1件目は2月9日15時1分に時事通信が配信した記事である。以下引用する。
教員給与に残業手当=教職調整額見直しの方向-勤務時間管理など課題も-文科省
文部科学省は9日、公立小中学校の教員給与に、時間外勤務手当を導入する方向で検討に入った。仕事のどこからが残業かを明確に区分することが難しい教員については現行、給与月額の4%を残業分とみなした「教職調整額」が一律支給されているが、同省は勤務実態に応じた公平な配分に改める方針だ。
手当支給により教員の勤務意識に大きな変化が生じることが予想されるほか、学校側が残業時間を厳密に管理できるかといった課題もあり、議論を呼ぶのは必至。同省は、今夏の2009年度予算概算要求までに結論をまとめる。
教職現場では「教員の勤務は自発的なもの」との理念の下、「残業」という概念がない。調整額は、繁忙時でも休職中でも一律支給になっている。同省は昨年、勤務の負担に応じて調整額を増減させる改革案を検討したが、法的な問題から断念。時間外勤務手当に転換する案を軸に、再検討することにした。
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2件目は2月20日にMSN産経ニュースが配信したもの。同じく以下引用する。
【教育】教員に残業手当 文科省、教職調整額見直しへ-MSN産経ニュース
文部科学省は公立小中学校の教員給与に、時間外勤務手当を導入する方向で検討に入った。仕事のどこからが残業かを明確に区分することが難しい教員については現行、給与月額の4%を残業分とみなした「教職調整額」が一律支給されているが、同省は勤務実態に応じた公平な配分に改める方針だ。
手当支給により教員の勤務意識に大きな変化が生じることが予想されるほか、学校側が残業時間を厳密に管理できるかといった課題もあり、議論を呼ぶのは必至。同省は、今夏の平成21年度予算概算要求までに結論をまとめる。
教職現場では「教員の勤務は自発的なもの」との理念の下、「残業」という概念がない。調整額は、繁忙時でも休職中でも一律支給になっている。同省は昨年、勤務の負担に応じて調整額を増減させる改革案を検討したが、法的な問題から断念。時間外勤務手当に転換する案を軸に、再検討することにした。
同手当の導入では勤務時間の厳格な把握や管理が必要となるが、例えば試験の採点を自宅に持ち帰るケースをどうするかなど、制度設計には課題も多い。一方で、的確な管理が行われれば、特定の教師に過剰な負担が掛かることや非効率な残業などを改善できる効果があるという。
ただ、残業の制度化には、教育関係者に抵抗感が根強い。残業は職務命令に基づくものであり、「自発的勤務を旨とする教職にはなじまない」という理由からだ。
国、地方による財源手当ても課題で、何時間までを国負担分として認めるかがポイント。同省調査によると教員の平均残業時間は月34時間であるのに対し、現在の調整額を残業時間に換算すると同8時間分に過ぎず、勤務実態との間に大きな差がある。こうした点を踏まえながら同省は検討を進めるが、財源論議では財務省との攻防も予想される。
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MSNの記事は時事通信の記事の後追いといっては失敬だから、詳細な記事と言っておこう。
この1ヶ月ちょっと、思い出したようにこの原稿を開いては、読み直し、自分の考えをまとめようと努力してみた。二つの記事を読んで考えた。僕は何がほしいのか。お金なのか、記事にもあるように、「教師の勤務は自発的なもの」という小さなプライドを支えている心の自由なのか。
実質平均が34時間の残業(早出もふくむよな)、でも、一律で8時間分の残業手当代わりの調整手当。これでガマンしているのが教員である。これが現状だ。もしもタイムカードかなにかで勤務時間を管理しはじめたら、たぶん8時間分なんてあっという間に越えてしまうはずだ。また、昼休みなどは生徒対応で休み時間ではない。ここだって、勤務時間である。ここだけ計算しても、たぶん8時間は超える。
記事にあるように明確な勤務時間管理をするのであれば、それこそ学校にSuicaのゲートでも設けて、きちんと勤務時間管理をしなければならないし、昼休みも勤務時間と見なさなければ、これは搾取である。いずれにしても、正当にペイされていないのは事実なのだ。では、これを正当に支払える財源があるか。それを認める社会的情勢にあるかというと、どっちもどうにもならないだろう。
なんとかならないものなのか。
絶望感だけがある。