蝸牛のこちょこちょ

みずしろの普段着物と手仕事と好きなものの記録。

江戸の小袖の春夏秋冬展へ行ってきました

2016年04月13日 | おでかけ
 福井市立郷土歴史博物館で開催されている「江戸の小袖の春夏秋冬」展へ行ってきました。
 会期は5月5日まで。
 前期と後期に分かれており、現在は後期展示中です。
 先日、前期展示も見に行ったのですが、どちらも圧巻…でした。

 江戸の小袖、というか実際には「江戸時代の大名家の衣料展」でしょうか。
 当時の日本の、トップクラスかそれに近いひとたちの衣料です。
 当然、生地から染から刺繍から最高級。
 素晴らしいの一言なのですが、雲の上の方々すぎて、知識としては何となく習った覚えがあっても(中学校)、実際に生活をしていた同じ人間という実感がわきません(笑)
 とりあえず、さぞかし暑くて重かったろうなと…(そこか)


 不思議なことがいくつかありました。
 まず最初におや、と思ったのは、「四季通用柄」の多いこと。
 というより、「儀式用」、お正月や節句に着た礼装の打掛などは、模様に定めでもあったのかしらと思うくらい、描かれている花が似通っているのです。
 だいたい、梅、桜、牡丹、菊、藤、それに松や竹、葵、紅葉。たまに菖蒲やかきつばた(区別がつきまへん…)。今の着物にもよくある柄なんですけど、季節としてはスリーシーズン用、みたいな、多種の花々を取り混ぜてあるのが多かったです。
 なんとなく、こういうかたがたって、その季節限りの年に一度の礼服、みたいなのをいっぱい持ってたイメージだったんですけど、そうでもないのかな?
 告知ポスターにも使われてた梅の描き染め小袖は、現代人のわたしたちが見ても、一発で早春限定とわかりますが(笑)、こういうのはむしろ少なかった。

 夏の衣類に涼しげな冬モチーフ、というのは今も雪輪くらいは残っていますけど、当時はもっと豪快だったようで、どーんと梅!とか、わかりやすく雪景色!とか…。
 涼しげ通り越してますがな。
 今これをやったら、さすがにやりすぎだし、口うるさいおばさんが群がって来そうです(笑)。というか、雪景色模様の絽とか、まず手に入らなさそう。


 もうひとつ、おや、と思ったのは刺繍糸の撚りです。
 展示されている小袖や帯のほとんど全てが、全く、或いはほとんど撚っていない釜糸で、ふんわりと刺してあったのですが、一緒に展示されていた箱迫だけは、どれもきっちりと撚りをかけた糸で、かっちりと刺してありました。
 …これはナニユエ。
 懐へ入れるものだから、擦り切れないように、ということかしらん…???
 同じくらい擦れそうな掛下帯などは、全部ふんわり撚りなしだったんですけど。
 たまたまそういうものが揃ったのか、当時の傾向だったのか、ほんとの理由はなんなのか、機会があったら調べてみたいです。


 一階の第二展示場には、子どもの衣類も幾つかありました。
 今の幼い子どもの着物と、形はほとんど同じで、白絹のひもがついていました。
 一つ身の赤ちゃん用には、ちゃんと魔除けの背守りが…あったのですが、
 地の色とほぼ同じ糸で、衿の下から肩甲骨の辺りまで、なみ縫いや二目落としでちくちくと縫ってあるのみで、糸を長く残したり、紋のような飾り縫いはありませんでした。
 あの一筆書きのような、背守りの飾り縫いは、当時の大名家ではやらなかったのかしら。
「斜め線」もありません、ただ、まっすぐです。
 こういうのは、どうも書籍で調べたほうがよさそうだ… 今度図書館いってきましょ。



 ハテナばっかり浮かんで無知丸出しになってしまいましたが、本当にすごかったのです。
 当たり前ですが当時は機械なんかないのだから蚕の飼育から始まって糸繰り、精錬、織、染、刺繍、そして縫製…
 一領の小袖に、どれだけのひとが、どれだけの年月をかけたんだろう。
 今、こんな仕事をできる職人さんが、どれだけいるだろう。
 圧倒されて、ぼうっとなってしまったみずしろでありました。


 ところでこの展示、お着物割引とリピート割引がありまして。
 着物で行くと2割引き、この特別展の半券を持参すると半額(!)だそうです。
 そのためか、あるいは元々展示の内容からして着物好きの方が多いのか、素敵なお着物でいらしているかたが結構たくさん。
 展示を見ながら、ちょいと脇のお客さまも見せて戴いたりして、楽しかったです(笑)
 わたしも着物でしたが、既にここの友の会優待観覧券(年間パスポートみたいなの)を持っているためなんと無料…太っ腹すぎやしませんか…。
 せっかくですし、会期中にもう1回か出来れば2回か3k(欲張りすぎ)




 …で。
 全く関係ないんですけど、博物館ですし、お太鼓で行ったんです。
 こないだ買ったポリの博多織の名古屋帯。
 …化繊帯ってここまで滑るんですね知らなかった…。もう、お太鼓無理かと思いました。
 珍しく新品で買ったもので、色柄は物凄く気に入っているんですけど、柔らかいというよりクタクタだし、単帯だから芯を換えるというわけにもいかなくて、はてどうしたものか。
 6月にこれ締めて博多へ遊びに行く予定だったんですが。
 …柔らかい帯でいける結びを練習するしかないかな…?



 

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