毎年新設大学についてチェックをするようになってもう10年以上になる。ブログでも、いろいろな形で取り上げ続けている。
過去10年、大学の設置については学校設置会社(株式会社)による設置、特定非営利活動法人によるもの等が認められるようになった。また、僕の知っている範囲だが、専門学校の運営法人による大学設置も増えたと思う。大学の新設認可も、公務員の僕の目で見ると、「ゆるく」なったり、「きつく」なったりと、ずいぶん揺れたと思う。
平成24年度、新たに7つの大学が開学する。以下は開設認可に当たり、各大学の設置者に留意事項として、「ちゃんとやりなさいよ」と突きつけられた項目である。何を文部科学省としてはちゃんとしてほしいか、読むとわかる... ような気がする。
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留意事項の一つ目は各大学共通である。当たり前といえば当たり前のことだ。去年も同様のことが、述べられていた。
・は、文科省からの留意事項。その下のカッコ内は、僕の感想である。
①から⑦は、文科省の資料順。便宜的に僕がつけた。
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①日本ウエルネススポーツ大学
・設置の趣旨・目的等が活かされるよう、設置計画を確実に履行すること。また、開設時から4年制大学にふさわしい教育研究活動を行うことはもとより、その水準を一層向上させるよう努めること。
・入学者選抜の方法について、「高等学校新卒者に関しては、スポーツ活動の実績、リーダー経験、将来性等を重視」とあるが、これらの素養は高等学校新卒者だけでなく、社会人学生も含め受け入れる学生すべてに必要な素養であると考えられることから、高等学校新卒者以外の学生についても同様にスポーツ活動の実績等を選抜時の判断項目とすること。併せて、「スポーツ活動の実績、リーダー経験等」を、どのような基準に基づき判断するのか明確にした上で、適切に選抜を行うこと。
(浪人生のことも考えないとまずい。)
・面接授業の時間割が過密であると見受けられることから、授業科目の質の保証や内容の充実を図り、学生や教員に配慮した時間割となるよう授業計画を再検討し、その計画を着実に実行すること。
(1年目は全員スタートが同じであるが、開設2年目以降、単位の再履修問題が必ず発生する。)
・レポートの提出が集中する時期の教員や支援スタッフ等の負担に配慮し、適切な人員の配置に努めること。
(当たり前といえば当たり前である。)
・ウイクリーミーティングの決定を後日理事会の決定とみなす取り扱いをしていることから、今後、適切な理事会の運営に努めること。
・理事、監事、評議員の選任方法に誤りがあることから、寄附行為の規定に基づき適切に行うこと。
・理事会、評議員会の運営に関し、以下の事項について適切に行うこと。[予算及び寄附行為変更に関する理事会、評議員会の開催順序]
(最後の3項目は学校の運営法人の運営そのものへの注文である。)
②亀田医療大学
・設置の趣旨・目的等が活かされるよう、設置計画を確実に履行すること。また、開設時から4年制大学にふさわしい教育研究活動を行うことはもとより、その水準を一層向上させるよう努めること。
・教員の年齢構成が高いため、教育研究の継続性を踏まえ、今後の採用計画など、教員組織構成の将来構想を着実に実行すること。また、若手教員の担当授業科目が多いことから、その支援についても、計画どおり確実に実施すること。
(他大学からベテランの先生を採用。同時に教育経験の少ない先生も多い。間の年齢の先生が少ないことが、なんとなくわかる。)
・認可後に補助金(鴨川市)を収納予定であることから、収納後、速やかにその旨を報告すること。
(公金から補助をもらう以上、当たり前。)
③東京医療学院大学
・設置の趣旨・目的等が活かされるよう、設置計画を確実に履行すること。また、開設時から4年制大学にふさわしい教育研究活動を行うことはもとより、その水準を一層向上させるよう努めること。
・専任教員の補充を必要とされた1授業科目については、科目開設時までに確実に専任教員を配置すること。
(文部科学省に提出した人では、ある授業科目の先生とは認められなかったか、就任予定者に何かあったのだろう。)
④横浜創美大学
・設置の趣旨・目的等が活かされるよう、設置計画を確実に履行すること。また、開設時から4年制大学にふさわしい教育研究活動を行うことはもとより、その水準を一層向上させるよう努めること。
・専任教員の補充を必要とされた1授業科目については開学時までに、2授業科目については科目開設時までに、確実に専任教員を配置すること。(看護学科)
(文部科学省に提出した人では、ある授業科目の先生とは認められなかったか、就任予定者に何かあったのだろう。ただ、こちらは、「開学時までに」とついている科目がある。来年4月までである。)
・監事の選任方法に誤りがあることから、寄附行為の規定に基づき適切に行うこと。
(学内のルール作りにミスがあった。)
⑤京都美術工芸大学
・設置の趣旨・目的等が活かされるよう、設置計画を確実に履行すること。また、開設時から4年制大学にふさわしい教育研究活動を行うことはもとより、その水準を一層向上させるよう努めること。
(ここは現在大学校を運営している法人が設置する大学。特別これ以外留意事項がない。)
⑥大阪行岡医療大学
・設置の趣旨・目的等が活かされるよう、設置計画を確実に履行すること。また、開設時から4年制大学にふさわしい教育研究活動を行うことはもとより、その水準を一層向上させるよう努めること。
・評議員の選任について、理事会、評議員会の議事録に記載されていないものがあったことから、議事録の作成について適切に行うとともに、適切な学校法人運営を行うこと。
(議事録がちゃんと作れていないなんて、かなり困った指摘である。)
⑦天理医療大学
・設置の趣旨・目的等が活かされるよう、設置計画を確実に履行すること。また、開設時から4年制大学にふさわしい教育研究活動を行うことはもとより、その水準を一層向上させるよう努めること。
・専任教員の補充を必要とされた2授業科目については、完成年度までに、確実に専任教員を配置すること。(看護学科)
(文部科学省に提出した人では、ある授業科目の先生とは認められなかったか、就任予定者に何かあったのだろう。ただ、こちらは、「完成年度までに」との条件付である。③④よりも、少し余裕があるか。)
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設置認可の答申がでたのが10月24日。まあ、だいたいどの大学も11月から生徒募集を開始したと思う。来年度の1年生はどの程度決まっているのか。どんな大学ができあがるのか。自分の勤務先の生徒が進学する可能性のある大学はほぼないが、注目はしていこうと思う。
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2011.11.02
「平成24年度開設予定の大学の設置等に係る答申について」