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「すでに起こったことは、明らかに可能なことがらである」
在台日本語教師の東アジア時事論評あるいはカサンドラの眼差し

中国の空母建造計画(続続続)?!─「9935方案」空母建造計画概要─

2006年03月20日 | 中国の野望─その外交と軍事─
1.迫る中国の軍事的脅威:2006年3月には、相次いで中国の軍事的肥大化を警告する動きが、アメリカから出た。以下のニュースも、端的な警告と言える。(全文引用に問題があればお知らせください。)
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 中国軍拡 米専門家分析 中台08-15年に危機 2006年 3月19日 (日) 03:03
弾道ミサイル増/6万トン級空母?
【ワシントン=山本秀也】米国の軍事・安保専門家らが、米議会の超党派諮問機関である「米中経済安保調査委員会」の公聴会(十六-十七日)で、中国の軍事動向についての分析を報告した。公表ベースで十八年連続の国防費二けた増という中国の軍拡の背景には、台湾への武力行使と日米の介入を排除する狙いがあり、台湾をめぐる緊張は、二〇〇八年から一五年の間に最も高まる-などという分析でほぼ一致した。 
 遠洋型海軍への転換や弾道・巡航ミサイルの大量配備といった中国の軍拡が、台湾統一に向けた戦略の柱であることは多くの専門家が指摘した。とりわけ、中国側が台湾に対して絶対的な優位にある射程三百-千七百キロを中心とした弾道ミサイルは、「年間七十五-百基のペース」で増加している状況に、ほぼ全員が懸念を示した。
 危機の訪れる時期について、米太平洋軍の統合情報本部で上級分析官を務めたコルテス・クーパー氏(ヒックス・アンド・アソシエーツ東アジア部長)は、「二〇〇八年から二〇一五年の間を心配すべきだ」と語る。中国の新型装備が〇八年ごろ配備を完了するのに対し、ミサイル防衛など米軍の新たな地域抑止力が整うのは一五年ごろと予想されるためだ。
 この間には日本の役割が相対的に高まる一方、米台だけでなく日本も潜在的な中国の攻撃目標に含まれるとの指摘が目立った。国防総省で台湾問題を担当したマーク・ストークス氏(米台エンタープライズ基金会長)は中国の移動式弾道ミサイルの脅威が沖縄をはじめ在日米軍施設に向けられる可能性を挙げた。
 長期戦略については、米軍のような地球規模での軍事展開能力の獲得を中国が当面想定していないとの見方が強かった。ただ、軍事力の強化を背景に、東南アジアや中央アジアを影響下に収めることは視野にあるとの指摘も示された。
 中国の実質国防費が公表分の「二-三倍」であることは、公聴会に出席したロッドマン米国防次官補も重ねて確認した。
 ロシアからの兵器調達額について、国際評価戦略センターのリチャード・フィッシャー副会長は、潜水艦や戦闘機の調達ラッシュとなった一九九五-二〇〇五年に「百五十億ドルに達した」と指摘。〇四年は一年間で二十八億四千万ドル相当のロシア製兵器が中国に輸出されたという。
 中国の兵器調達リストとしては、各種の新型ミサイルや潜水艦の拡充、早期空中警戒機や次世代戦闘機などが、専門家から具体的に指摘された。
 航空母艦も導入が確実との点で専門家の見方は一致。ただ、大連で改装中の旧ソ連製空母ワリヤーグが転用されるのか、ほぼ同型の国産空母を配備するかは、見解が分かれた。予想される中国海軍の空母戦闘群は(1)排水量四万五千-六万トンクラスの空母(2)艦載機はスホイ30MKKなど三十-四十機(3)随伴艦は二〇〇三年以降に建造された「広州」「武漢」など防空能力にすぐれた駆逐艦-との輪郭でほぼ一致。空母の配備時期について、クーパー氏は「二〇一五年」を予想している。
 中国への新たな兵器供給源として、公聴会では対中武器禁輸の解禁を模索する欧州連合(EU)への強い懸念と不信感が示された。調査委員会のカロリン・バーソロミュー副委員長は、台湾海峡有事への米軍介入を念頭に「米軍兵士が欧州製兵器を手にした中国に直面することがあってはならない」と語った。
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 記事で注目されるのは、中国軍の軍事的侵攻の時期をすでに明示していることである。「「二〇〇八年から二〇一五年の間を心配すべきだ」と語る。中国の新型装備が〇八年ごろ配備を完了するのに対し、ミサイル防衛など米軍の新たな地域抑止力が整うのは一五年ごろと予想されるためだ」とあるが、台湾のニュースで二三年前から言われていた、期間とほぼ一致する。
 中国軍としては、台湾はもちろんアメリカ軍や日本の近代化や配置換えが完了する前に先制攻撃をかける必要がある。そのための外交的、エネルギー的条件をつくりながら、時期を見て、軍事的増強で一気に台湾そしてできれば沖縄を攻略する戦略を、日本本土への攻撃も選択肢の内に入れていることだろう。
 今までネットの情報を見てきた限りでは、沖縄方面への攻撃はかなり可能性が高い。政府関係者からの発言を、このブログでもお伝えした。日本本土への攻撃も、北朝鮮・韓国軍と日本内部の親中組織と工作員を呼応させれば論理的には可能と見られる。

2.進行している空母建造
 次に、ネットの資料で、今作られている中国の空母を推定してみたい。「9935方案」という空母建造計画書がネットでは出回っている。内容は以下のとおりである。
 美《科学家連盟》刊登的關於上海造航母的情況
(アメリカ「科学者連盟」掲載の上海空母の状況)2005-06-19 16:41:01
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  中國海軍9935方案(航空母艦)
  1.1版本 (2004年2月7日)
  第一章︰總體性能︰
  滿載排水量︰48000公頓(計畫)
  標準排水量︰44700公頓(オリヨールから推計)
  空載排水量︰35000公頓(オリヨールから推計)
  最大排水量︰52750公頓(オリヨールから推計)
  總尺寸︰288X71X9米(Admiral Gorshkovの資料から)
  水線尺寸︰254X33X9米(Admiral Gorshkovの資料から)
  飛行甲板尺寸︰288X67.5米(Admiral Gorshkovの資料から)
  直線飛行甲板尺寸︰220米長(標準長度)
  載機甲板尺寸︰144X68米=大約9800平方米(オリヨールから推計)
  Draft:9米標準,10米最大(same for all classes in design series)
  全速︰28節(stated; confirmed by calculation from Gorshkov data)
  動力裝置︰型號︰齒輪傳動蒸汽輪機4軸推進(same for all classes in series)
  動力裝置︰渦輪︰4XロシアTU-12 55000最大馬力(49750持續馬力)
  動力裝置︰鍋爐︰8XロシアKVG-4壓渦輪(640KG/CM 平方,500 DEG.C)
  動力裝置︰總的軸馬力︰220000最大馬力(199000持續馬力)
  滑跳起飛︰15度,2個105米和1個170米滑走路。(estimated from Orel
  data and from model of class)
  著陸阻攔裝置︰3線,14米間隔
  彈射器︰1個(在直線甲板)大約85米長,30公頓的capacity (根據su27シリーズ航空機の重量計算から)
  載機容量︰30架SU-27級(規定は30-40機の間,ただし搭載甲板の限度以下)
  載機數量︰30-40(規定)見章節三[No evidence of dedicated air groups forming]
  反艦ミサイル︰8X未知。或許是YJ-12,或許是C-803 in lead unit
  點防禦ミサイル︰8XLY-60N (Aspede) mountings、24 missiles each (2 per quarter)
  近防砲︰12X69型速射炮(3 per quarter,5公里射程)
  早期預警レーダー︰ロシアTop Pair 3D MR-800 Voskhod
  對空搜索レーダー︰ロシアTop Plate 3D (雙レーダー天線、背對背) D/E 波段
  水面搜索/對空搜索レーダー︰363型E/F波段
  水面搜索レーダー︰364型(ESR 1) I 波段;導航︰2xDecca 1290 I 波段
  飛機控制レーダー︰2xFly Trap B G/H 波段; 塔康: Cake Stand
  目標搜索レーダー︰2XロシアMR 700 Frecat
  火力制御レーダー(飛彈)︰4X中國的LL-1
  火力制御レーダー(近防炮)︰4X中國GDG-775 (雷達/電視攝像儀/鐳射/紅外線) 控制單元
  被動ECM/ESM: Type 826 plus 2 PJ-46 decoy launchers and 8 Chaff launchers
  レーザー預警︰6X半杯
  主動ECM︰984型I波段干擾機,985型E/F波段干擾機
  衛星通信︰Thomson CSF Tavitac
  ソナー︰DUBV-23 (hull mounted search and attack、medium frequency) (中國海軍標準)
  備註1︰The hanger has four tracks for moving aircraft (same for all classes in series)
 第二章概要
 9935計画は、1994年のロシアNevskoye設計局との設計協定による。ある中国の文書では最終案は1999年中国上海の滬東造船廠製造となっている。この船はロシアAdmiral Gorshkov号航母の「中国版」である。これはだいたい6%が改良された。大きな変化は中国国産の防禦系統と連合火力控制系統を採用したことで、また、直線甲板上の蒸汽カタパルト裝置があり、電子裝置の改良とレベルアップも行なわれた。この文書では、空母建造のライセンスは1992年に認められ、これは明らかに「二隻の空母」の建造が一年で認められた。三個の隱蔽されたドックで上海で建造され、目撃者によれば三個のドックで空母が建造されている(訳者注︰空母を分割できる)という。その他の情報では、最初の艦は2002年に進水、2004年完成が予定されている。この文書は、空母は2006年に就役し「2010年」に「航母戰鬥群」を形成する。これらは、みな秘密資料による。Evidence strongly suggests that these ships are intended to be atechnical surprise in several senses,最初の運用日期も出ている。2006年に第一個の空母群が現実になる可能性がある。三隻の空母は2008-2010年に航母戰鬥群を形成する。この文書は、輔助設備はすでに上海、大連、浙江で建造され、中国海軍の機構設置が明かで,各艦隊に一隻の空母が送られる。
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 ロシア空母のライセンス取得で、さらに改装されたものらしい。そして、建造は、三隻となっている。一隻は、大連のワリャーグで、残りは新造ということになる。「中国上海の滬東造船廠製造」という名前が出ているが、中国網の軍事サイトには、この造船所で昨年12月に撮影された、上部を隠蔽した大きな船の建造中の姿が出ている。(添付写真)
 組圖:某艦在上海滬東船廠一角
 こうした空母は米軍と張り合うには全く役には立たないが、東南アジアやオーストラリアを脅迫したり、通商破壊を行うには強力な武器になる。米軍空母の日本近海への集中が有れば、なんとか本土侵攻は防げるだろうが、日本の資源輸送や通商は大きなダメージを受け、台湾や沖縄は放棄せざるを得ないかも知れない。状況はかなり切迫していると思われる。


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5 コメント

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そうですねえ (kyouji)
2006-03-20 22:49:12
 この空母の実現性には多少疑問はあるでしょう。

 それはとりあえず置いておくとして、沖縄と台湾は基地があって、そこに航空機を配備できるので大丈夫でしょう。

 問題は東南アジアですね。

 インドネシアは人口1億を越える大経済圏だし、海底資源もある。

 また世界の交通の要衝ですし。

 では実際に何ができるのか、となるとまた微妙ですが、対抗能力のありなしは外交でも大きな意味を持つでしょう。

 本当はフィリピンに米軍基地があれば良かったんですけど、そうもいかなくなってしまいましたしね。

 インドネシアはイスラム国家でもあるし、反米的な面もある。

 最近はインドとベトナムが注目されていますが、私はインドネシアが重要だと思うんですよねえ。
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世界中で米中の鬩ぎ合いが (蓬莱の島通信ブログ)
2006-03-21 08:58:45
kyoujiさんの先日の記事にありましたが、中南米でも中国の軍事的侵出が目覚ましいとのことです。中国はアフリカにも軍を派遣しており欧州を牽制でき、中南米はアメリカを牽制できる位置にありますね。一方、アメリカはインドと連携、オーストラリアとも協力強化を始めたようです。ご指摘のインドネシアはキーポイントかもしれません。交通の要衝であり、イスラム圈との関係から言っても大きな勢力ですね。今日の新聞に、ちょうどアメリカとインドネシアの対テロ演習が出ていました。本当に鋭いご指摘です。

世界中がこうして二つに分かれていく結果は、冷戦なのか?経済的交流の曖昧さから言うと、色分けは難しく、やはり、第2次大戦前のような状態になってしまいそうです。
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お~ゴルシコフ(笑) (フッケバイン)
2006-03-22 13:41:18
現在のところ(僕の拙い情報網では)ロシアから中国にSu-33(Su-27の艦載機型)その他、

空母搭載可能な航空機が売り渡されるという情報は入っておりません。

しかし現在中国がロシアから調達中のSu-30MKKに紛れ込まして、ということも考えられますので

目が離せないところです。

中国の空母を取得する目的とは、1に自国海軍を外洋海軍に進化させるため。

2はそれに伴うシーレーン防衛もしくは他国シーレーンに対する攻撃力を持つことです。

これに対して周辺国は第二次大戦時のように数百隻もの護衛艦を商船に張り付かせることも不可能ですし、

なにしろシーレーンは長大です。

2008~2015年というのはそういう意味で妥当な推定ですし、ぼくも2012~2015年が怪しいとにらんでいます。
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なるほどゴルシコフ改 (あきら(AKIRA06236))
2006-03-22 16:48:36
妥当な線の改装案でしょうね。自分も昨年夏に出現を想定した時にもゴルシコフ乃至その原型のキエフを元に考えました。既成艦の延長はリスクが小さいです。問題は一隻では役にたたず、2隻は最低必要であり、中国は地形上北洋側と黄海側とで各艦隊が必要になりますので4隻の保有・建造に果たして耐え切れるのかが一つの鍵でもあります。
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今後も監視が必要ですね (蓬莱の島通信ブログ別館)
2006-03-23 14:55:03
フッケバインさん、su33の売却はまだないとのことで安心しました。今週の中ロ会談では、結局、パイプラインなどの契約はなく、プーチン大統領が直接行ったにも関わらず実質的な取り決めは進まなかったようです。ロシアの警戒心が高まれば、空母にも影響が出そうですね。

あきらさん、計画書には3隻と出ていて、大連のワリャーグ+2隻とも考えられます。写真で出した上海の船の他に、もう一隻造っている可能性もあります。今後とも警戒が必要ですね。
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