日本歯周外科学会

日本歯周外科学会(会長:伊藤輝夫)より、会員および患者さんへの情報発信のページ

何歳になっても、若さがある人は病気に負けない!-口と歯が鍵ー

2016-12-26 18:42:11 | Weblog

何歳になっても若さがある人は病気に負けない
      
―口と歯が鍵―

 多くの人は暦の歳に支配(影響)されています。社会制度上の年齢(暦年齢)と各個人の肉体的年齢は、必ずしも、同じ意味ではありません。高齢になったからと言って、歳を意識して動かない生活(運動不足、自立行動の不足)は、細胞と組織の再生力が低下し、萎縮や変性が生じ、気力・体力の負けに通じ、免疫力を低下させ、病気を誘発します。それに反し、私は「まだ若いのだ!」を意識することは新たな成長の始まりです。年齢を重ねることは、決してマイナスのイメージばかりではありません。歳を取るにつれて、生きるための知恵が身に付き、人格も厚みが増すと言われます。しかし、「歳を重ねる」ことと、「老化・老ける」と言う事は大きな違いがあります。

 老化は、近年の研究・調査で遅らせることが可能になりました。暦年齢は時間の推移とともに日を重ね、人生の深みと豊かな知恵を授かることができますが、自ら老いてしまえば、それを十分に享受することが難しくなります。
 健康で、快適に生きるために、科学技術が進化した現代社会において、「若返り」、「アンチエイジング」と言った言葉に関心が集まっています。多くの人が「老化は何かを失うこと」だと、考えるようになったからです。人は老いを感じたとき、「もう・・・歳だから仕方がない」・・・と、あきらめの言い訳として表現します。こうした歳に区切りをつけた表現は禁物です。「歳だから」という考え方は人の行動を制限します。本当は、やってみたい事や、関心があっても、興味を持っても、年齢のせいで諦めてしまいます。これは気持ちだけの問題ではありません。こうした考え方が肉体を老化させる大きな要因です。脳も筋肉も鍛え始めるには、幾ら年を取っても遅いことはありません。たとえ何歳になっても鍛え始めれば、脳も筋肉も、そこから成長を始めます。つまり「若返るぞ!」と意識することは全身の細胞を活性化し、新たな成長が始まります。
 しかし、人は老若男女、生涯に一度や二度、何がしかの病気にかかります。生きることは、死を意識することでもあります。「私(俺)は病気知らず・・・」と、元気を自慢している人にお目にかかる事があります。大変結構なことですが、実は「元気病」と言う病気です。こうした人達の多くは、少々の体の変調に気づかないか、無視、あるいは無理して元気さを
装い、体調管理(定期健康検査・ドックなど)を受けず、若い時と同じ、マンネリ化した我儘の生活と食生活を送り、その挙句、重大な病気を見逃したり、困難な治療を強いる結果を招く事になる人が少なくありません。
 私達は社会生活を送る上で、健康と病気は表裏一体です。古くから「予防に勝る治療なし」、「早期発見・早期治療」は健康長寿の基本です。さらに、自分の健康は自分で守ることが重要です。病気になって、医院・病院などで、身体の部分的部位の治療(専門治療)が治癒したのち、その再発の予防などの指導を受けることがありますが、専門外の他部位や関連性については、多くの主治医は再発や合併症の予防、さらに病態栄養、治療後の食生活(栄養管理など)について、多くは話してくれません。何故ならば、多くの医師達は縦割り(専門性)治療が主体で、特に口腔・歯科に関連する疾患の治療法や予防法の知識に乏しく、さらに不勉強の医師達のなかには、歯・口腔は別問題とし、蔑視の感を抱いてようだ。この点、注意して。患者自身で、口腔・歯科疾患の予防や食生活が、健康維持に、いかに大切であるかを自覚し、その重要性を理解しておくことが大切である。

 最近の研究・調査で注目されているのは、口腔環境の悪化が全身性の難病と言われる慢性疾患の背景にあると疫学的研究で指摘されています。特に、歯周病、虫歯が進行してできる歯根病巣、口腔清掃が不適切による口臭(細菌の増殖)、呼吸の悪癖(口呼吸、睡眠時無呼吸)、口腔乾燥症などは、慢性的全身疾患である関節リウマチ、喘息、循環器疾患、アトピー性皮膚炎、うつ病などの誘因あるいは悪化に関係している可能性が指摘され、歯や口腔の病気、噛めない入れ歯を使用している気力が無い高齢者にインプラント治療を行い嚙めるるようになった途端に、気力が回復して元気な日常生活が送れるようになるなど、口腔・歯の機能低下や不潔環境を改善、治療することにより、全身的慢性疾患(認知症など)の症状がなくなり、高齢者に多い肺炎の発症を防ぎ、疾病の完治がみられたとの報告があります。さらに、骨粗鬆症やある種のガンに対する長期の治療薬投薬により、歯科治療(抜歯など観血処置)を受けことより、骨骨壊死(あごが腐る)を招くことがあるので適切な指示を受ける必要があります。
  そこで、日常生活で病的症状がなくても、肉体的加齢変化度(アンチエイジング・テスト)を、人間ドックや、かかりつけ医院などで、適度にチェックして心身の活動年齢を自覚し、快適で、元気な日常生活を過ごし、健康寿命を延ばす指標として、以下のチェックを一年に一回は受け、適切な指示・指導、治療を受けましょう。
 
①歯・口腔機能:歯肉の健康度(虫歯や歯周病の有無)噛める歯の数、義歯の安定度、
  咬合力 呼吸のチェック、(鼻呼吸)、歯ぎしり、いびき(無呼吸症候群)。

 ②視力、目の加齢変化(白内障、眼瞼下垂など、眼科ドック)、
 ③睡眠時間、睡眠の質。

 ④夜間頻尿、排尿時の痛み、色、匂い、潜血。
 
⑤食生活のチェック、栄養指導。
 
⑥体力、運動チェック

 ⑦血管年齢、筋年齢、ホルモン年齢、神経年齢、酸化度など

 


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