技術構造分析講座ブログ

東工大の科学史・技術史・科学技術社会論・科学方法論研究室のブログです。公式情報、研究の詳細はホームページをご参照下さい。

ナノテクノロジー

2007-12-16 23:28:55 | Weblog
12月14日(金)の抄読会で,マムヌールさんが,中国におけるナノテクノロジーの状況に関する論文を紹介してくれました.

ところが,ナノテクノロージーの具体例が出ていませんでした.

話題先行で盛り上がっているだけではないかという意見がありましたが,必ずしもそうではないかもしれません.

『産総研 Today』 2005年11月号の
藤田康元・阿部修治「ナノテクノロジーについて人々はどう受け止めているか」(34-37頁)
に当時有望と思われていたナノテクノロジーの例が有りました.

「がん細胞だけを狙い撃ちして薬を投与するドラッグ・デリバリーシステム」
「環境中の有害物質を探知し除去してくれるセンサー」
「大量の個人情報を記録できる体内埋め込みチップ」(※)
「低カロリー食品に加えると味が豊かになる味覚向上剤(ナノ粒子でできている)」(※)
「視覚や聴覚の障害を完全に補う人工器官」
「汚れが自動的に落ち,選択の必要のない服」
「現在の最速のものより10億倍速いコンピューター」
「原子を一つ一つ組み上げることで様々なものを製造するナノマシン」
などが上げられています.
(※印はアンケート調査で拒否反応が多かったそうです.)

ただし,中国でのナノテクノロジー関連研究の伸びのなかには,研究予算獲得のため,もともと他の領域の研究であった研究テーマにナノテクノロジーという言葉を冠しているものも含まれていると思われます.

(詫間 直樹)