日本歯周外科学会

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第32回(平成26年)日本歯周外科学会・名古屋大会開催について

2014-09-22 15:01:52 | Weblog

投稿者: 伊藤輝夫 会長

医学博士(東京大学)、日本歯周外科学会会長、日本口腔外科学会専門医、日本歯周外科学会指導医

• 2014/ 09/21                                                   

期日:平成26年12月06日(土)~07日(日)9:30~17:00
会場:第1日目:栄ガスビル4階ホール(401号)講演会場
    第2日目:(株)モリタ名古屋支店 実習会場

シンポジューウム
メインテーマ「上・下無歯顎におけるインプラント治療の検証」-総義歯からインプラント治療の患者満足度を上げる秘訣を探るー
「開催趣旨」
 我が国のインプラント臨床は,約40年以上の変遷を経て瞠目の発展を遂げ、安全・安心を謳い文句に多くの患者さんの信頼を獲得してきた実績は十分に評価できる。特にインプラント治療の予後分析によると、少数歯欠損のインプラント埋入後の機能維持は下顎では10年以上、上顎は7~8年、それ以上の良好な予後を保っている多くの症例が散見できることは近代歯科医療の大きな功績と言える。しかし、世はまさに高齢化社会であり、多くの高齢者は多数歯欠損、あるいは無歯顎(総義歯の使用)である。健康老人は、さらなる健康長寿の源は食にありとして、食域(食育・飽食)の多様化とともに健全な食生活を司る「噛む喜び」を得ることが高齢者にとって、生きがい(生命の泉)であり、身体的健康を育み、脳機能を活性化して痴呆症の予防に効果を上げている。従って、インプラント治療を希望する高齢者は少なくないが、新聞紙上で報じられる不祥事の発生に不安と心配を示している。確かに、こうした高齢者に対するインプラント治療による口腔機能回復は多くの問題点を包含している。即ち、高齢者の無歯顎は、一般成人の少数歯欠損の場合とは、同一線上のSolutionでは患者満足を得る治療成果が得られないことが多い。そこで直近する不祥事を仄聞するにつけ、我々インプラント臨床医(インプラント治療を行う歯科医師)は失敗例やトラブル症例に真摯に対応するとともに、十分な検証が必要である。我が歯科界の現況は長引く閉塞感の脱却を模索中のなか、インプラント治療の反省期に這入ったと言える。特記すべき事は、インプラント治療後の患者は誰しも、インプラントは生涯歯(墓場まで使える)の役目を果たすことを期待しており、自らもインプラントを長持ちさせるために、主治医の指導を守り、日々の口腔清掃等に努力している方々は少なくないが、高齢化に伴う身体的変化のなかで有限(インプラントにも寿命がある)であることも知って頂くことも必要である。そしてインプラントの長期使用により、何等かの原因でインプラントの脱落が生じた後の問題は重大で、多大な顎骨吸収(欠損)を伴っているこが常であり、その後の口腔機能の回復を難かしくしている。即ち、適正なインプラント治療の長期的予後の結果、骨が喪失した顎骨に再インプラント治療や適切な補綴治療の選択を不可能にし、高齢期になって口腔機能の回復を奪う結果をもたらすことになる。そもそもインプラント治療は、臨床歯科学の学識と技術に精通し、高水準の治療遂行能力が必要な分野であるにも関わらず、インプラント治療に対するVariation Controle Technique(VCT)に不慣れ(未熟)な開業医や勤務医による術前診断でSerious caseにも拘らず、インプラント埋入手術の外科的処置の不備(無理に)のまま敢行して、オステオインテグレーションの獲得失敗による早期脱落を招き、骨喪失を生じたり、他方、高度のインプラント治療レベルを期待して大学病院や総合病院でインプラント埋入手術を受けた後に、骨欠損を惹起した無歯顎患者が、義歯は「開業医で作ってもらいなさい」と言われ、開業医へ来院するケースも少なくない。言わずもがな、インプラント治療(埋入)担当者の責任として、インプラント埋入の失敗により、骨欠損を招いた場合、骨を修復し、再インプラントを施術して、インプラント治療を完成させるか、あるいは義歯等による口腔機能回復を行うべきである。
 ただし、高齢化に伴ない7~8年以上長持ちして、良く噛めたインプラントが何等かの原因で抜けても、患者の満足度と信頼が得られている場合にはトラブルとはならないので、後続治療の計画が順調に進めやすい。                       
 そもそも、医療行為と言うものは、少なからず不確定因子が付きまとう、インプラント治療を行う際も同様である。問題は「事が起きた時に」如何に対応できるかにより術者の能力と品格が問われる。そこで手術行為(インプラント埋入術)で生じるパラメーターに対応できない歯科医師はインプラント治療に慎重であるべきである。特にインプラント治療を試みる開業医や若手勤務医は、自らのインプラント治療の経験値と対応能力を知り、患者を利する方策を選択する決断が賢明な策である。
 因みに、独立行政法人(国民生活センター)の報道発表資料(平成23年度)によると「インプラント治療により患者が不利益を受けた場合」、こうした事象は「歯科医師がインプラント治療により患者に危害を加えた行為」として明言している。あたかも術者を手術の結果次第で、患者に危害を加えた犯罪者の如き表現である。本学会としては医療の本質を知らずして、医療行為の結果で「危害」を加えたと表現する行政当局の稚拙さは、医療を冒涜する言動であり、憤慨を禁じえない。今後、歯科界は「インプラント治療の結果次第で、“危害を加えた“と表現する行政当局に対し、断固、抗議と論争を展開すべきである。
 本学会では、この度の第32回日本歯周外科学会・名古屋大会を機会に、近年のインプラント治療に纏わる不祥事を真摯に受け止め、将来のインプラント臨床の信頼と発展を目指し、トラブルの多い無歯顎・多数歯欠損に対するインプラントの諸問題を洗い出し、インプラント臨床医の責務として、反省とともにインプラント治療の多彩なパラメーターを検証し、今後のインプラント治療の安全・安心を確固たるものにするために十分なクロストークして頂きたいと念願する。
 インプラント治療に関心のある開業医の先生方は、是非とも多数ご参加下さい。

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