<社会主義市場経済>の矛盾が露呈し出した。
 <中国共産党の指導の堅持>と、<私有財産を保護する>という個人主義を内包する憲法の規定とに、原理上の矛盾が生じる恐れがでてきた。
 重要な経済活動においては「認可」が必要である。強い権限を持つ認可者に対する贈賄は必要悪として存在せざるを得ない。そこに看過できない問題が生じている。
 習近平は「腐敗撲滅運動」を反対派の弾圧による政治権力の確立を意図している。
 ③「世界制覇の視点」
 習近平は「中国の夢」をスローガンに南シナ海、東シナ海への進出を強めている。
 さらに、「一帯一路」構想、積極的に中国が主導する「アジアインフラ投資銀行(AIID)」など、新しい国際経済秩序の樹立を図っている。
 習近平の独裁体制の先行きに注目せざるを得ない。
 また、<貧富の格差>や、<民族問題>など、解決困難な問題を抱えていることも質疑応答の中から浮かび上がってきた。
 
 そして、米中の超大国の狭間にあって、今後日本がいかにして自立した立場を確立できるかについても語り合われた。