日本歯周外科学会

日本歯周外科学会(会長:伊藤輝夫)より、会員および患者さんへの情報発信のページ

一生自分の歯を守るためにオーダーメイド歯ブラシを作りませんか?

2018-04-12 18:59:04 | Weblog

 口腔内の歯形と歯列は、個人、各自違いが多く、多様性です。特に歯の治療がされ、詰め物やかぶせ物がある歯は、自分で選ぶ市販の歯ブラシでは、歯の隠れた部位の汚れ(細菌)が取れません。その理由は、市販の歯ブラシの形や毛束の配列、毛束の太さ、硬さ、軟らかさ、長さが、貴方の歯とお口に適正でない(合ってない)からです。更に、歯・歯肉のブラッシング(刷掃法)が悪い(特に、歯を力強く磨いたり、横磨きはダメです)と、毛細管の若さを保つためのマッサージ効率を上げたり、刺激し、ピンク色の健康歯肉を維持し、食べカスや汚れ、口臭を取り除くことが出来ません。怖いことに、毎日の健康生活習慣である歯・口清掃のために適正でない歯ブラシの誤使用は高齢化とともに歯質が減り、歯を残す治療を困難し、歯を抜かれてしまいます。
  川柳「歯が抜けた 一生持たない 永久歯」 作:イトウ 輝夫
            「歯磨ダメ 歯が減るだけだ 横磨き」

 貴方は市販の歯ブラシの形、大きさ、毛束の硬さ、軟らかさ、が自分に合っているか? 適切であるか? 本当に歯の汚れが取れているか? 確かめて(かかりつけの歯医者さんに歯とお口を診てもらい、適切な歯ブラシの選び方、正しい使い方を教わる)から、買い求めていますか? 単純に自分の好みの色や毛束の配列、持ち易いハンドルなど、宣伝文句に惑わされ、感覚的に、近くのドラッグストアーやスーパーで購入している人々が、多いと思います。「注;以外に歯科医自身歯ブラシに関心が薄く、歯の治療だけする先生は避けた方が良い」。
 自分の歯、歯並びに合った歯ブラシの選択と正しい使い方を覚える事により、不要な高額の歯科治療費をかけることなく、嫌な歯の痛みもなく、貴重な時間を治療や通院に費やすこともなく、半年か、一年一度の歯の健康チェックか、簡単な初期治療で、自分の歯(永久歯)を抜かれることなく、快適な食生活を生涯にわたり続けられ、心身の健康とともに長寿を全うしようではありませんか。

  今や高齢化社会です。毎日、各メディヤ(テレビ、新聞など)で、健康番組を組み、関心度が高まっており、各科の専門医達は「歳を取ると噛める歯の大切さ」を強調しております。従って自分の歯で噛める健全な食生活と運動、社会活動を営んでいる方々は、免疫力が維持され、認知症や骨粗鬆症、がんのリスクが低く、    例え、全身病に罹患しても、治療期間が少なくて、余病の併発も少ない事が報告されています。従って、人生100年時代も夢ではありません。現在、我が国の100歳以上の方々は6万人を超えており、ほとんど噛める歯(治療済みや義歯を含む)で食生活を満喫されています。
 しかし80歳を過ぎたお年寄りの50%は、次第に歯が無くなり、入れ歯(義歯)で、ご苦労されておられます。人間の歯は「乳歯と永久歯」で、消化器官の入口で摂食機能を営み、生命を維持しますが、乳歯は12歳位になると永久歯に生え変わります。この永久歯は、名実ともに永久(一生もの)であるべきですが、50%の人々の生涯では、残念ながら、自分の歯の全てが永久に口の中に存在しません。一方、自然界の動物は歯が無くなると死を悟ります。これこそ「永久歯/生涯歯」と言えます。 人間界には、知恵と文明の利器があります。生涯自分の永久歯で、生命の源である食域を嗜む意思と行動で、生涯を健康で過ごすことは誠に有意義であるとともに最高の幸せです。

 オーダーメイド歯ブラシをご希望の方は、以下のメールをお使い下さい。

    貴方の歯・口に合った歯ブラシをカスタムメイド専門加工のお問合せは
  「生涯歯®ブラシ」実用新案特許登録(第3215254号)

      ******  teruoito@mild.ocn.ne.jp *****


年を重ねることと、老いるは同じではありません!

2018-04-11 18:16:23 | Weblog

 自分の歳を意識しては、いけません! 若さ、若返りを意識しましょう、新たな成長につながります.
* 歳を重ねることは、決してマイナスのイメージばかりではありません。
 年齢をかさねるにつれて、生きるための知恵がつき、人格も深みが増すと言われます。しかし、「歳を取ること」と「老いること」には大きな違いがあります。

老化は身体機能の低下、エネルギーの低下、そして気力の低下をともないます。
折角、歳を重ねて豊かな知恵を得ても、老いてしまえば、それを享受することが難しくなります。
*昨今、アンチエイジングに関心が集まっていますが、「老化は何かを失うこと」
 だと多くの人々が考えているかもしれません。人は老いを感じた時、「もう00歳だから」・・・と、諦めの言い訳を言います。このような自分の生命の限度を
つけてはいけません。
*「もう俺(私)は歳だから」と言う考え方は、何よりも行動を制限します。本当は、いろいろやりたい事、興味のある事があっても「年齢だから・・・と」と思って、あきらめてしまう。これが自分を老化させる最大の要因です!
*近年の研究で、いくら歳を取っても、脳も筋肉も、鍛えれば衰えませんし、遅い
事はありません。幾つになっも歳に負けてはいけません。若い気持(気力)ちを維持する事は、肉体の活性と成長、健康と若さの秘訣です。


何歳になっても、若さがある人は病気に負けない!-口と歯が鍵ー

2016-12-26 18:42:11 | Weblog

何歳になっても若さがある人は病気に負けない
      
―口と歯が鍵―

 多くの人は暦の歳に支配(影響)されています。社会制度上の年齢(暦年齢)と各個人の肉体的年齢は、必ずしも、同じ意味ではありません。高齢になったからと言って、歳を意識して動かない生活(運動不足、自立行動の不足)は、細胞と組織の再生力が低下し、萎縮や変性が生じ、気力・体力の負けに通じ、免疫力を低下させ、病気を誘発します。それに反し、私は「まだ若いのだ!」を意識することは新たな成長の始まりです。年齢を重ねることは、決してマイナスのイメージばかりではありません。歳を取るにつれて、生きるための知恵が身に付き、人格も厚みが増すと言われます。しかし、「歳を重ねる」ことと、「老化・老ける」と言う事は大きな違いがあります。

 老化は、近年の研究・調査で遅らせることが可能になりました。暦年齢は時間の推移とともに日を重ね、人生の深みと豊かな知恵を授かることができますが、自ら老いてしまえば、それを十分に享受することが難しくなります。
 健康で、快適に生きるために、科学技術が進化した現代社会において、「若返り」、「アンチエイジング」と言った言葉に関心が集まっています。多くの人が「老化は何かを失うこと」だと、考えるようになったからです。人は老いを感じたとき、「もう・・・歳だから仕方がない」・・・と、あきらめの言い訳として表現します。こうした歳に区切りをつけた表現は禁物です。「歳だから」という考え方は人の行動を制限します。本当は、やってみたい事や、関心があっても、興味を持っても、年齢のせいで諦めてしまいます。これは気持ちだけの問題ではありません。こうした考え方が肉体を老化させる大きな要因です。脳も筋肉も鍛え始めるには、幾ら年を取っても遅いことはありません。たとえ何歳になっても鍛え始めれば、脳も筋肉も、そこから成長を始めます。つまり「若返るぞ!」と意識することは全身の細胞を活性化し、新たな成長が始まります。
 しかし、人は老若男女、生涯に一度や二度、何がしかの病気にかかります。生きることは、死を意識することでもあります。「私(俺)は病気知らず・・・」と、元気を自慢している人にお目にかかる事があります。大変結構なことですが、実は「元気病」と言う病気です。こうした人達の多くは、少々の体の変調に気づかないか、無視、あるいは無理して元気さを
装い、体調管理(定期健康検査・ドックなど)を受けず、若い時と同じ、マンネリ化した我儘の生活と食生活を送り、その挙句、重大な病気を見逃したり、困難な治療を強いる結果を招く事になる人が少なくありません。
 私達は社会生活を送る上で、健康と病気は表裏一体です。古くから「予防に勝る治療なし」、「早期発見・早期治療」は健康長寿の基本です。さらに、自分の健康は自分で守ることが重要です。病気になって、医院・病院などで、身体の部分的部位の治療(専門治療)が治癒したのち、その再発の予防などの指導を受けることがありますが、専門外の他部位や関連性については、多くの主治医は再発や合併症の予防、さらに病態栄養、治療後の食生活(栄養管理など)について、多くは話してくれません。何故ならば、多くの医師達は縦割り(専門性)治療が主体で、特に口腔・歯科に関連する疾患の治療法や予防法の知識に乏しく、さらに不勉強の医師達のなかには、歯・口腔は別問題とし、蔑視の感を抱いてようだ。この点、注意して。患者自身で、口腔・歯科疾患の予防や食生活が、健康維持に、いかに大切であるかを自覚し、その重要性を理解しておくことが大切である。

 最近の研究・調査で注目されているのは、口腔環境の悪化が全身性の難病と言われる慢性疾患の背景にあると疫学的研究で指摘されています。特に、歯周病、虫歯が進行してできる歯根病巣、口腔清掃が不適切による口臭(細菌の増殖)、呼吸の悪癖(口呼吸、睡眠時無呼吸)、口腔乾燥症などは、慢性的全身疾患である関節リウマチ、喘息、循環器疾患、アトピー性皮膚炎、うつ病などの誘因あるいは悪化に関係している可能性が指摘され、歯や口腔の病気、噛めない入れ歯を使用している気力が無い高齢者にインプラント治療を行い嚙めるるようになった途端に、気力が回復して元気な日常生活が送れるようになるなど、口腔・歯の機能低下や不潔環境を改善、治療することにより、全身的慢性疾患(認知症など)の症状がなくなり、高齢者に多い肺炎の発症を防ぎ、疾病の完治がみられたとの報告があります。さらに、骨粗鬆症やある種のガンに対する長期の治療薬投薬により、歯科治療(抜歯など観血処置)を受けことより、骨骨壊死(あごが腐る)を招くことがあるので適切な指示を受ける必要があります。
  そこで、日常生活で病的症状がなくても、肉体的加齢変化度(アンチエイジング・テスト)を、人間ドックや、かかりつけ医院などで、適度にチェックして心身の活動年齢を自覚し、快適で、元気な日常生活を過ごし、健康寿命を延ばす指標として、以下のチェックを一年に一回は受け、適切な指示・指導、治療を受けましょう。
 
①歯・口腔機能:歯肉の健康度(虫歯や歯周病の有無)噛める歯の数、義歯の安定度、
  咬合力 呼吸のチェック、(鼻呼吸)、歯ぎしり、いびき(無呼吸症候群)。

 ②視力、目の加齢変化(白内障、眼瞼下垂など、眼科ドック)、
 ③睡眠時間、睡眠の質。

 ④夜間頻尿、排尿時の痛み、色、匂い、潜血。
 
⑤食生活のチェック、栄養指導。
 
⑥体力、運動チェック

 ⑦血管年齢、筋年齢、ホルモン年齢、神経年齢、酸化度など

 


我が国の歯科医療は高齢社会にシフトすべきである

2016-02-21 16:51:20 | Weblog

 野生動物は歯が無くなり、食物を捕捉・噛めなくなると死にます。
我が国の平均寿命の延びは、経済力を背景とした食生活の改善がもたらした結果であり、その陰に歯科医師の治療力の向上と、それを支える器材・設備の開発、進化がある。しかし、国民の多くの高齢老人達の食生活は決して、幸福感を味わうには至っていない。
 ①歯科医師の需給問題:歯科医師一人に対する患者が多いか、少ないか、と言う数値的次元の問題では解決できない。社会学的多次元を背景とした医療の本質(医療は制度や経済が前面に出ると歪む)、を重視すべきである。我が国は出生率(1.4%)の低下は少子化(小歯化)とともに、高齢化(40%)社会を構成する人間の食医学(生存権)を背景に歯科医療の質と評価が変わる。
 ②歯科医師の過剰による競争社会:歯科医療の競合化は、個人経営の多い歯科開業医は結果的に歯科医療の商業化を招く。研鑽意欲の疲弊により医学的な基本的技能に未熟な歯科医師を排出し、観血的外科手術から逃避して、リスクの少ない歯科治療(事なかれ手抜き治療や歯科治療に無知な患者に被害)にマンネリ化し、経営上、低質の保険給付外診療を主体とした医療ビジネスに感化され、開業請負業者の誘いと、集患策(宣伝・広告、HPの活用)に躍起となり、一方、新規開業の際、最新高額歯科医療機器の過剰設備投資による高額治療費の出費を患者に委ね(自費率をあげる)、個々の患者が期待する歯科医療水準を技術的に維持できず、患者の満足度の低下と不信感を招く結果をもたらす。
 ③歯科医師の資質:歯科医師数が多い、少ないの問題や大学入試の難易ではない。卒前教育における習学過程から、学生本人の自覚ならびに教師からみて、歯科医療を天職としての気概と希望を持たせる指導力、意欲的な学生の素質を見抜く、また自らの歯科医療に対する適正度を判断する(例として、米国の某州では歯科大学の受験条件に一定期間歯科診療所の見学体験を課している)。特に、歯科臨床の場では、基本的学識のみならず、外科系医療担当者としては病人(他人の身体)に対して治療と言う名の行為は、外科的侵襲(危害)を加えることである。こうした行為の自覚と技術面の研鑽が重大な意義を持つ。これは単に手先の器用、不器用の問題でなく、歯・顎・口腔の機能的解剖学の知識(アナログ)と最新デジタル画像の有機的解読能を有効に修得し、医術に生かすことが重要である。
 ④現況の歯科医療制度:日本の歯科医療制度の実態は陳腐化していると言われ、皆健康保険制度の縛りのなかで、日進月歩の医療レベル(質の向上)のもとでは制度の後進性が拡大しており、歯科医師の資質向上を唱える前に歯科医療制度の改革改善を先行すべきである。この点、多くの良識ある歯科医師達は気付いているが,開業医と言う立場は、孤立環境(自由裁量権/城主感覚)下であり、自ら医療制度改革の情熱が湧かず、大過なく、事なかれ主義に陥りがちで、保険給付内診療を標準歯科治療と甘んじ、高齢社会における悩める老人の口腔機能を満足な食生活のレベルに回復させるための治療評価(保険給付)が困難である。先進欧米諸国の歯科医療制度は、それぞれの国情により、大きく異なっている。一概に評価はできないが、歯学教育については、米国式の Dentistを養成する制度は良いか、欧州、英国、北欧など、 先進国のDental Surgeonを目指すべきか。先進ヨーロッパ諸国においては、同じ歯科医師でも修学歴から、口腔科医(Stomatology)として歯学部または医学部卒業後、口腔外科医、口腔科医の専門医を修得するなど、歯・顎・口腔を治療医学的に境界領域として、厳密な区分わけせず患者が利する治療域であり、お隣の韓国に口腔外科医は顎・口腔領域の美容再生手術に貢献している。国策の根幹である医療制度は、いずれの国においても医療経済に関心が注がれ、特に米国は医療の商業化が定着していり、従って、最新医療機器の研究・開発は目覚ましいものがある一方、国費捻出、患者負担など難題山積し時の政権をゆるがしている。
 わが国の医療制度の改革に際しては、国際的視野にたって如何にして国民の信託に答えられる歯科医療制度を社会情勢の変遷とともに国民の歯科医療に対する最大公約数的価値観を睨みながら、医療政策を推進されるべきであろう。因みに、韓国では医科・歯科の職種的優劣概念はなく、専門領域の医師個人の資質・技量が重要視されており、社会的ステータスは口腔外科医が一番高く、次に脳外科医が評価されている。大学入試倍率ではソール大学歯学部が一番の難関であると仄聞する。何れにしても、今後の臨床歯科医学の進歩は、   Cure(治療)より、Care(予防・管理)に軸足を置いた研究と開発,その推進にあり、大学等の研究機関の使命は大きい。
 ⑤医師及び歯科医師を養成する大学は職能教育の場である:大学歯学部および歯科大学は最高学府の権威と格式を持って存在しているが、臨床歯科分野は、残念ながら高水準ではない。大学医学部や歯学部、医科大学や歯科大学は付属の病院を有している。行政管轄は、医・歯学部は文部科学省、病院は厚生労働省の指導下にあり、従って、これら医科や歯科の大学は教育、研究、臨床の3本柱を軸に、有機的に機能してこそ最高学府と言えるが、文部科学省は論文偏重主義(論文の多寡で補助金の給付が決まる)で、欧米の研究論文のマネや二番煎じが多く、オリジナリティーに乏しいと言われており、これに加えて臨床分野についても主に臨床経験の浅い講師、助手クラスが診療(治験を増すため)に従事し、探究心が低く、斬新な治療法の研究・開発が貧弱で、旧態然とした安心・安全治療(止む無き事か)に終始している。
 ⑥医師達の資質と技術力:一般に資質は生まれつきの性質・素質や才能を言い、それが医療行為を行う人間として相応しいか、否かによって資質の評価が下されているようだ。医学・歯学教育を受ける前に医師としての資質が有る、無なしを見極めることは難しい。一定水準の高等学校教育を修了して、本人の描く歯科医師像に天職としての憧れや夢、さらに希望を抱き、大学入試に挑んでいると思われる。そして職能教育の過程を過ごしながら、資質が育まれ、医師・歯科医師を職業とする知識と技能の資格試験である国家試験を合格後に、本当の意味の医師・歯科医師の資質向上の出発点に立つ。そして、卒後の経験値(環境と分野、技術習得度)の蓄積が反映される。然しながら、我が国の皆健康保険制度の診療域が狭く、医療報酬の中に技術や経験値が評価されておらず、悪戯に薬剤費および治療材料費が保険点数に反映され、技術に対する評価は等閑視されている。大学卒業後(研修終了)の新規開業後1年目の医師の診療費(報酬)と、診療経験10年以上のベテラン医師の報酬が同じである。さらに、ある分野で経験を積み、患者に対する治療技術の安全性、効率性の向上に努力しても、診療報酬に何ら反映されていない。これは真面目に医師として患者のために努力しても報われない制度である。先進諸国の医療制度(民間保険が普及)の医療費は、国によって異なるが、全般に高額であり、経験豊かな専門医の治療費は、一般診療所の治療費よりも高額であり。この点、日本の健康保険制度は低医療費政策が採られ、医療技術の向上を阻害し、医療機器・器材の開発の意欲を低下させ、先進諸外国に比べ、10~15年の遅れが指摘されている。これでは予防と早期完結型治療が可能な歯科治療においては、給付内保険においては治療中途状態で放置されるので、機能期間が短く、再治療が増える。一方、医科においては薬剤費が増え続け、社会保障費の破綻が指摘されている。
⑦高齢化に伴う歯科医療における全身管理:高齢者は何等かの全身的疾患に罹患・投薬中で歯科治療を受ける場合が多い、従来歯科治療は観血的処置が多い。必要に応じて、外科手術である口腔外科、歯周外科、インプラント手術などの観血的治療が適切になる事態がある。近時、低侵襲手術の技術開発が進み、必要に応じて全身管理(医科との連携)の上、安全に観血手術を行う可能性が高くなっているので、医療担当者の研鑽が必要である。必要な観血手術を高齢者であるからと言って逃避し、歯牙単位の事なかれ主義の治療に終始する事は、高齢患者の病悩期間を長引かせ、食の楽しみ、と幸せを奪い、健康長寿の意欲と体力を逸することになるばかりか、病状を悪化させ、医療費の浪費につながる。
 ⑧「生涯歯の理念」に立脚した医療制度の確立:因みに「動物は歯が無くなると死を悟る」。健康長寿社会を指向する我が国では、近年、小児期より齲蝕予防・管理された咬合・口腔機能学が推進され、齲蝕罹患率の激減(3歳児0.68 本)、顎機能(歯列矯正の普及)の向上など、発育期における歯・顎・口腔機能と摂食習慣が全身臓器への機能的・知的発育に多大に影響するEvidenceが散このためには、発育期(15歳まで)の医療費を無料化して、青壮年期は口腔疾患の予防管理意識を高め、疾患の早期発見・治療を励行し、医療担当者は非削、非抜歯治療を旨として、事故で止む無く抜歯しに至った場合は信頼できるインプラント治療(骨の存在は高成功率)を保険給付で賄う制度改善を検討し、歯周疾患においては骨を減らさない治療を推進することにより、顎骨が適度に存続すれ顎骨形態であれば、無歯顎における義歯による機能回復は比較的容易である。こうした医療改革により、現在の高騰する社会保障費を激減させる事が可能であろう。しかし早急に改革は進まないと思うが、意識を高める必要がある。まず無駄な派閥的医学・歯学の教育体系を撤廃し、医学・歯学(Medico-Denntal)とした医療の境界領域としての口腔科学的学問体系(口腔内科的診療の必要性を含め)を再考すべきである。我が国の成熟化した現代社会においては、歯科医療の学問体系を口腔科学に軸足を置いた歯科治療体系を構築しなければ真の健康長寿社会の実現はあり得ないと思う。
 ⑨8020運動の推進:高齢者(80歳以上)の保有歯数(20歯台)が40%に達したとの厚労省発表は評価されるべきである。高齢者の有歯率の増化は、認知症の発症を遅らせ、健康長寿年齢を延ばすこつにつながる。2010年Anders H.et al (J.Period.81(6):870~876)、「12年間にわたる7,674症例における心臓血管疾患の危険度指数を歯数で検討した」報告によると、対象例(男性3、300、女性3274、年齢20~89)の追跡調査によると、12年間で629名が死亡。そのうち229名が心臓血管障害(167名が冠動脈疾患、83名が心臓発作、49名が動脈瘤または虚血性心疾患)残り330名は心臓血管系以外で死亡している。これら死亡例の心臓血管障害および生命の危険度原因、年齢、性別、喫煙、それに残存歯数等の検討を行った結果、心臓発作の危険度の関連は無かった(p<0。15)が、cox回帰分析によると、残存歯数9歯以下と26歯以上を比較した結果、歯数が少ないと、心臓冠動脈疾患の危険度が7倍に増加することが判明した。ただし、歯周疾患の重症度(ポケット深度と数、BOP)は集計後数量変換の危険度において関係が見られなかったが、結論として、この調査は、大きいな母集団と長期的数量的変化について検討した斬新な疫学的研究であり、口腔の健康度(機能度)を歯数として捉え、心臓血管疾患の関連危険度を示唆したもので、全身(循環器系疾患)と歯数が危険指標の一端を示すものと思われる。
 我が歯科界の指導性と自浄能:歯科医師の集団である日本歯科医師会の度重なる稚拙な不祥事の惹起で、国民からの信頼と品位、格式は地に落ち、歯科医師を代表する団体としての自浄能力は失せたと言える。このことは、もともと医師たる者に与えられている裁量権を自ら放棄し、遺憾ながら行政指導を仰ぎ、制度のみならず、歯科医療行為の資質にまで踏み込んだ梃入れが行われている現状を招ねいていることを全国の歯科医師会員は如何に捉えているか。今後、国民から信頼される夢と希望に満ち、憧れの専門業界の人間として、また、高齢者や病気療養中の患者から、「噛める食の幸せ」を保証する歯科医師として、敬われ、頼りになる専門家としてProfessional Autonomy(PM/専門的自律性)の理念を発揮し、信頼回復のために猛省と努力を惜しんではならない。

 以上、昨年度(1月、10月)における厚労省が開催した「歯科医師の資質向上等に関する検討会」の要旨を通読し、私見を記述しました。ご質問、ご意見がありましたら、ご一報とともに教示賜りたいと存じます。                 


第32回日本歯周外科学会・名古屋研修会は終了しました

2015-01-06 16:53:49 | Weblog

 

平成26年12月あ06日 名古屋・栄ガスビルにて盛会裡に開催されました。メインテーマ「上・下無歯嗣部におけるインプラント治療の検証」-総義歯からインプラントへ患者満足度を上げる秘訣を探るー基調講演「上・下無歯顎インプラント治療の予後をみる」伊藤輝夫会長

シンポジュウム 
「無歯顎可徹性インプラントの検証」 丸山利彦 先生 
「上顎に手術したFullMouth Bridgeの検証」山田雅夫先生
「総義歯移行期・顎堤変化に対するインプラント治療、その対応と問題点」 山本高嗣 先生 
「無歯顎・多数歯欠損のインプラントは難しい」筒井啓介先生 
総括 「イ
ンプラント咬合の視点から」 関谷昭雄 先生
総括:多数歯欠損・総義歯顎提におけるインプラント治療の満足度は低い。患者の多くが高齢者である点、骨粗鬆症の罹患率に伴う骨質・骨量の問題などを 如何にクリヤーするか?、また、アンカー・インプラントのAttachment の選択、埋入本数の制約、コストパホーマンスの限度、総義歯顎提の少数埋入の予後を見ると、5年生存(機能率)は低く、患者の期待度を損なう。特に、総義歯顎における埋入手術直後の創部保護と困難性、初期固定の崩壊、オステオインjテグレーションの失敗など、重大な失敗要因が考えられるので、術前計画と患者さんとの説明・打ち合わせを綿密に行う必要がある。これを怠ると信頼を損なう。
 今回の研修会における演者各位の感想として、高齢者の多数歯欠損の状態で、残存歯の予後の読み、身体的健康度、義歯を受け入れたくない患者、経済的背景などの多次元のチェックを行い、抜歯
インプラント埋入を適性に施術することにより、良質な骨の存在のもとに老弱歯をインプラントに置換して、インプラント埋入本数の最適化を図ることが、超高齢社会における高齢者の最適・最良な口腔機能を構築する健康長寿を獲得するソリュウションである。


第32回日本歯周外科学会・名古屋研修会は終了しました

2015-01-06 16:53:49 | Weblog

 

平成26年12月あ06日 名古屋・栄ガスビルにて盛会裡に開催されました。メインテーマ「上・下無歯顎におけるインプラント治療の検証」-総義歯からインプラントへ患者満足度を上げる秘訣を探るー基調講演「上・下無歯顎インプラント治療の予後をみる」伊藤輝夫会長

シンポジュウム 
「無歯顎可徹性インプラントの検証」 丸山利彦 先生 
「上顎に手術したFullMouth Bridgeの検証」山田雅夫先生
「総義歯移行期・顎堤変化に対するインプラント治療、その対応と問題点」 山本高嗣 先生 
「無歯顎・多数歯欠損のインプラントは難しい」筒井啓介先生 
総括 「イ
ンプラント咬合の視点から」 関谷昭雄 先生
総括:多数歯欠損・総義歯顎提におけるインプラント治療の満足度は低い。患者の多くが高齢者である点、骨粗鬆症の罹患率に伴う骨質・骨量の問題などを 如何にクリヤーするか?、また、アンカー・インプラントのAttachment の選択、埋入本数の制約、コストパホーマンスの限度、総義歯顎提の少数埋入の予後を見ると、5年生存(機能率)は低く、患者の期待度を損なう。特に、総義歯顎における埋入手術直後の創部保護と困難性、初期固定の崩壊、オステオインテグレーションの失敗など、重大な失敗要因が考えられるので、術前計画と患者さんとの説明・打ち合わせを綿密に行う必要がある。これを怠ると信頼を損なう。
 今回の研修会における演者各位の感想として、高齢者の多数歯欠損の状態で、残存歯の予後の読み、身体的健康度、義歯を受け入れたくない患者、経済的背景などの多次元のチェックを行い、抜歯
インプラント埋入を適性に施術することにより、良質な骨の存在のもとに老弱歯をインプラントに置換して、インプラント埋入本数の最適化を図ることが、超高齢社会における高齢者の最適・最良な口腔機能を構築することこそ、健康長寿を獲得するソリュウションである。


抜歯の世界基準:抜歯か 残す(保存)か?

2014-10-14 12:08:46 | Weblog

日本歯周外科学会会長 伊藤輝夫「J.Oral Imp.2012 No50」掲載

 有能な臨床医は治療方針を立てる際、正確な予後の見通しと、予知性の高いプロトコールの作成を行う。
現在のようなEBMに基づいた歯科治療の時代には、治療法と、その治療結果を再検証し、より良い治療法があれば、それを選択すべきである。今まで我々が行ってきた歯周治療や歯内治療、補綴治療などの予後と、戦略的抜歯を行った結果を比較検討すべきである。例えば、予後に不安のある歯牙に対し、従来の保存的治療を施していいのか、それともインプラント治療のために戦略的抜歯を行うべきかを検討する。ある歯周治療後の追跡調査によると、臨床的パラメーター(単根、複根、歯列、性別、年齢など)が多種多様で、正確な分析結果ではないが、20~30%の患者は適切なメインテナンス治療に従っておらず、また、患者の半数は、気まぐれで、不十分なメインテナンスであり、真面目にガイドラインに従っている患者は30%程度であり、多くの歯周治療後の患者は再発と再治療を余儀なくし、さらに喫煙、糖尿病、免疫障害などの全身的リスクファクターの存在により、再発を繰り返すたびに、歯槽骨はサイレントに破壊・吸収を増大する。

職業柄、歯科医、特に歯周治療専門医は歯牙を救うために、ひたすら努力する習性が染み付いているが、患者が術者の治療や指導に素直に従ってくれてこそ、良い治療結果を得ることが出来ることを忘れてはならない。加えて、我々の施術が、望ましい結果に至らない場合は、速やかに抜歯を含め、他の手段を考慮すべきである。

近年、インプラント治療は急速に普及しているが、これはインプラントによる機能回復の成功率(評価)にある。即ち、8~15年経過症例は90%を優に越えている。こうしたインプラント治療の原則的課題は、骨量の確保であることから、悪戯に歯周治療に没頭して、過大に骨を喪失することにより、インプラントのみならず、義歯の安定を欠く顎堤形態を招いてしまう、賢明な臨床歯科医はインフォームドコンセントを踏まえたうえで、過去の歯周治療概念から脱皮して、パラダイムシフト、即ち、戦略的抜歯を選択することが、進化を遂げる歯科医療のなかでは必要なことかもしれない

 ここに、戦略的抜歯の条件を考察してみたいと思う。多様な臨床的パラメーターのなかにあって、各術者の抜歯に対する条件、基準は、其々状況において異なると思うが、重要なことは、どんな歯科治療においても歯槽骨を温存、あるいは可能な限り再建し、後続する口腔機能再建処置を有利にすすめる方策をたてることである。 それには、歯周外科の術式を随所に活用すべきである、歯科医は外科医であることを忘れてはならない。                 ここに、抜歯か、保存か・・・について、判定チャートを提示するので、それらの目安になれば幸である。

 

 

 

Step 1

治療を受ける態度

 

悪い

好ましい

(初期評価)

治療の予測期間

長期

 

短期

 

審美性

 

望まない

 

 

経済状態

 

制限あり

 

患者の歯に対する
価値観

抜歯

残したい

高い

 

プラーク・コントロール

不良

普通

良好

     判      定

 

 

 

 

 

Step 2

ポケットの深さ

7mm≦

5~7mm

5mm≧

(歯周疾患の態度)

動揺度(miller‘s)

3度

2度

0~1度

 

再発性歯周膿瘍

あり

なし

 

 

骨吸収度

65%≦

30~65%

30%≧

 

骨欠損の形態

表面広く・深い

表面が広い

表面深く・狭い

 

骨移植、再生治療に対する治療費負担

不可

     判     定

 

 

 

 

 

       Step 3       ( 分岐部病変)

分岐部
(Hampら1975)

3級

2級

1級

 

歯間・分岐部の
 骨レベル

下方

同レベル

上方

 

根の異常

あり

あり

なし

 

根切除、骨移植などに対する経済的制約

あり

なし

なし

    判    定

 

 

 

 

 

Step 4

常時歯石沈着

あり

あり

なし

      (疫学的要因)

咬合異常

あり

あり

なし

 

再歯周治療

難治

再発し易い

なし

 

根の近接

あり

軽度

なし

 

歯内治療

失敗

難治

必要なし

      判   定

 

 

 

 

 

         Step 5     (修復要因)

不適切な修復物
または破損

修復不能

修復可能

なし

 

広範囲う蝕歯

多数

少数

なし

 

歯冠/歯根比

不適

1対1

良好

 

歯冠補綴の必要性

 

あり

なし

      判   定

 

 

 

 

 

Step 6

喫煙

喫煙中

 

非喫煙

     (その他の要因)

全身状態

無関心

       コントロール中

健康、常時チェック

 

ビスフォスフォネートの服用

あり

あり

なし

 

術者の技量

 

不十分

経験豊富

      判    定

 

 

 

 

 

     Total判定

 

 

 

 

      結果判定

 

 

 

 

 

 

抜歯の判定基準

 •A:歯の保存は期待できない。骨吸収増大の危険性有り。

 •B:注意深く継続管理の必要性有り、予後診査において判定の変更有り。

 •C:長期的に歯の延命(保存)が期待できる。

 
判定結果
 
 チャートの各項目を抜歯の判定基準で判定し、総合スコを以下のクラス分類で判定。

 【CLASSⅠ】全てA:早期に抜歯勧告

【CALSSⅡ】A×3≦、A×2+B×2≦:抜歯を選択すべき

【CLASSⅢ】A×2+B×1、A×1+B×3≦、B×4:抜歯を考慮

【CLASSⅣ】A×1+B×2≦、B×3:保存治療を試み、不良の場合は抜歯を考慮

【CLASSⅤ】B×2:保存治療を行い、難治かも知れないが、抜歯の可能性有り

 【CLASSⅥ】全てC、B×1:歯の延命(保存)は十分期待できる

 

 

 


第32回(平成26年)日本歯周外科学会・名古屋大会開催について

2014-09-22 15:01:52 | Weblog

投稿者: 伊藤輝夫 会長

医学博士(東京大学)、日本歯周外科学会会長、日本口腔外科学会専門医、日本歯周外科学会指導医

• 2014/ 09/21                                                   

期日:平成26年12月06日(土)~07日(日)9:30~17:00
会場:第1日目:栄ガスビル4階ホール(401号)講演会場
    第2日目:(株)モリタ名古屋支店 実習会場

シンポジューウム
メインテーマ「上・下無歯顎におけるインプラント治療の検証」-総義歯からインプラント治療の患者満足度を上げる秘訣を探るー
「開催趣旨」
 我が国のインプラント臨床は,約40年以上の変遷を経て瞠目の発展を遂げ、安全・安心を謳い文句に多くの患者さんの信頼を獲得してきた実績は十分に評価できる。特にインプラント治療の予後分析によると、少数歯欠損のインプラント埋入後の機能維持は下顎では10年以上、上顎は7~8年、それ以上の良好な予後を保っている多くの症例が散見できることは近代歯科医療の大きな功績と言える。しかし、世はまさに高齢化社会であり、多くの高齢者は多数歯欠損、あるいは無歯顎(総義歯の使用)である。健康老人は、さらなる健康長寿の源は食にありとして、食域(食育・飽食)の多様化とともに健全な食生活を司る「噛む喜び」を得ることが高齢者にとって、生きがい(生命の泉)であり、身体的健康を育み、脳機能を活性化して痴呆症の予防に効果を上げている。従って、インプラント治療を希望する高齢者は少なくないが、新聞紙上で報じられる不祥事の発生に不安と心配を示している。確かに、こうした高齢者に対するインプラント治療による口腔機能回復は多くの問題点を包含している。即ち、高齢者の無歯顎は、一般成人の少数歯欠損の場合とは、同一線上のSolutionでは患者満足を得る治療成果が得られないことが多い。そこで直近する不祥事を仄聞するにつけ、我々インプラント臨床医(インプラント治療を行う歯科医師)は失敗例やトラブル症例に真摯に対応するとともに、十分な検証が必要である。我が歯科界の現況は長引く閉塞感の脱却を模索中のなか、インプラント治療の反省期に這入ったと言える。特記すべき事は、インプラント治療後の患者は誰しも、インプラントは生涯歯(墓場まで使える)の役目を果たすことを期待しており、自らもインプラントを長持ちさせるために、主治医の指導を守り、日々の口腔清掃等に努力している方々は少なくないが、高齢化に伴う身体的変化のなかで有限(インプラントにも寿命がある)であることも知って頂くことも必要である。そしてインプラントの長期使用により、何等かの原因でインプラントの脱落が生じた後の問題は重大で、多大な顎骨吸収(欠損)を伴っているこが常であり、その後の口腔機能の回復を難かしくしている。即ち、適正なインプラント治療の長期的予後の結果、骨が喪失した顎骨に再インプラント治療や適切な補綴治療の選択を不可能にし、高齢期になって口腔機能の回復を奪う結果をもたらすことになる。そもそもインプラント治療は、臨床歯科学の学識と技術に精通し、高水準の治療遂行能力が必要な分野であるにも関わらず、インプラント治療に対するVariation Controle Technique(VCT)に不慣れ(未熟)な開業医や勤務医による術前診断でSerious caseにも拘らず、インプラント埋入手術の外科的処置の不備(無理に)のまま敢行して、オステオインテグレーションの獲得失敗による早期脱落を招き、骨喪失を生じたり、他方、高度のインプラント治療レベルを期待して大学病院や総合病院でインプラント埋入手術を受けた後に、骨欠損を惹起した無歯顎患者が、義歯は「開業医で作ってもらいなさい」と言われ、開業医へ来院するケースも少なくない。言わずもがな、インプラント治療(埋入)担当者の責任として、インプラント埋入の失敗により、骨欠損を招いた場合、骨を修復し、再インプラントを施術して、インプラント治療を完成させるか、あるいは義歯等による口腔機能回復を行うべきである。
 ただし、高齢化に伴ない7~8年以上長持ちして、良く噛めたインプラントが何等かの原因で抜けても、患者の満足度と信頼が得られている場合にはトラブルとはならないので、後続治療の計画が順調に進めやすい。                       
 そもそも、医療行為と言うものは、少なからず不確定因子が付きまとう、インプラント治療を行う際も同様である。問題は「事が起きた時に」如何に対応できるかにより術者の能力と品格が問われる。そこで手術行為(インプラント埋入術)で生じるパラメーターに対応できない歯科医師はインプラント治療に慎重であるべきである。特にインプラント治療を試みる開業医や若手勤務医は、自らのインプラント治療の経験値と対応能力を知り、患者を利する方策を選択する決断が賢明な策である。
 因みに、独立行政法人(国民生活センター)の報道発表資料(平成23年度)によると「インプラント治療により患者が不利益を受けた場合」、こうした事象は「歯科医師がインプラント治療により患者に危害を加えた行為」として明言している。あたかも術者を手術の結果次第で、患者に危害を加えた犯罪者の如き表現である。本学会としては医療の本質を知らずして、医療行為の結果で「危害」を加えたと表現する行政当局の稚拙さは、医療を冒涜する言動であり、憤慨を禁じえない。今後、歯科界は「インプラント治療の結果次第で、“危害を加えた“と表現する行政当局に対し、断固、抗議と論争を展開すべきである。
 本学会では、この度の第32回日本歯周外科学会・名古屋大会を機会に、近年のインプラント治療に纏わる不祥事を真摯に受け止め、将来のインプラント臨床の信頼と発展を目指し、トラブルの多い無歯顎・多数歯欠損に対するインプラントの諸問題を洗い出し、インプラント臨床医の責務として、反省とともにインプラント治療の多彩なパラメーターを検証し、今後のインプラント治療の安全・安心を確固たるものにするために十分なクロストークして頂きたいと念願する。
 インプラント治療に関心のある開業医の先生方は、是非とも多数ご参加下さい。

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第31回(平成25年度)歯周日本歯周外科学会・大阪研修大会は盛会裡に終了しました

2014-01-15 17:31:22 | Weblog
期日:平成25年10月26日~27日
会場:第一日目 東急イン江坂:学術講演
   第二日目 モリタ本社研修室
メインテーマ「より良いnew Dental Solution を求めて」
講演会プログラム ① 「審美歯周形成外科の基本」伊藤輝夫
         ② 「露出根面被覆術の変遷=文献的考察 岩田哲也」
         ③ 「日常臨床において、どのように歯周外科を取り入れていくか」山本高嗣
     昼食・総会
  
         ④ 「病的歯牙移動(PTM)を持つ重度ペリオ患者への審美的戦略」丸山俊彦
         ⑤ 「歯周外科、インプラントを基軸とした超高齢化歯科医療における問題点」 鈴江義彦
         ⑥ 「超高齢社会に対する歯科治療の課題と展望」 松橋智史

第30回日本歯周外科学会(静岡大会)は盛会裡に終了いたしました。

2012-12-08 15:13:02 | Weblog
 ご尽力下さいました大会長山田雅夫先生に感謝するとともに、ご講演下さいました演者の先生方、ご支援、ご協力くださいました企業・メーカの方々に衷心よりお礼申し上げます。また、遠路北海道から、沖縄からご参加されました会員の先生方、お疲れ様でした。有意義な討議がなされ、歯科臨床の質の向上に、多大な糧になったことと存じます。
なお、来年の第31回日本歯周外科学会は、新しい試みとして、従来の講演方式でなく、研修方式の術技主体の研修学会を企画したいと存じます。従って、最新機器の使用法と、その評価、さらに既存の治療法の再評価など、例えば、ピエゾサージェリー、レーザ、セレックAC,
PAP/PRG,電子メス、などの実体験と再評価を行い、メーカの方々と一緒に討議する場を設けたいと存じます。会場としては、大阪か
京都を予定しております。
 会員の先生方で、ご意見、ご希望、アイデアーがご座いましたら事務局まで、メール/FAX 等でお報せください。会長より