1.アメリカを見下し始めた中国
小さなニュースだが、次のニュースは、様々な点で興味深い。
=====
米空母追跡 中国「現場は公海」 合法性強調か(産経新聞) - goo ニュース2006年11月19日(日)03:27
【ワシントン=山本秀也】沖縄近海を航行中の米空母「キティホーク」が中国海軍の潜水艦に追跡された問題で、中国訪問中のラフェッド米太平洋艦隊司令官は17日、中国軍当局者から潜水艦の活動は公海上であり、領海侵犯などには当たらないとの説明を受けたことを明らかにした。
AP通信が伝えたもので、問題となった潜水艦の活動を中国側が確認したのはこれが初めて。中国外務省の報道官は、事態を最初に伝えた米紙ワシントン・タイムズについて「報道は正確ではない」と指摘していた。
説明に当たった中国軍当局者は明らかにされていない。中国側の発表によれば、ラフェッド司令官は同日、中国軍の葛振峰副総参謀長と北京で会談していた。
同紙の伝えた洋上での事態は、中国のソン(宋)級潜水艦が航行中の米空母を約8キロの魚雷射程圏内まで追跡するという挑発行動に出たというもので、公海上かどうかは問題となっていなかった。このため、軍当局者の説明の真意や、報道のどの部分を不正確だとしているのかなど、中国側の意図は依然不明だ。
中国海軍の潜水艦では、2004年にハン(漢)級原子力潜水艦が石垣島周辺の日本領海を侵犯し、日中間の外交問題となっていた。中国軍当局者は、この領海侵犯事件を念頭に活動海域の合法性を強調した可能性もあるようだ。
ラフェッド司令官は、「(中国の潜水艦は)どの艦艇とも危険な事態や問題を起こす航行状況ではなかった」と指摘。米中両軍間での透明性確保が重要だと語った。司令官は米中艦艇の合同救難訓練のため13日から訪中していた。
今回の事態について、クアラルンプールを訪れていたファロン米太平洋軍司令官は14日、「中国の潜水艦が訓練水域の中にまで入っていれば、不測の事態にエスカレートすることもあった」と危険性を指摘していた。
=====
この事件については、日々是チナオチさんが、詳しく追跡している。
キティホークの後方8kmにプカリと浮上した真性キティ。・上
キティホークの後方8kmにプカリと浮上した真性キティ。・下
事件は10月末ばのことだが、視点を変えて見ると、アメリカの中間選挙前だったことと、10月から出始めた中国の空母配備のニュースなどに関連づけることも可能だろう。アメリカの中間選挙期間だが、すでにお知らせしたように、中国は様々な工作によって、共和党が破れることをすでに夏前に予測していた。
二極化する世界(2):アメリカ中間選挙と次期政権(2)
当然、アメリカの世論調査の動向が決定的になり、中国がかなり自由に操作できるヒラリー・クリントンの勢力拡大が報道された10月、中国政府は次のステップに踏み出しても問題ないと、判断したと考えられる。この時期は、米中艦艇の合同救難訓練が始まる前だが、共和党政権の影響力低下を見越して、ブッシュ政権の対中圧力は強くならないと判断し、こうした軍事的挑発を敢て指示したわけである。
つまり、もう力の落ちた相手だから、気を遣う必要はないし、今までしてきた中国によるアメリカ国内での世論分裂工作が成果をあげて民主党が批判票を集めて勝利できるというアメリカの動きの理解の上で、今回のような、軍事的な次のステップに踏み出したわけである。
しかし、アメリカ中間選挙の結果については、以下のような分析がある。
マイネ・ザッヘさん:左への風?
毎日新聞:記者の目:共和党自滅の米中間選挙=及川正也(北米総局)などをもとに、「左への風が復活したわけではない」ことを分析している。及川正也氏の評価は以下のようなもので、中国の新華社などで、民主党の勝利を大々的に祝う記事にならなかった理由もこのあたりにありそうである。
=====
一時予想された民主党の地滑り的勝利には至らなかった。共和党を壊滅的状態には追い込まず「お灸(きゅう)を据える」という有権者の意思表示だったとは言えないか。スキャンダルが焦点となった選挙区で共和党は敗北したが、最も激戦が予想されたオハイオ州下院選では多くで競り勝った。「地表変動」にとどまったというのが実態だろう。
共和党は保守の再構築を迫られるが、民主党の課題も重い。今回の勝利は08年大統領選勝利を約束するものではない。ヒラリー・クリントン上院議員ら女性や黒人など話題豊富な候補者がいるだけでは選択肢を示したことにはならない。
民主党はブッシュ政権や共和党に代わる明確かつ具体的な政策を国民に示す必要がある。共和党地盤から当選した多くの中道派の新議員は従来のリベラル派と一線を画しており、民主党がどういう党なのかのイメージづくりも迫られる。
=====
中国としては、もう共和党を恐れる必要はないという事前の読みがはずれ、民主党大勝利とならなかったために、アメリカが期待通りには動かないかもしれないと言う恐れが生じたのが、今回の事件が奇妙にちぐはぐな理由(「公海」だからというような理由付けでかわそうとするなど)ではないか。
とは言え、こうした事件の背後に、もう一つ中国で高まっている軍事的国粋熱の存在は否定できない。事実として、中国の潜水艦はアメリカ第七艦隊の輪形陣を突破して、空母に接近できたわけで、老朽化した「宋」級潜水艦でも改装などによりそれだけ静音性能があがり、アメリカ軍の通常の警戒網では探知できなかった、つまり、旧式艦でも奇襲可能であることが、証明されたわけである。まして、新型のロシア製キロ級潜水艦ならばなおさら探知は困難である。
軍事的に次のステップに踏み出したというのは、仮想攻撃目標への、こうした実戦試験、実用試験、情報収集が中国軍で始まっているということである。こうした徴候は、すでに日本の自衛隊に対しては、かなり露骨に行なわれている。2005年末の以下の報道と今回の空母の報道は、同じ種類の中国軍の行動が引き起こしているもので、その意図はあきらかである。
アジアの真実さん:過去最多を記録した空自の対中スクランブル ~間近に迫る”その時”~
アメリカ軍との合同訓練があることを知った上で、米空母機動部隊を狙った今回の作戦は、米軍すらすでに攻撃目標として設定している中国軍の自信の表れであり、開戦可能な状態になりつつあるその能力の向上を意味している。今回の事件から、極東米軍は、中国にとって、すでに絶対に近づけない存在ではなく、打倒可能な相手になりつつあり、中国は老朽化したキティー・ホークや日本のF15など極東米軍とその装備を見下し始めているのである。
2.中国軍の自信の高まりと実態
今年、夏頃からの、中国軍関係の”異常な”報道については、すでにお知らせした。
中国の本音(3):軍の抬頭と進む対日開戦準備
①米軍を標的とする記事
最近の傾向としては、日本ばかりでなく、アメリカを標的とする見出しが増えている点であろう。
解放軍55艘潛艇戰力強悍 未來數量將達美軍三倍(解放軍55隻の潜水艦戦力は強力 将来の戦力は米軍の三倍に達する):米軍が中国軍の戦力の脅威を報道したことを非難して、”平和のための軍隊”であることを短い記事にしているが、23枚の組写真で解放軍潜水艦隊の強力さを訴えている。
中國研製雙體隱身導彈艇 對抗美國瀕海戰鬥艦(中国双胴型ステルスミサイル艇を開発 アメリカの近海戦闘艦に対抗):15枚の組写真で、新型のミサイル艇を紹介している。
②技術力の誇示
実質的なレベルは分からないが、今年10月の航空ショーでは、各種の軍事兵器が公開されて、実力を誇示している。
人民日報:第六回航空ショー
各種の写真から、新型機が多数開発中で、航空用各種ミサイルが実用化されていることがうかがえる。
シリウスの環さん:中国製ステルス模型「お披露目」:ステルス戦闘機の性能検討などが論じられている。
この航空ショーの記事中にも、民間サイトの中国金融網の記事だが、明らかに米軍を標的にする記事がある。
中國導彈10年磨劍突破空襲體系(1)(中国のミサイル開発10年空襲兵器システムで突破):航空面での技術の実力を訴えるとともに、航空兵器産業への売り込みを記事にしている。アメリカなどの軍需産業に対抗する意図は明確である。
しかし、航空ショーの結果は、あまり販売にはつながらなかったらしく、民間サイトでの期間中の威勢のいい記事は、以下のように、会期の後、「模型ショー」という評価があるという、180度転換したものになっている。
捜狐網:第六回航空ショー特集
=====
更像一場「模型秀」 珠海航展有瑕疵(まるで模型ショー 珠海航空ショーに欠点)
航展昨日閉幕,真機難見模型成堆,成交量與國外相比差距明顯
珠海航展昨日閉幕,最後一天的展覽吸引了眾多來自港澳的觀眾。主辦方介紹,昨天觀展人數與前天的近10萬人持平。儘管參展人數超過上屆,但讓眾多觀眾不過癮的是,展會的模型、概念滿天飛,而真正讓人們眼前一亮的「真傢伙」卻屈指可數。
在展會成交額方面,作為已躋身於世界五大航展之列的珠海航展,其成交量與其他四大航展相比差距明顯,專業參觀日期間,珠海航展簽約逾30億美元,而幾個月前,在英國舉行的范堡羅國際航展,最終取得了380億美元的成交額。
(航空ショー閉幕 実物はほとんどなく模型が山のようだ 契約数は外国と大きな差
珠海航空ショーは閇幕し、最後の一日は香港・廈門からの観客を惹き付けた。主宰者は、昨日とおとといの観客数は平均して(?)10万にたっした。観客は前回を越えたが、多くの観客を失望させたのは、模型と想像図ばかりで、本物は数えるほどしかなかったことである。契約数から見ると、五大航空ショーの一つ珠海航空ショーは、他の航空ショーより差が大きく、専門家の参観期間では、30億ドルになったが、イギリス航空ショーは380億ドルだった。)
=====
しかし、ナチスドイツが空想的兵器を各種構想していたことから言えば、空中給油機など海外を攻撃する能力を中国軍が持とうとしていることは、以下の記事からも明確に窺える。
國產空中加油新裝備曝光 中國遠程打擊能力飆升:中国軍が構想中だという空中給油装置の想像図。見ただけでは、気球のようなものを機外につけるものらしい。
3.虚勢を張る軍の恐ろしさ
以上を見てきて、中国軍の状況は非常に危険だと言える。理由の一つは、中国軍の増強によって、現戦力の水準では自衛隊はもちろん米軍までもが挑戦できる対象になり、また、ヒラリー・クリントンの優勢などでアメリカ政府も容易にコントロールできると中国政府が判断し始めた徴候が窺える点である。朝鮮軍、ロシア軍の動きも活発化している中、通常戦闘での抑止力が東アジアでは急激に低下しているのである。中国にとっての、見かけ上の外交的優勢(ヨーロッパへの影響力拡大、アフリカ支配、国連支配、韓国支配)もそうした自信過剰につながる。
もう一つは、自軍の実力の過大評価である。他国に侵略的に侵攻する軍はしばしば同じ目に遭うが、ナチス・ドイツの場合は対ソビエト戦で、日本帝国軍の場合も、ガダルカナルやミッドウエーで自軍の戦力は過大に評価され、甘い見通し、戦力分散などによる作戦行動で多大の損害を被った。しかし、それは結果であって、開戦は指導部では可能と判断されていた。このギャップは大きい。今、20世紀の比喩で言えば、増強中の中国軍は第二次大戦のフランス攻撃時のドイツ軍の状態になりつつあり、日本への直接攻撃が可能になりつつある。実際には、長期戦やアメリカ軍の最精鋭部隊には勝てなくても、自衛隊相手や短期の奇襲作戦なら日本を占領できるという作戦計画を中国が立てている可能性は高い。こうした甘い判断が20世紀の惨禍をもたらしたのである。今世紀も同じ状態が既に生まれている。
人民日報:2006年11月19日軍事頻道更多頭條
ここには、アメリカ軍の空母追跡、各種ミサイル新兵器開発とともに、空母保有についてのニュースも出ている。
中國具獨立建造航母能力 或有意獲得法國陣風戰機(中国は独力で空母建造能力がある あるいはフランスの戦闘機獲得の意志がある):ロシアの専門家の中国の空母建造にたいする評価を伝えている。
これもアメリカの中間選挙を見越したニュースだったのかもしれないが、最終議席が確定する過程でアメリカの政局が判断が難しい状態になり、20日以降、トップページの特集からは見出しが消えた。陰謀をめぐらせても、人間社会は機械でない以上、計算通りには運ばない。中国が誤った軍事的判断をするケースは、今後も増えてくるだろう。
中国網の軍事写真を調べたところ、80%完成した中国空母の見出しで、ドックにある空母らしいものの写真が出ている。
80%完成した中国空母
その標的は、明らかに日本である。
日本六大計劃應對周邊:中国の情報機関『環球時報』のによる日本が、戦争準備をしているという煽動記事。しかも、悪質なことに、2005年8月の記事を、11月にもう一度載せている。
さらに、台湾への直接攻撃も示唆されている。 人民日報には、以下の記事が掲載された。
■ 11月19日:章沁生:我軍須有足夠力量將台控制在「一中」框架內(章沁生は我が軍は台湾をコントロールして「一つの中国」に枠内におく十分な力が必要だと言った)。見出しは、台湾の武力コントロールだが、実際の記事は、以下のように、平和的統一と軍の近代化を進めるべきという以下の記事。
=====
中国的和平发展道路与国防现代化
對於台灣問題的解決,中國政府的基本方針是「和平統一、一國兩制」,有足夠的耐心和誠意進行一切爭取和平統一的努力。但是,「台獨」分裂分子不顧中華民族的根本利益,不斷加快整軍備戰的步伐,企圖「以武拒統」、將台灣從中國分離出去。對此,中國政府和人民堅決反對、決不允許。
中國軍隊必須著眼維護台海地區和平、促進兩岸最終統一的實際需要,不斷加強現代化建設,確保有足夠的力量將台灣牢牢地控制在「一個中國」的框架內。這是世界上一切真正維護和平、堅持正義的人們都能夠理解和理應支援的。
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しかし、台湾独立とそれを支援する日本を主敵とするという、中国共産党の意志が明確に機関紙に出て来はじめたことは、注意しすぎてもしすぎることはない、重大な警鐘である。
小さなニュースだが、次のニュースは、様々な点で興味深い。
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米空母追跡 中国「現場は公海」 合法性強調か(産経新聞) - goo ニュース2006年11月19日(日)03:27
【ワシントン=山本秀也】沖縄近海を航行中の米空母「キティホーク」が中国海軍の潜水艦に追跡された問題で、中国訪問中のラフェッド米太平洋艦隊司令官は17日、中国軍当局者から潜水艦の活動は公海上であり、領海侵犯などには当たらないとの説明を受けたことを明らかにした。
AP通信が伝えたもので、問題となった潜水艦の活動を中国側が確認したのはこれが初めて。中国外務省の報道官は、事態を最初に伝えた米紙ワシントン・タイムズについて「報道は正確ではない」と指摘していた。
説明に当たった中国軍当局者は明らかにされていない。中国側の発表によれば、ラフェッド司令官は同日、中国軍の葛振峰副総参謀長と北京で会談していた。
同紙の伝えた洋上での事態は、中国のソン(宋)級潜水艦が航行中の米空母を約8キロの魚雷射程圏内まで追跡するという挑発行動に出たというもので、公海上かどうかは問題となっていなかった。このため、軍当局者の説明の真意や、報道のどの部分を不正確だとしているのかなど、中国側の意図は依然不明だ。
中国海軍の潜水艦では、2004年にハン(漢)級原子力潜水艦が石垣島周辺の日本領海を侵犯し、日中間の外交問題となっていた。中国軍当局者は、この領海侵犯事件を念頭に活動海域の合法性を強調した可能性もあるようだ。
ラフェッド司令官は、「(中国の潜水艦は)どの艦艇とも危険な事態や問題を起こす航行状況ではなかった」と指摘。米中両軍間での透明性確保が重要だと語った。司令官は米中艦艇の合同救難訓練のため13日から訪中していた。
今回の事態について、クアラルンプールを訪れていたファロン米太平洋軍司令官は14日、「中国の潜水艦が訓練水域の中にまで入っていれば、不測の事態にエスカレートすることもあった」と危険性を指摘していた。
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この事件については、日々是チナオチさんが、詳しく追跡している。
キティホークの後方8kmにプカリと浮上した真性キティ。・上
キティホークの後方8kmにプカリと浮上した真性キティ。・下
事件は10月末ばのことだが、視点を変えて見ると、アメリカの中間選挙前だったことと、10月から出始めた中国の空母配備のニュースなどに関連づけることも可能だろう。アメリカの中間選挙期間だが、すでにお知らせしたように、中国は様々な工作によって、共和党が破れることをすでに夏前に予測していた。
二極化する世界(2):アメリカ中間選挙と次期政権(2)
当然、アメリカの世論調査の動向が決定的になり、中国がかなり自由に操作できるヒラリー・クリントンの勢力拡大が報道された10月、中国政府は次のステップに踏み出しても問題ないと、判断したと考えられる。この時期は、米中艦艇の合同救難訓練が始まる前だが、共和党政権の影響力低下を見越して、ブッシュ政権の対中圧力は強くならないと判断し、こうした軍事的挑発を敢て指示したわけである。
つまり、もう力の落ちた相手だから、気を遣う必要はないし、今までしてきた中国によるアメリカ国内での世論分裂工作が成果をあげて民主党が批判票を集めて勝利できるというアメリカの動きの理解の上で、今回のような、軍事的な次のステップに踏み出したわけである。
しかし、アメリカ中間選挙の結果については、以下のような分析がある。
マイネ・ザッヘさん:左への風?
毎日新聞:記者の目:共和党自滅の米中間選挙=及川正也(北米総局)などをもとに、「左への風が復活したわけではない」ことを分析している。及川正也氏の評価は以下のようなもので、中国の新華社などで、民主党の勝利を大々的に祝う記事にならなかった理由もこのあたりにありそうである。
=====
一時予想された民主党の地滑り的勝利には至らなかった。共和党を壊滅的状態には追い込まず「お灸(きゅう)を据える」という有権者の意思表示だったとは言えないか。スキャンダルが焦点となった選挙区で共和党は敗北したが、最も激戦が予想されたオハイオ州下院選では多くで競り勝った。「地表変動」にとどまったというのが実態だろう。
共和党は保守の再構築を迫られるが、民主党の課題も重い。今回の勝利は08年大統領選勝利を約束するものではない。ヒラリー・クリントン上院議員ら女性や黒人など話題豊富な候補者がいるだけでは選択肢を示したことにはならない。
民主党はブッシュ政権や共和党に代わる明確かつ具体的な政策を国民に示す必要がある。共和党地盤から当選した多くの中道派の新議員は従来のリベラル派と一線を画しており、民主党がどういう党なのかのイメージづくりも迫られる。
=====
中国としては、もう共和党を恐れる必要はないという事前の読みがはずれ、民主党大勝利とならなかったために、アメリカが期待通りには動かないかもしれないと言う恐れが生じたのが、今回の事件が奇妙にちぐはぐな理由(「公海」だからというような理由付けでかわそうとするなど)ではないか。
とは言え、こうした事件の背後に、もう一つ中国で高まっている軍事的国粋熱の存在は否定できない。事実として、中国の潜水艦はアメリカ第七艦隊の輪形陣を突破して、空母に接近できたわけで、老朽化した「宋」級潜水艦でも改装などによりそれだけ静音性能があがり、アメリカ軍の通常の警戒網では探知できなかった、つまり、旧式艦でも奇襲可能であることが、証明されたわけである。まして、新型のロシア製キロ級潜水艦ならばなおさら探知は困難である。
軍事的に次のステップに踏み出したというのは、仮想攻撃目標への、こうした実戦試験、実用試験、情報収集が中国軍で始まっているということである。こうした徴候は、すでに日本の自衛隊に対しては、かなり露骨に行なわれている。2005年末の以下の報道と今回の空母の報道は、同じ種類の中国軍の行動が引き起こしているもので、その意図はあきらかである。
アジアの真実さん:過去最多を記録した空自の対中スクランブル ~間近に迫る”その時”~
アメリカ軍との合同訓練があることを知った上で、米空母機動部隊を狙った今回の作戦は、米軍すらすでに攻撃目標として設定している中国軍の自信の表れであり、開戦可能な状態になりつつあるその能力の向上を意味している。今回の事件から、極東米軍は、中国にとって、すでに絶対に近づけない存在ではなく、打倒可能な相手になりつつあり、中国は老朽化したキティー・ホークや日本のF15など極東米軍とその装備を見下し始めているのである。
2.中国軍の自信の高まりと実態
今年、夏頃からの、中国軍関係の”異常な”報道については、すでにお知らせした。
中国の本音(3):軍の抬頭と進む対日開戦準備
①米軍を標的とする記事
最近の傾向としては、日本ばかりでなく、アメリカを標的とする見出しが増えている点であろう。
解放軍55艘潛艇戰力強悍 未來數量將達美軍三倍(解放軍55隻の潜水艦戦力は強力 将来の戦力は米軍の三倍に達する):米軍が中国軍の戦力の脅威を報道したことを非難して、”平和のための軍隊”であることを短い記事にしているが、23枚の組写真で解放軍潜水艦隊の強力さを訴えている。
中國研製雙體隱身導彈艇 對抗美國瀕海戰鬥艦(中国双胴型ステルスミサイル艇を開発 アメリカの近海戦闘艦に対抗):15枚の組写真で、新型のミサイル艇を紹介している。
②技術力の誇示
実質的なレベルは分からないが、今年10月の航空ショーでは、各種の軍事兵器が公開されて、実力を誇示している。
人民日報:第六回航空ショー
各種の写真から、新型機が多数開発中で、航空用各種ミサイルが実用化されていることがうかがえる。
シリウスの環さん:中国製ステルス模型「お披露目」:ステルス戦闘機の性能検討などが論じられている。
この航空ショーの記事中にも、民間サイトの中国金融網の記事だが、明らかに米軍を標的にする記事がある。
中國導彈10年磨劍突破空襲體系(1)(中国のミサイル開発10年空襲兵器システムで突破):航空面での技術の実力を訴えるとともに、航空兵器産業への売り込みを記事にしている。アメリカなどの軍需産業に対抗する意図は明確である。
しかし、航空ショーの結果は、あまり販売にはつながらなかったらしく、民間サイトでの期間中の威勢のいい記事は、以下のように、会期の後、「模型ショー」という評価があるという、180度転換したものになっている。
捜狐網:第六回航空ショー特集
=====
更像一場「模型秀」 珠海航展有瑕疵(まるで模型ショー 珠海航空ショーに欠点)
航展昨日閉幕,真機難見模型成堆,成交量與國外相比差距明顯
珠海航展昨日閉幕,最後一天的展覽吸引了眾多來自港澳的觀眾。主辦方介紹,昨天觀展人數與前天的近10萬人持平。儘管參展人數超過上屆,但讓眾多觀眾不過癮的是,展會的模型、概念滿天飛,而真正讓人們眼前一亮的「真傢伙」卻屈指可數。
在展會成交額方面,作為已躋身於世界五大航展之列的珠海航展,其成交量與其他四大航展相比差距明顯,專業參觀日期間,珠海航展簽約逾30億美元,而幾個月前,在英國舉行的范堡羅國際航展,最終取得了380億美元的成交額。
(航空ショー閉幕 実物はほとんどなく模型が山のようだ 契約数は外国と大きな差
珠海航空ショーは閇幕し、最後の一日は香港・廈門からの観客を惹き付けた。主宰者は、昨日とおとといの観客数は平均して(?)10万にたっした。観客は前回を越えたが、多くの観客を失望させたのは、模型と想像図ばかりで、本物は数えるほどしかなかったことである。契約数から見ると、五大航空ショーの一つ珠海航空ショーは、他の航空ショーより差が大きく、専門家の参観期間では、30億ドルになったが、イギリス航空ショーは380億ドルだった。)
=====
しかし、ナチスドイツが空想的兵器を各種構想していたことから言えば、空中給油機など海外を攻撃する能力を中国軍が持とうとしていることは、以下の記事からも明確に窺える。
國產空中加油新裝備曝光 中國遠程打擊能力飆升:中国軍が構想中だという空中給油装置の想像図。見ただけでは、気球のようなものを機外につけるものらしい。
3.虚勢を張る軍の恐ろしさ
以上を見てきて、中国軍の状況は非常に危険だと言える。理由の一つは、中国軍の増強によって、現戦力の水準では自衛隊はもちろん米軍までもが挑戦できる対象になり、また、ヒラリー・クリントンの優勢などでアメリカ政府も容易にコントロールできると中国政府が判断し始めた徴候が窺える点である。朝鮮軍、ロシア軍の動きも活発化している中、通常戦闘での抑止力が東アジアでは急激に低下しているのである。中国にとっての、見かけ上の外交的優勢(ヨーロッパへの影響力拡大、アフリカ支配、国連支配、韓国支配)もそうした自信過剰につながる。
もう一つは、自軍の実力の過大評価である。他国に侵略的に侵攻する軍はしばしば同じ目に遭うが、ナチス・ドイツの場合は対ソビエト戦で、日本帝国軍の場合も、ガダルカナルやミッドウエーで自軍の戦力は過大に評価され、甘い見通し、戦力分散などによる作戦行動で多大の損害を被った。しかし、それは結果であって、開戦は指導部では可能と判断されていた。このギャップは大きい。今、20世紀の比喩で言えば、増強中の中国軍は第二次大戦のフランス攻撃時のドイツ軍の状態になりつつあり、日本への直接攻撃が可能になりつつある。実際には、長期戦やアメリカ軍の最精鋭部隊には勝てなくても、自衛隊相手や短期の奇襲作戦なら日本を占領できるという作戦計画を中国が立てている可能性は高い。こうした甘い判断が20世紀の惨禍をもたらしたのである。今世紀も同じ状態が既に生まれている。
人民日報:2006年11月19日軍事頻道更多頭條
ここには、アメリカ軍の空母追跡、各種ミサイル新兵器開発とともに、空母保有についてのニュースも出ている。
中國具獨立建造航母能力 或有意獲得法國陣風戰機(中国は独力で空母建造能力がある あるいはフランスの戦闘機獲得の意志がある):ロシアの専門家の中国の空母建造にたいする評価を伝えている。
これもアメリカの中間選挙を見越したニュースだったのかもしれないが、最終議席が確定する過程でアメリカの政局が判断が難しい状態になり、20日以降、トップページの特集からは見出しが消えた。陰謀をめぐらせても、人間社会は機械でない以上、計算通りには運ばない。中国が誤った軍事的判断をするケースは、今後も増えてくるだろう。
中国網の軍事写真を調べたところ、80%完成した中国空母の見出しで、ドックにある空母らしいものの写真が出ている。
80%完成した中国空母
その標的は、明らかに日本である。
日本六大計劃應對周邊:中国の情報機関『環球時報』のによる日本が、戦争準備をしているという煽動記事。しかも、悪質なことに、2005年8月の記事を、11月にもう一度載せている。
さらに、台湾への直接攻撃も示唆されている。 人民日報には、以下の記事が掲載された。
■ 11月19日:章沁生:我軍須有足夠力量將台控制在「一中」框架內(章沁生は我が軍は台湾をコントロールして「一つの中国」に枠内におく十分な力が必要だと言った)。見出しは、台湾の武力コントロールだが、実際の記事は、以下のように、平和的統一と軍の近代化を進めるべきという以下の記事。
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中国的和平发展道路与国防现代化
對於台灣問題的解決,中國政府的基本方針是「和平統一、一國兩制」,有足夠的耐心和誠意進行一切爭取和平統一的努力。但是,「台獨」分裂分子不顧中華民族的根本利益,不斷加快整軍備戰的步伐,企圖「以武拒統」、將台灣從中國分離出去。對此,中國政府和人民堅決反對、決不允許。
中國軍隊必須著眼維護台海地區和平、促進兩岸最終統一的實際需要,不斷加強現代化建設,確保有足夠的力量將台灣牢牢地控制在「一個中國」的框架內。這是世界上一切真正維護和平、堅持正義的人們都能夠理解和理應支援的。
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しかし、台湾独立とそれを支援する日本を主敵とするという、中国共産党の意志が明確に機関紙に出て来はじめたことは、注意しすぎてもしすぎることはない、重大な警鐘である。
もちろん、エントリーの示唆してる点は間違いないんですが、もうちょっと技術的なレベルで。
常識的に考えると、本当に脅威があればアメリカはそれを悟られないように隠すはずなんですよ。
そうじゃないと弱点を本気で教えちゃうから。
もちろん、そういうバカを時々やっちゃうのもアメリカではあるんですけどね。^^;
たしかに中国の正面戦力は着々と強化されていますね。
恐らくこの空母に搭載されるであろうスホーイSu-33戦闘攻撃機も購入されるとの情報がありました。
海軍艦艇も自衛隊と同じぐらいのペースで新型艦艇の建造が進んでいるようです。
が、中国が共産主義=先軍政治ということは留意いておかないと、大きく戦略を見誤ってしまうことになります。
先軍政治とは何物にも変えて軍の充実拡大を最優先する政治方法ですが、この場合、自国人民や周辺国に対して「質と量」を誇示しなければなりません。
よって中身はがらんどうでも数が揃っているところを見せ付けてくるのです。
本当は一級品の機密事項である空母の建造度合いもちょくちょく情報を小出しにしていることがその証左と言えます。
長々と失礼しました。