以前ブログに書いた横浜の民間出身校長先生の処分が決まった。(11月24日:共同通信)
1ヶ月、これは一体なんなんだろうと考えていた。BBSやブログでも、厳しい処分だとか、一部不満分子にはめられただとか様々だったが、校長の資質についてはあまり言及されていないと思う。
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横浜市教育委員会の処分は修学旅行引率中の飲酒について、市立東山田中学校の本城慎之介校長(33)を減給10分の1、6カ月&一緒に飲酒した男性教諭3人も減給処分である。
本城校長は「楽天」の元副社長。市の民間人校長公募で採用、4月に着任。
市教委
本城校長は6月5日午前3時半ごろから約40分間、宿泊した京都市のホテルの部屋で、3年生の学年主任(男性:53)に誘われ計4人で飲酒。
校長は350mlの缶ビールを2本飲んだ。
本城校長
「職員間のコミュニケーションが不足しているという焦りの中で飲酒の誘いをきっぱりと断れなかった。誤った判断と猛省している」
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12月~来年5月までの6ヶ月の減給。
世の中の人はどう感じるかわからないけど、10%×6ヶ月、それも年度をまたぐのは異例中の異例。はっきり言って免職にも等しいくらいの処分である。
今後教師(校長)を続けるとなれば、この減給は、まず12月のボーナスに響く、その後の昇級にもずーっと響く。それと、減給処分を受けためずらしい校長先生としてずーっとその評判はついて回る。60歳定年だとしても、後27年、そのまま続けられるものかどうか、続けるべきかどうか。
…普通の校長ならば判断できるはずだ。
このことが表沙汰になったとき、彼は、「処分を受けることでこたえたい」と、述べたと報じられた。事実だとしたら、何を誰に答えるのか、わかったのだろうか。
本城校長は職員間のコミュニケーションが不足しているという焦り...と、述べているらしいが、自分と職員とのコミュニケーションの間違いだろう。
そもそもこの人事はどうだったのか。33歳で校長は適切だったのか。この人間は適任だったのか。考えるべきだろう。
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僕はこの件については前のエントリーで『前歴がどうであっても、年齢がどうであっても、優秀であれば認めよう。』と書いた。本音である。適任であれば認めなければならない。
コミュニケーション不足との発言もあったようだが、コミュニケーションはメッセージのセンダー(送り手)とレシーバー(受け手)の間に双方向で成立する。これはどんな組織(二人以上の人間)でも同じである。それがどちらかがちょっと(う~んと)多いか少ないかの違いのはずだ。それが不足と言うことは、この校長先生の発信が少ないか、受信が少ないか、それとも校長先生にはレシーバーがいなかった、またはメッセージを送る先そのものがわからなかったか。。。
教頭は何をやってたんだろう。
教頭も大変だ。一生懸命やっても、おまえ何してたんだという目で見られる。
これが警察組織(官僚)ならば、階級と命令が絶対であるかもしれない。でも、学校はそこまで上意下達の世界にはなりきれない。組織論的にも校長1、教頭1または2、学年主任各1×3、後はその他大勢である。水揚げされた越前クラゲみたいに、形も広がりも不定形で、極めてフラットな組織体である。そんな中で、33歳という年齢はどうだったのか。
採用を決めた教育委員会が、この人が持っていると考えた才能、楽天という良くも悪くも世間を騒がせる企業の副社長だったという経歴、その他民間様が持っていて、公務員組織が持っていないとされる何かをもっていたとしても、33歳という若さは、ハンデではなかったのか。溝は埋まらなかったのかもしれない。
年齢というファクターを加味した上でも適任だったのか。そもそも年齢についてなにか違った視点を持っていなかったか?
『史上最年少校長を民間人から採用しました。。。すごいでしょ~』
採用に関してこんな気持ちはなかったか。どこかに「人を採る」ことからはずれた、何かがなかったか。
いずれにしても世間を騒がせた。たった一回のミスだとは思うが、僕ら一般教員だって一回のミスで教職としては失格者扱いになることがある。失敗から立ち直れる社会をと、したり顔の社会学者が言うことがある。そうなることが望ましいが、そうはなっていない。少なくとも教育公務員は違う。
彼の選考と、彼自身に何か問題があったと考えるべきだろう。この問題以外にも学校運営に何かがあったと考える方がいいだろう。
しかし
ねえ、、、
もしも、普通の校長がこんな処分を受けたら、
やめると思う。
彼はやめなかった。これは教育公務員の姿としては、腑に落ちない。
やっぱり民間人である。別の倫理観だ。
僕にはわからない。