意思による楽観のための読書日記

知られざる縄文ライフ 譽田亜紀子 **

縄文時代、と聞くと弥生時代の前の日本での狩猟メインの時代で、どんぐりや栗などの樹の実も拾い集めて食べていた、というイメージがある。縄文時代の前には先土器文化があったとされ、縄文時代は1万5000年まえから2400年前まで続いていたとのこと。現代の1300年ほど前に古事記・日本書紀が編纂され、1800年ほど前が卑弥呼と邪馬台国の時代なので、歴史の時間に習った日本史の殆どは卑弥呼以降、しかし考えてみるとすぐに分かるが、縄文時代は習った日本史の10倍ほどの長さにわたって続いていたことになる。

「縄文」とは大森貝塚を見つけたエドワード・モースが縄の目の模様がついた土器をCord Marked Potteryと呼び、それが日本語になったもの。日本人の祖先のDNA分析によればアムール川下流域から来たM9bグループ、南部中国、東南アジアのM7bグループなどがいて、樺太、朝鮮半島、琉球列島などから時間をかけて何度も流入してきたとされる。流入は4万年以上続いていて、先土器文化時代、縄文時代、弥生時代にも続いていた。その間、寒暖が繰り返す気候変動も度々あり、海岸線や地形、広葉樹の森、動物と植物の位相も大きく変化した。各時代は明確な線引は難しく、東西差、南北差があり、それぞれが別の人達ではなく混在、混住していたり、交流、交雑、共同生活などもあったことが遺跡からも見て取れるらしい。

本書は、縄文時代の暮らし、暮らした人たちの一生、食生活、祈りをかわいい絵とともに解説している。暮らしでは近所付き合い、1日の生活、体つき、普段着、美人、世帯構成、建造物、間取り、墓石、おトイレ、貝塚、イヌを解説。一生とは学習、成人式と入れ墨、抜歯、祭りと出会い、オシャレ、バースコントロール、愛情と子育て、布製品、病気、寿命、埋葬を解説。食生活では食料調達、旬と食料カレンダー、冒険と狩猟、食卓、調理器具、カロリー、食料地図、植物栽培。祈りではストーンサークル、土偶、道具、創造性、縄文から弥生と解説されている。

およそ4万年前ころに日本列島に人が入ってきて以来、流入は継続し、縄文末期には列島の南では稲作が始められ、北ではまだまだ狩猟生活が行われていた。北海道はコメを作らなくても自然が豊かで食糧には困らなかったし、南九州では約7300年前に大噴火があって、九州にその頃住んでいた縄文人たちは全滅、四国や中国地方の縄文人たちも東に向けて移動したという。その後、九州の南や朝鮮半島経由で水稲や鉄器と灌漑技術がもたらされていた。東日本に縄文遺跡が多く、西日本には弥生遺跡が多い理由はこのような時代の積み重ねによるもの。こうした時代は支配階級が生まれる前の時代で、弥生から古墳時代に入ると支配者と被支配者が生まれてくる。縄文時代は階級のない平等な時代だった。

知られざる縄文ライフ: え?貝塚ってゴミ捨て場じゃなかったんですか!?


↓↓↓2008年1月から読んだ本について書いています。

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