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「すでに起こったことは、明らかに可能なことがらである」
在台日本語教師の東アジア時事論評あるいはカサンドラの眼差し

中国の空母建造計画?!─21世紀の「大艦巨砲主義」の幻想─

2006年03月14日 | 中国の野望─その外交と軍事─
 中国軍関係者の発表として、10日、中国軍の空母建造計画が香港系の新聞社から発表された。オリジナルの記事も確認したが、具体的な発言者の名前も書いてあって、信憑性は高いようだ。記事の全体は、次回にお知らせしたい。今回は、中国の軍事サイトに出ている、状況証拠を、二点ご紹介したい。

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中国、国産空母建造へ 軍当局者が計画初確認 香港紙報道
 10日付中国系香港紙、文匯報によると、中国人民解放軍総装備部の汪致遠中将は9日、中国初となる国産空母の建造を計画していることを明らかにした。中将は「今後5年以内に完了するような短期的計画ではない」としつつ、空母本体に先立ち艦載機や護衛艦艇の製造が完了間近であると述べた。
 国産空母建造は中国の“悲願”とされるが、軍当局者が計画の存在を確認したのは初めて。日米など周辺国の、中国軍事力増強への警戒感がさらに高まりそうだ。
 文匯報によると、中将は中国の海岸線の長さなどを挙げ「海洋権益を守るため」として空母の必要性を強調。別の消息筋によると、空母は将来、南部を担当する南海艦隊に配属される可能性があるという。
 中国には「観光目的」で購入した旧ソ連の大型空母が3隻あり、うち遼寧省大連市にあるワリャクは改修工事が進められていることが最近確認され、専門家は「空母建造への動き」との見方を示していた。
 中国は2006年度予算案で伸び率が18年連続2けたの国防費を盛り込むなど軍事力を強化しているが、実態は不透明との批判が強い。(共同)
(03/10 18:22)
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①「空母本体に先立ち艦載機や護衛艦艇の製造が完了間近」
 護衛艦隊はまだ見付けていないが、中国の軍事サイトには中国の空母に乗せる「艦載機」の写真が掲載されている。
□SU27-J11C(苏27 J11系列战机):写真は以下。
 艦載予定機
 SU27シリーズ
 ロシア製戦闘機の改造型らしい。アメリカ軍のF22などをまねた制空戦闘機のように見えるが、艦載可能なのかどうか、あるいは、性能はどうか、専門家の方にお伺いしたいところだ(本編の写真)。
②「遼寧省大連市にあるワリャクは改修工事が進められていることが最近確認」
 このブログでも、昨年夏、中国の軍事ブログで「中国空母」として出ていた写真をおとどけした。
 中国の空母
 昨年末に軍事ブログに掲載された写真は、繋留位置が変わり、船体も灰色に塗裝されていて、手が加えられている様子が分かる。中将が「今後5年以内に完了するような短期的計画ではない」と述べているところから見て、このワリヤーグをベースにして、新しい艦を建造する、あるいは新しい設計で建造中というところかもしれない。
 現在のワリヤーグ

 これに付隨する護衛艦隊の規模や艦載予定機の情報などが集められれば、だいたいどのような計画が進んでいるか、推測できそうである。
 中国での国粋主義者が「空母」に寄せる夢は、以下の写真から推測できそうである。
 中国空母想像図1
 中国空母想像図2
 空母関係画像

 こうした空母に寄せる中国人国粋主義者の夢想は、20世紀の「大艦巨砲主義」の幻想とパラレルなものと言えるかも知れない。20世紀の「大艦巨砲主義」の教訓を、私達が生かせれば、自ずから有効な対抗策も立てられる。決して、中国人国粋主義者と同じ発想に陥らないことが、日本の安全保障を考えるときは大事である。
 中国人民解放軍は、アメリカ軍の向こうを張って海外への侵攻能力を高めることに主眼が置かれているとすれば、アメリカ軍との協力関係が崩れない限り、国土の防衛だけを考えればいい日本の場合は、そうした解放軍の動きの性格を見ながら、ハード面よりソフト面で必要な対策を立てればいいのである。

 記事のオリジナルは以下。
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聚焦兩會.軍方將領:中國將研建航母艦隊
 【本報兩會報道組北京9日電】解放軍總裝備部科技委員會副主任汪致遠中將對本報透露,「中國軍隊將自行研究製造航空母艦,發展自己的航母艦隊。」目前相關研製計劃已經在執行當中。而先於航母的研製,中國的艦載機、附屬艦艇已經或接近研製完畢。
 汪致遠中將(見圖)表示,「航母是大國在維護海洋權益的時候一個非常重要的工具,中國一個這麼大的國家,海岸線這麼長,而且我們要保護我們的海洋利益,航母是完全必要的。」但他同時亦坦誠,這不是三、五年就能完成的,建立一支真正的航母艦隊,尚需時日。

建立艦隊 尚需時日
 完整的航空母艦戰鬥群作為一個體系,由母艦,各式艦載機,附屬水上水下艦艇組成。汪致遠中將表示,中國的艦載飛機基本上是對中國現有配備的軍用飛機改型而成。另據悉,先於航空母艦的研製,中國的艦載機、附屬水上水下艦艇已經或接近研製完畢。
 值得注意的是,軍報近年不斷提出建設強大海軍的主張。尤其在1月13日的一篇報道中,有解放軍將領表示,中國「不會因所謂的『中國軍事威脅論』而在建設軍隊上自縛手腳」。此外,由海軍將領出任總參謀部高級職務的人事變更,也表明中國進一步重視海軍的趨勢。

大國象徵 保護資源
 此外,中國一位軍事專家最近在媒體透露,中國已經明白艦載機彈射器的構造奧妙。如果該消息確實,中國航母的甲板將採用美國「尼米玆」航母的水平模式,這意味著在相同的噸位的情況下,中國航母將比俄國航母有更大的裝載飛機空間。
 此前另有消息透露,考慮到南海艦隊所處的能源通道位置,中國可能首先組建自己的航空母艦編隊。專家認為,有跡像顯示,中國正在給航母賦予新的意義――大國崛起的象徵以及海外能源的保護者。

六大難題 亟待克服
 對於中國為什麼到現在還沒有建造航空母艦的問題,一直流傳各種說法,但以下六個問題一直為各方所公認較難克服的:

一、彈射起飛
 艦載機彈射起飛的速度,比滑跳式起飛速度快大約一倍,有利航母艦載機應急起飛作戰。但艦載機彈射器技術現仍為美國「專利」。

二、艦載機型
 航母艦載機使用哪種機型,各方各有議論。但各方公認艦載機必須具備超巡、隱形、大作戰半徑等美國標準第四代戰機的特點。

三、硬件配置
 航母艦隊並非只有一艘航母,而是由反潛、防空、護衛、驅逐、潛艇、補給、航母等多種硬件力量共同構成的一個戰鬥群。

四、軟件操作
 一個航母艦隊的通訊、聯絡、指管,必然需要相應的衛星系統、預警系統等。對整個國家的雷達、通訊、電子、計算機技術,提出很高的要求。

五、開支龐大
 如美國尼米玆級航空母艦的造價高達50億美元,每月的經營開支就要1,300萬美元,此外還有大量的周邊設備均需要龐大的開支。

六、外部壓力
 上馬航母,難免再次觸動日本右翼等勢力鼓噪的「中國威脅論」。專家的對策是以「模塊化」、「分步走」的組建戰略,來逐步推進。 ■資料來源:互聯網
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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
やる気みたいですね。^^;;; (kyouji)
2006-03-14 22:26:49
トラックバックとコメント、ありがとうございます。

 ご指摘の通り、ロシアの戦闘機の改良型ですね。

 ロシアなら艦載型に改良はできるでしょう。

 F15よりも機体の性能が高く、航空管制機のバックアップがないとF-15ではつらい、と言われていたと思います。

 ただ、ステルスはなさそうですから、F-15の世代の最後のチャンピオンでしょう。

 F-22からするとF-15は子供と大人ぐらい違いますので。

 それに中共は兵器の開発能力がありませんし、ロシアもソ連崩壊後は兵器開発どころじゃないのか、あまり聞かないんですよね。

 もっとも、F-15でさえ装備するのは世界的には大変なので、スホイ27でもだいぶ脅威になりますけどね。



 空母もなかなか本格的じゃないですか。

 もっとも、このままの物が作れるとは思いませんね。

 模型自体がかなり破綻してる感じですし。^^;

 また、航空母艦には航空機を離陸させるためのカタパルトという蒸気圧で飛行機を押し出す装備が必要なんですよ。

 で、これが作れるのがアメリカだけらしいんですね。

 それなしでスホイ27が離陸できるのかな、と思うんですが。



 それで、ですね。空母は整備したり、補給のために港に帰ったりのローテーションがあるので、普通は3隻1組くらいが必要らしいんですね。

 で、護衛のための駆逐艦-いわゆるイージス艦みたいな防空能力のある船を数隻用意して、空母を取り囲むようにしないといけない。

 また、空母の嫌な敵は潜水艦で、アメリカでさえ、敵潜水艦がいる海域には空母を近づけないんですよ。

 高度な潜水艦探知能力が要求されるんですけど、この分野はロシアとしのぎを削ったアメリカと日本が圧倒的なんですね。

 ソ連は実は満足な空母と空母艦載機が作れなかったため、仕方なく、原潜でアメリカの空母艦隊に対抗する作戦だったんです。

 そのソ連の敗北をロシアの技術で中共が実現しようと言うのが実は根本的に無茶なんですが。^^;;;

 それと超音速ミサイルで一気に艦隊に攻撃を仕掛ける、反撃を食らう覚悟でミサイルを撃ちまくる作戦で、それが例のロシアから中共に売却されたミサイル駆逐艦で、このミサイル駆逐艦に対抗するために作られたのが、イージスシステムなんだそうです。^^





 こう言っちゃなんですけど、机上の空論、数兆円どころか10兆円以上かかるんじゃないですかね。

 それでも、今のアメリカの水準を前提に比較してるだけで、アメリカはもっと進歩して行きますからね。



 昔、アメリカのレーガン大統領がスターウォーズ計画っていう宇宙防衛態勢を提案したんですが、ソ連はそれに対抗しようとした結果、経済力が追いつかずに崩壊したと言われてるんですね。

 この中共の計画、どう考えても、現代の万里の長城でしょう。^^;;;;;

 こうなると、対抗方法は過去に成功した方法が一番確実でしょう。

 つまり経済を破綻させる、というやり方ですね。

 所詮、軍備とは経済と言う土台なくしてはありえないんですね。
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「現代の万里の長城」そのとおりです (蓬莱の島通信ブログ別館)
2006-03-15 09:53:59
よくわかるご説明で「軍備とは経済と言う土台なくしてはありえない」との結論は、そのとおりです。中国を21世紀の「大艦巨砲主義」に陥らせることで、過重な軍備競争の消耗戦により逆に日本の抑止力にするという「災い転じて福となす」戦略を考えてはと思ったことと同じです。万里の長城で滅びた秦の教訓を学べるぐらい中国の指導者が賢ければ、こんなことはしないでしょうしね。
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